オイル・サーディンを食う

OiledSardinWithSoySource.jpg
オイル(ド)・サーディンなるものを初めて食べたのはもう20数年前、某飲食店でアルバイトをしていたころだったように思う。缶詰のサーディンを開け、油を捨ててしまったものをガスコンロの上に置き、そこに醤油を垂らして七味唐辛子を多めに振って焼き上げたもので、熱々のサーディンにレモンを絞って食すのだ。これがなかなか旨かったのに感心したのを覚えている。

店で出していたのは日水のオイル(ド)・サーディンだが、後にキング・オスカーという外国製のサーディン缶を見つけて食べてみたところ、魚臭さが残っているのを感じてやはり日本製の魚缶詰はよく出来ているものだと感心した。もちろんこれは好みによるもので、キング・オスカーのサーディンの愛好者の方にはお叱りを受けるかもしれないが、キング・オスカーの良さがわからぬ哀れな奴、と笑い飛ばしてくだされば幸甚である。

オイル(ド)・サーディンがおいしいということはわかっているのだが、近頃あまり食べていなかった。というのもね、サーディンの缶詰ってけっこうお値段がするのですよ。ネットで調べてみると日水とキング・オスカーが350円前後、サンヨー堂が400円くらいで、美味で有名な竹中商店のそれは450円前後である。その他外国製のサーディンが業務用食料品店で安く売られていたけれど、かなり大ぶりだし臭いの処理の点でも気になって常食する気になれなかった。

そんなわけでオイル(ド)・サーディンから遠ざかっていたのだが、ある日近所の小さな寂れたマーケットの缶詰売り場を見ると、日水のサーディンがなんと198円で販売しているではないか。よく見るとスタンダードのサーディンではなく、「オイルサーディンレモン風味」だったけれど、日水のサーディンがその値段で買えるのだからうれしくなってつい3個まとめて買ってしまった。このマーケットのこういうところ、好きだなあ。

オイル(ド)・サーディンはそのままでも食べられる、まあイワシの缶詰なんだけど、全般的な傾向としてちょっと薄味になっているような気がする。なのでしょうゆを垂らして焼き上げると旨いんです。その流儀もいろいろあって、油を捨てずにそのまま直火でいく「オイル煮」があり、油を全部捨てて焼くのもあれば、半分ほど油を捨てて焼くというのもある。焼き方もガスコンロに載せるのもあれば、オーヴントースターなどに入れて焼き上げるのもある。

ただしょうゆを垂らして焼くだけでもおいしいけれど、にんにくのスライスを入れて焼くとか、香草を入れて焼くとか、七味唐辛子を入れる、などじつにさまざまな方法があって、仕上がりもそれぞれ楽しいものだ。今回は少し油を残したものを、魚焼きグリルに入れて焼き、そこにしょうゆを垂らして焼き上げるだけの方法を採った。その代わり、皿に盛った後で唐辛子の細切りをトッピングすることにした。

レタスを適量、ざっくり切って皿に盛る。オニオンスライスも用意しておこう。オニオンスライスを敷いた上から、熱々に焼き上がったサーディンを裏返して盛り付ける。そこに唐辛子の細切りをトッピングするのだが、辛いものが苦手な人は省いたほうがよい。マヨネーズを少々、横に添えておこう。意外にも、これがサーディンと合うのです。生レモンも冷蔵庫にあったので添えておく。

なんといっても、オニオンスライスと一緒にサーディンを食べるのが旨い。レタスと一緒にサーディンを食べてもなかなかおいしい。醤油とレモン汁、缶詰の油で一応ドレッシングのようなものになっており、これがオニオンスライスとレタスを食べるのに都合がいいのだ。一見、ただ野菜とサーディンを盛り付けただけの平凡な一皿なんだけど、素材の一つ一つが、他の素材を引き立てるような組み合わせになっている(と思う)。

