れんこんと牛蒡のきんぴら

RenkonGobou_Kinpira.jpg
五目豆はすっかり我が家の定番料理になってしまった。大豆、干し椎茸、にんじん、筍、昆布などを煮て作るのだが、今回は筍の代わりに牛蒡(ごぼう)を使ってみた。いやね、その日は筍を買うつもりだったんだけど、ふと見ると横にすでに水洗いした牛蒡があるではないか。そうか牛蒡でも五目豆はできるぞ、とやってみたところ、野趣にあふれてたいへんおいしかった。ううむ、牛蒡はなかなかおいしいなあ、などと感心した。

ところが牛蒡が少し余っているではないか。こいつをどうしようか、と考えたがやはりここはきんぴらでしょう。れんこんと牛蒡のきんぴらを作ろうというわけです。で、早速れんこんを買おうと思ったのだが、やけに高いではないか。ちょっとした小さな切れ端が400円ほどもしている。これには何かわけがあるのだろうけど、いささか高すぎる。

そこで例によって近所の業務用食料品店に赴いてれんこんスライスの水煮を買った。200gで100円以下である。品質とか安全性を考えると国産の本物がいいに決まっているのだろうけど、そうとばかりも言っていられない。臥薪嘗胆である。れんこん、牛蒡、にんじんと材料を揃えたら料理に取りかかろう。

れんこんスライスの水煮を半月型に切り、牛蒡は斜めの小口切りにしたものを細切りにする。マッチ棒の感じである。それをしばらく水に放ってアクを抜く。にんじんもだいたい同じ大きさの細切りにしたら準備完了。なんとも手間のかからぬ料理だなあ。後はこれを炒めて味をつけるだけ。

ゴマ油で牛蒡、にんじんを炒める。れんこんは水煮にしてあるので最後に入れる。ある程度炒めたら酒、みりん(と砂糖)、しょうゆで味を決める。酒:みりん:しょうゆ=1:1:1でいいと思うが、他のレシピも参照して好みの味に仕上げよう。ここで削り節と昆布でとった出汁を使う方法もあるが、今回は出汁を使わない。汁気がほとんどなくなるまでフライパン(我が家では中華鍋)で炒め煮にする。それほど時間はかからないと思う。

今すぐ何かつまむものを、ということできんぴらを作るときはそのまま炒め煮にして仕上げるしかないのだが、時間に余裕のあるときは途中で火を止め、しばらく冷やしてみる感じで「休ませる」のがじつは、きんぴらをいい感じに仕上げる最大のコツなのかもしれない。そうすると、味が染みわたって「ご飯の友」になりますよ。どうするかは本人の味加減一つで決まるが、晩酌のお供にも、お弁当のおかずにも使えるのがきんぴらである。

好みで唐辛子の細切りを入れると味のアクセントになるが、辛い物が食べられない人は使わぬ方がよい。煮物とは違うので、できあがったらもうその場で食べられるのがいいところ。油を多少使うけれど、これはお手軽料理の代表みたいなものだろう。今回はれんこんスライスの水煮と、すでに洗って売っている牛蒡を使ったので手軽さは抜群。というか、横着料理の極みですな。

牛蒡と言えば、いつか、どこかで聞いた伝説がある。太平洋戦争当時、捕虜の米兵に牛蒡を与えたところ、後に「木の根を食わされた」と元捕虜が訴え、責任者は厳罰に処された、という話である。ちゃんと説明したらわかってもらえるはずなのだが、なるほど欧米人からすると牛蒡は「木の根」にしか見えないのかもしれぬ。

この話、かなり広範囲に流布している(?)と思うが、たとえば「ゴールデンバッドは他の煙草の屑を寄せ集めて作ったものである」という話よりまことしやかに思えるもので、耳にした方も多いのではないだろうか。だけど不思議なのは、いったい、いつ、どこでそれを聞いたのか、ちっとも思い出せないことである。牛蒡を食べながら、そんな失われた記憶を辿ってみるがどうにも見つけることができないでいる。


【付記】
● きんぴらはさっとできていいですね。晩酌の一品としても、弁当のおかずにも使えるまことに便利な料理です。「きんぴら用野菜」などと水煮のパックも販売されていますが、何か一つ、本物の食材を使うと一味違います。牛蒡はじつに野趣があふれていて抜群の効き目がありますね。

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^^

捕虜の話は聞いたことがあります。
戦後のことですから十分な検証も行われず。
厳罰が下されたのでしょう。
食糧難の当時を思えば気の毒で哀しい話です。

しかし牛蒡は香りがいいし。
美味いものなのに美味くなかったのかなぁ?
美味けりゃ捕虜の文句も出なかった?

