つい柄物のニットタイを

SilkKnittedTie_20120918.jpg
時期的に外してしまっているかもしれないが、夏期はシルクのニットタイをつけるようにしている。本当は「クールビズ」とやらでネクタイは着用しなくてもよいことになっているのだが、一度もノーネクタイで職場に現れたことがない。暑くないんですか(=みんなネクタイ外してるのになんであんただけつけてるんだよ)という声を実際に聞くこともあるが、そういうときは最高度に涼しい顔をしてにっこりほほ笑むことにしている。

シルクのニットタイを結ぶ際、いちばん気にしていることは大剣の長さである。人がそうなっているのは別に何とも思わないのだけど、自分がニットタイを結ぶ時に大剣が長くなっているのはどうしても許せなくて、しまった、とかなんとかいいながら何度か結び直すこともあるくらいなのだ。

大剣の先がベルトのバックルのあたりに来ているのが理想的なのだが、ニットタイならバックルの上あたりであっても構わないというか、それくらい軽快な方がむしろ好ましいくらいに感じる。どうしてなんだ、と訊かれても答えに窮してしまうけれど、それが自分のセンスというもので、こればかりは仕方がないのである。

男子服のスタイルは1940~50年代に制作された映画などに伺えるハイウェストが好みである。だからどれだけ流行っていようとも、ズボン(トラウザーズ)をわざとずり下げたような格好だけはしたくない。ズボンを買うときも、できるだけ昔のスタイルをそのまま保っているようなものを選ぶようにしている。ローライズだの美脚だのはどうしても履く気になれない。

そうなると、できるだけ短めに結ぼうとするニットタイと、ハイウェストに決めようとするズボンが相反してしまう。ことに、外国製のニットタイが素敵な発色で仕上げが見事だからといって手にしてしまった場合、ニットタイの長さに苦労することになる。ご存知の方も多いかもしれぬが、外国製のネクタイはおおむね国産のそれより長めに仕上がっていることがよくあるのだ。

素材が素材だけに、ニットタイは結び目が大きくなりがちである。なので「オリエンタル・ノットで結び目をすっきりと」などというファッション指南もあるくらいだ。たしかに結び目がぼってりしたニットタイより、小さく結んだニットタイのほうがお洒落にちがいない。しかし、手元には外国製のいささか長めのニットタイしかなくて、おまけにできるだけ短く結びたいという気持ちがあるときはどうすればいいのか?

結び目は小さくて大剣も短い、というのが理想的だが、もともとネクタイが長めなのでこれは実現不可能である。こういう場合、「結び目は小さいが大剣は長めになる」と「結び目は大きいが大剣は短くなる」のいずれかを選択しなければならないのだが、自分なら後者を選ぶのではないかと思う。多少ぼってりした結び目になったとしても、長めのニットタイをぶら下げて歩くよりはましだ、ということだ。

そんなわけで日々ネクタイと格闘しつつ楽しんでいるのだが、某日、よく利用するウェブサイトでニットタイを物色していたら、シルクのニットタイの柄物が安くなっているではないか。ニットタイの柄物といえばボーダーをよく見かけるが、なんとそれは斜めのストライプという珍しいもの。それと小紋のニットタイも素敵に見えたのでつい、購入ボタンを押してしまった。

さて商品が届きましたよ。見ると斜めストライプのニットタイは思ったよりナロー(幅が細め)に仕上がっていたが、長さがもう、日本人が着用するのにぴったりの申し分ないものだった。こういうのは本当にうれしいですね。品質タグに見えるMade In Japanという文字が何ともありがたく見えて仕方がない。ネイビーに白の小紋が入ったニットタイも遠目にはドットに見える品のいい仕上がりになっているかと思う。

こういうのがあると、嬉しがってすぐつけてみたくなるのはどうしようもないところだ。自分でも苦笑いしたくなるけれど、ニットタイも彼岸過ぎまではつけていようかな、と思う。本当は夏場限定商品というわけでもなくて、黒とか紺色のニットタイなら、年がら年中着用していても構わぬはずなんですけどね。まあ、そんなわけで今年はニットタイの仲間に柄物が増えたのでした。


【付記】
● 記事にするのが遅れたのでつい最近買ったかのように思われるかもしれませんが、実際に買ったのは7月の下旬なので、8月はこれらニットタイが大いに活躍してくれましたよ。もちろん、いつも着用している無地のニットタイも総動員して暑い季節をニットタイで乗り切った、というわけです。

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お世話になりました。

相変わらずおしゃれですね、乙山さん。
いつも文章も洒脱でただただ感服しておりました。
長い間、お付き合いありがとうございました。

今後も時々お邪魔させていただきます。
また私が復活した折には、またリンクさせてくださいね。


こんばんは、イモアライザカです。

お久しぶりです、
乙山さんの文章はちょっとしたビジネス雑誌かなんかに
載っているコラムのようでオシャレですねえ。ぼくの書く
文章のように嫌みなない。見習わなければ!