久しぶりに食べてみたけれど、日水のサーディンはなかなか旨いなあ。ただの缶詰なんだけど、こうして他の食材と一緒に盛り付けてみると、ちょっとした一品料理になっているではないか。値段に、味に、大満足の〈オイル(ド)・サーディンしょうゆ焼き、オニオンスライスとレタス添え〉だった。うむ、これなら買い置きしておいて損はない、ということで近々買い出しに行こうではないか、とサーディンを食べながら次なる買い溜め作戦を考えた。


オイル・サーディンじか焼きへ ≫

【付記】
● なんだか飲む、食うばっかりだなあ、という感じの拙ウェブログ。暑いんだもんね、思考回路も停止しかかってるしね、と言い訳をしておきましょう。夏目漱石は「カーライル博物館」で停止しています。じつに短い掌編で、その気になれば数十分で読めてしまうはずなのですが、どういうわけか止まっております。

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テーマ : お魚料理
ジャンル : グルメ

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No title

おお~~。
さすが、オイルサーディンをねえ。
こうして食べるのですか。
三年にひと缶ぐらいしか食わない食材だったが
今度挑戦してみましょう。

Re:根岸冬生さん

根岸さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いやいや、これはサーディンの食べ方の提案でありまして、
缶を開ければそのまま食べられるのが缶詰ですよ。

とくにお勧めしたいのがサーディンとオニオンスライス。
これは旨いですよ。サーディンをレタスで包んで食べてもいけます。
これは本当に素材それぞれがうまく響き合っている一皿です。

たとえばね、このサーディンをたとえば鶏のから揚げに変更したら、
その響き合いは失われてしまうのです。それはそれでおいしいが、
なんだか素晴らしいなあ、という感じは失われてしまうのです。

別にこれでなくてもかまいませんが、
なかなかいけるのではないか、という提案です。

No title

おお、オイルサーディン。
食べたことあるかなあ?ないようなあるような…
つまりそれだけ馴染の無い食物なんですが名前だけは知っている。
外国もしくはBARなぞでだすような、物語の中にのみ存在するような、
…しかし普通のスーパーに売ってるんですね。それも日本の会社ので。

いいですね。自分も食べたい。

No title

 オイルサーディンでしたら、最近は百円ショップで外国製の
が買えますよ。

 ぼくは油を切って使いますけど、映画だったか小説だったか
で、あの油をパンにつけて最後の一滴まで食べてしまうおじさん
が登場したのを覚えています。恐ろしや。

 サンドイッチも案外いけます。フランスパンを適当にちぎってナ
イフを入れ、バターを塗ってからスライスしたタマネギをどっさり敷
き詰めたところへサーディンを乗せ、お好みに応じて塩胡椒し、
はさんで食うのです。ビールにも合います。

 ただし、一度だけ鱗を落としていない缶詰がありましたので(その
まま食べられるのですが、口当たりがよくありません)、まずは試し
に一缶買って確認したほうがいいでしょう。

No title

オイルサーディンというと思い出があって・・・

むかし職場が大阪だったころ、帰りに天王寺のアポロビルの地下にあったバーによく行っていました。
バーと言っても置いているのはブラックニッカとダルマぐらい。

そこでのお決まりのあてがオイルサーディンの缶詰の蓋をあけて刻んだねぎをのせ、漢のままオーブンで焼いたもの。それを小皿にそのまま載せて、レモンと醤油をちょいとたらす。

それで250円。ブラックニッカの水割りがやはり250円。2杯飲んでも全部で750円で済みました。

Re:RSさん

RSさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうですかRSさんはオイルサーディンを召しあがったことがない、
というわけですね。なら、一度お試しください。

なかなか、いいもんなんですよ。
まあ、小型のイワシの缶詰、なんですが。
食べ方もいろいろ、けっこう浸透しているものだと思います。

そのままではちょっと薄味かもしれませんので、
やはり缶ごと焼いて(ガスレンジの直火でもオーヴントースターでも)、
醤油なんぞを垂らして、レモンをかけ、好みによって七味唐辛子を振る、
なんぞがいいのではないかと思います。