No title

こんにちは

三友亭主人、薄氷堂氏のブログつながりでお邪魔しました。
レンコンと牛蒡のきんぴらに魅せられて、ついついふらふらと。
年齢を重ねると、ほんとうにこういう料理が食いたくなるのだということを
若い時はどうしても信じられませんでしたが
日本酒を飲むのに
こんなに美味い一品はありません。
また、時々、寄せてもらいます。

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
おおやはり、牛蒡と米兵捕虜の話は広まっているようですね!
スパムミートという缶詰がありまして、まあコンビーフの
豚肉版のようなものですが、なかなかおいしいのです。
あのレベルが、軍の携帯食なんですね。

旧日本軍の携行食は乾パンとこんぺいとうだと聞いたことがありますが、
そのあまりに大きな開きに驚いてしまいます。
そりゃ、牛蒡ではなあ……勘違いされても仕方がないかな、と思いました。
牛蒡の香りの良さは、たぶんあちらさんには理解してもらえないのでは?
本当に野趣あふれる、美味しいものですね。

Re:根岸冬生さん

根岸さん、はじめまして! コメントありがとうございます。
三友亭さんや薄氷堂さんのところでお名前を拝見しておりました。
れんこんと牛蒡のきんぴらを、自分で作るようになるとは
思ってもいませんでしたが、薄味で作ると晩酌にいいですね!

写真の物は薄味でうまくいきましたが、後日再び作ったところ、
味加減をまちがえまして、ちょっと甘辛くなりすぎたのです。
なのでそれをおかずに、弁当男子なるものをやっております!

そちらにも伺わせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。

No title

わはは、臥薪嘗胆何て言葉をこの記事で見るとは。
まぁ、でも苦い肝どころか美味しい一品ですがね。

No title

 なるほどレンコンはキンピラの材料にはぴったりでしょうね。

 レンコンは最近でこそスーパーでよく目にしますが、北海道
ではもともとあまりなじみのない食べ物ではなかったかと思い
ます。歯ざわりがよくてうまいものですが、あまり家庭の食卓に
は上らないですね。

 外国人の口に合わない食べ物はどこの国にもあると思いま
すが、日本のゴボウはたしかに欧米人の口には合わないかも
しれませんね。ぼくたちは慣れているから平気ですけど、冷
静に味わってみると(笑)どうも土臭く、拒否反応があってもふ
しぎではないような気が……

No title

こんばんは。
美味しそうですね〜。
本当、かえるままも大好きですよ。レンコンって近年美味しさを知ったという感じです。
きんぴらも美味しいですが、たまに、ゴマ油でいためて、塩のみで味付けしてみても、とても美味しいです。ぜひともお試し下さいませ。塩のみだと水っぽくならないんです。シャキシャキっていう感じが別のお料理みたくて、おつまみにもいけます〜。

戦時中の捕虜の話は知りませんでした。
そうかー.....納豆なんて、「腐った豆食わされた」ってことになるのでしょうね。

Re:RSさん

RSさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
あれ、そんなに変でしたかね!
ここでは臥薪嘗胆は「耐え忍ぶ」とか「我慢する」程度の意味で、
使っているんです。どこか享楽主義的な匂いのする拙ウェブログでは、
臥薪嘗胆があまり似合っていない、というのはわかる気がします。

Re:薄氷堂さん

薄氷堂さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
いつぞやのアジもそうですが、れんこんも北海道では
あまり馴染みのない食材なんですね。

れんこんって、蓮の仲間でしょう?(まちがっていたらごめんなさい)
蓮というのはお釈迦様のイメージと重なり合うわけです。
お釈迦様というのはインドの人、ということは、
蓮はインドのような気候でよくみられる植物なんでしょうか。

とすると、北海道では蓮があまりというかほとんどない、
というのはうなずける気がしますね。
れんこん自体が、北海道にはあまり普及していなかったのでしょうね。

Re:かえるママ21さん

かえるママさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうですか、やはり北海道にあまりれんこんは普及していないのですね。
かえるママさんのおっしゃる「ゴマ油炒めの塩味」のれんこんもおいしそうです。

れんこんはね、てんぷらにすると美味しいのです。
市販の「コツのいらない天ぷら粉」なんていうのを使うと便利。
スライスしたれんこんを水にさらして、その後水気をよく切り、
「天ぷら粉」をまぶした後、水で溶いた「天ぷら粉」に絡めて
油に投入。これ、本当においしいですよ!