わたくししばらく大阪京都あたりの品のいいコーヒー屋を
巡ろうと思います。明日車ごと船に乗ります。ぜったい見ておいた
ほうがいいという店がありましたらぜひ教えてください。
道の駅あたりで札幌ナンバーのゴルフを見かけたら声をかけてくださいね。笑

わたしはぎゃくにゾウのように首が太いのでネクタイが短くて
困っています。イモアライザカ係長みたいですよ!ははは

では、関西の空の下で!

HOBO

Re:mapさん

mapさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
皆様にお洒落だと言っていただくとなんだか面映ゆい心地です。
というか「恐縮です!」(だれの科白だったでしょう?)などと言いたい気分です。

かりにお洒落とかスタイリッシュというものがあるとするなら、
そこからどれだけ離れていこうとしているか、という計測をしてみよう、
というのがそもそもの始まりだったわけです。

本当に、次のmapさんの復活を楽しみにしています。
別にウェブログでなくても、ホームページでもいいわけでしょう?
お別れの言葉は、なしですよ。
だって、次が必ずあるのだから。

Re:HOBOさん

HOBOさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
えっ、イモアライザカ? だれ、それ?
みたいな感じで、検索をかけてみました。

えっ、これがHOBOさん?
ちがうでしょう、HOBOさんはもっとシャープな感じがする。
少なくとも、新しいウェブログで見たHOBOさんの感じではないのです。
ま、冗談ってことはわかっていますけどね。

大阪は昔からアイスコーヒー(冷コー)がおいしかったはずなのですが、
いまはどこに行ってもあまり感心しません。
なのでお勧めの店なんて、ありゃあしません。
ていうかHOBOさんなら、独自の嗅覚があるでしょう?
それで間違いないですよ。

ううむ、なんでゴルフ?
オレンジのワーゲンのほうが、絶対わかりやすいと思うけどなあ……
つい先日、燃えるようなレッドの旧型ビートルを見て「おっ」と思いましたよ!

No title

紳士服店などに並んでいるネクタイ、
どれも美しいので見とれてしまいますが、
着用する際にはその先がどのあたりに来るかとか、結び目の大小とか、
バランスが大切なのですね。

クールビズ等の影響でしょうか、
紳士服もカジュアル化が進んでいるように見受けられますが、
正統派のお洒落も生き残ってほしいです。

Re:サハラの南さん

サハラの南さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
お久しぶりですね、お元気ですか?
ただ首に巻きつけておけばいいだけのものですが、
あれで大剣と小剣のバランスとか、結び目の大きさとか、
けっこうこだわりの出るところでもあるのです。

不思議なものですねえ。
だれも自分のことなど見ていないから、と思って油断していると
意外にもしっかり見られているんだな、と改めて思ったり。
トラディショナル・スタイルの力を借りて、なんとかやっておりますよ!

No title

 そういえば……今年に入ってから一度もネクタイを締めてい
ません(笑)。気楽ですよ。

 ぼくはこの方面にはまるで無知なんですが、現在一般的
なネクタイは意外に歴史が浅いようですね。

 『虚栄の市』の挿絵によれば、首の回りに布を巻いており、
今のネクタイの原型らしいのですが、まるで別物のように見
えます。

No title

こんばんは。

クールビズが流行り出したころ、こんなことを言っていた女性がいらっしゃいました。

「 男はやっぱりネクタイをしていないと格好悪いわよ~」

世の中の女性には、ノーネクタイはしまりがない男性にも見えるかもしれないですね。
きっと周囲の女性は、只野乙山さまのことを素敵だと思っていらっしゃることでしょう・・・

Re:薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんばんは! コメントありがとうございます。

>  ぼくはこの方面にはまるで無知なんですが、現在一般的
> なネクタイは意外に歴史が浅いようですね。

仰るように、ネクタイの歴史はわりと浅いようでして、
フランスのルイ14世の頃(17世紀)が起源らしく、
19世紀に入ってからネクタイの結び方にいろいろ工夫がなされたようで、
現在のようなスタイルに落ち着くのは19世紀後半のようですね。

スカーフを首に巻いてもいいでしょうし、
アスコット・タイをつけるのも上級者という感じですね。
いずれにしても、今のスタイルでなければいけない、ということはないんですよね。

Re: りーさん

りーさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
これは乙山が好きでやっていることなので、
本当は他の人たちに合わせるのがいちばんなのは
わかっているつもりなんですけどね。
ニットタイの出番が少なくなるじゃないですか!

ノーネクタイで、ボタンを二つくらい外すのが今様らしいですね。
それを聞くと、ますます、意地でもネクタイをつけますし、
ボタンは上一つだけにとどめることにします。
ただたんに、ひねくれているだけのような気がしないでもありません。
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Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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