Re:薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうそう、100円均一店とか、ディスカウント店、業務用食料品店でも、
外国製のサーディンがありますね。

乙山も一度、それらの一部を試してみたことがあったのですが、
イメージの違いといいましょうか、それらの一様に大ぶりで匂いの処理が甘いこと、
そういうことが気になって、日水のサーディンに戻っています。

世の中には相当うまいオイルサーディンがあるようですが、
あまり高くなっては魅力もありませんので、そこそこの値段で
手に入るおいしいものを、となると、やはり日本製のサーディンが最高です。

小ぶりのサーディンが、びっしり詰め込まれていて、ローリエなんかが
添えられているんです。ある種の美しささえ感じられる、日本の缶詰。
薄氷堂さんはサーディンのサンドイッチでもOKなのだから、
もう英国でも暮らしていける(?)ほどですよ!

Re:gatayanさん

gatayanさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
以前〈四分音符〉という店が話題になったことがありましたね。
10数年前まで、乙山は大阪市内、天王寺に住んでいたのです。

そこは阿倍野、天王寺公園、新世界なんかに歩いていける場所で、
アポロビルやホテルエコー、天王寺都ホテル、阿倍野の〈トップシンバル〉、
天王寺の〈桃陰〉なんかも馴染みでした。
だからgatayanさんの大阪時代の話を聞くともう懐かしくて。

アポロビルの地下のバー!
ひょっとすると、乙山も時期は違うけれど行ったかもしれません。
ビルの冷房がある時間を過ぎると効かなくなって、マスターも客も、
汗を流しながら閉店間際の時間を過ごしていた、
そんなバー(パブ?)が、アポロビルの地下にありました。

いまあの辺は再開発が進んでいて、以前の風情は失われてしまいました。

No title

こんばんは~。

仕事が終わって、来てま~す。

飲む、食べる、これって大事です。
私は、ここ最近、おいしいとまったく感じないで、
少量しか食べられなかったから、病気になるのだわ・・・
乙山さま、いいことですよ。
いろいろと食べて、どんどん書いてください。
楽しみにしています。
(缶詰ネタは嬉しいです。非常用に缶詰、どうしようか悩んでますから)

Re:りーさん

りーさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
遅くまでお仕事、お疲れ様でした!
イワシの缶詰話で癒されるかどうか、わかりませんが……
だけどサーディン、なかなかおいしいものですよ。

ウェブログを拝見するに、どうもまだお身体が優れぬ様子。
あまり無理をなさらないでくださいね。
乙山も2月、3月と足痛に悩まされ、健康診断でも
やれ高血圧だコレステロールがどうだと、散々でしたよ。

健康でいるのが大切だ、とわかっているのですが、
なかなか理想通りには参りませんね。
どうかお身体お大事に。

缶詰を非常食に、とか思うのですが、つい食べてしまいますね。

No title

恥ずかしながら結構最近まで「オイル・サーディン」(油漬け鰯)と
「アンチョビ」(塩漬け・発酵させた油漬け鰯)の違いを知りませんでした(^^;)
アンチョビはたまに調味料代わりに使っていたので「油漬け鰯=塩辛い」イメージが
あったのですが、オイルサーディンなら素材として味わえるんですね~
小骨でカルシウムも摂れそうですし♪
また特売の時にでも買ってみます!

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
アンチョビはなんだか高級食材のようですが、結局、小さな鰯の缶詰ですよ。
ただ、発酵が進んでいるので、身が崩れやすいのがアンチョビ。

一方、オイル(ド)・サーディンのほうは、おそらくボイルした鰯を、
缶詰にしたものでしょう。メーカーによって、身の大小はあるかもしれません。
オイル(ド)・サーディンは、発酵を促せていませんので、そのままです。

だから、缶を開けたときに、その風味の違いが気になるわけで、
乙山の見たところ、どうも外国産のサーディンは臭いが……
もし、初めてなのでしたら、やはり日水(ニッスイ)がいいのではないか、と。

よく出来ているんですよ。
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