なるほど、「牛蒡と米兵捕虜」の話は聞いたことがないんですね。
そのような方もいらっしゃると思います。
乙山も、いつ、どこでそれを聞いたのか、もう思い出せないくらいです。

No title

きんぴらは小さいころは苦手でしたねえ・・・
でも、いつだったか(仕事についてから)、とある先輩の御馳走で新地のスナックにのみに行くという僥倖にあずかりまして、その時最初に出てきたおつまみがきんぴら。
せっかくの新地のスナックでのおつまみですから残すのはもったいないと思い口にしてみたら・・・

そのときからはお気に入りのおつまみになりました。

Re:gatayanさん

gatayanさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうですね、ごぼうはけっこうアクが強いですし、
きんぴらは地味な料理ですからね、子どもがおいしいと
連呼してぱくつくような食べ物ではないことは確かでしょう。

乙山は好きでも嫌いでもなかったですよ。
お弁当屋さんのきんぴらも、まあまあなんですが、
生のごぼうを買って来て作るきんぴらはちょっとしたものなんです。
北新地で食べたきんぴらがよかった、というのは素敵なことですね。

No title

レンコンそのものは本州で獲れるものですものね。
そうそう!レンコンの天ぷらは大好きです。
ごぼう、レンコン、ニンジン、玉ねぎ、長ネギ、海老なんか入れたかき揚げはとても贅沢な一品になります。
「根っこ」のお野菜って体を温める、とてもすぐれた食材らしいです。
土から大地の恵みをたっぷり吸収してるからとてもいいそうです。
なので、お大根、レンコン、ごぼう、ニンジン....などなど根っこの野菜は冬場は特に、大事に頂く様にしてます。... って当時の米軍捕虜にも教えてあげたかったです。

Re:かえるママ21さん

かえるママさん、こんにちは! 再コメントありがとうございます。
そうですか、やはり北海道ではれんこんの栽培をしていないようですね。
アジにしろ、れんこんにしろ、土地柄というものを感じました。

野菜のかき揚げはおいしいですね。
揚げものをほとんどしないので、めったに食べませんが、
たまに駅前のスーパーマーケットで揚げたものを買って来て、
それを魚焼きグリルで温めて食べることもあります。

気のせいかもしれませんが、れんこんは以前より高くなっているように思います。
どうしてそうなったのかわかりませんが、買いに行ったら高いなあ、と。
もっぱら外国の輸入品を使っていますが、
本当は国産のれんこんを食べたいですね。
冬は根菜をたくさん使った「豚汁」(大阪ではぶたじる、と言います)なんか、
とってもいいですよね。

No title

そうそう、大体秋~冬は蓮根が安くなるのでその時期に食べ溜めしていたのですが
今年はどうも値下げ幅が少なくて・・・結局買わずじまいでした。
(以前たまたま超不味い外国産竹の子の水煮を買ってしまって以来、パック詰めの
野菜に腰が引けてしまって(^^;)
ごぼうも蓮根も小さい時は苦手でしたが、今では酒のアテに食べたい野菜の
トップクラスです(笑)

米軍捕虜の話、私も聞いた事があります。
日本食初体験の一捕虜なら無理からぬ反応だとは思いますが、米軍上層部なら
日本文化に通じた人物も結構いたのではないかと邪推したり(苦笑)
ごぼうのきんぴらと一緒に日本酒もつけてお勧めしたら誤解も解けただろうになぁ
などとアホーなことを考えてしまいました(笑)

Re:zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なるほど、パック野菜の悪いのにあたってしまったんですね。
そうなると、もう二度と買おうかなとは思いませんね。

今回はきんぴらなので、なんとかひどさは露呈しなかったようですが、
やはり本物のごぼうを使ったのがよかったのかな、と。
すべてパックの野菜でやると、少し風味が落ちます。

米兵捕虜と牛蒡の話、いったいどこで聞いたんでしょうね?
さっぱり思い出せません。ひょっとしたら中学の時、
社会科の先生がそういう話をしたのかな、などと考えているんです。

だって、流布するには多くの人が集まったところでその話をしたほうが、
効率がいいでしょう? 個人から個人へ、という場合もあるでしょうが、
それではあまりにも効率が悪い。後は、何かの出版物に例の話が
載せられて、それを多くの人が読んだ、という可能性もありますね。
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只野乙山

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