切干大根の煮物

Kiribosi_Daikon.jpg
我ながら地味だなあとは思うけれど、時間のあるときに煮物を作るようにしている。それを冷蔵庫に保存しておき、帰宅してから温めるだけで食べられるようにしておけば、たいへん楽に晩酌を済ますことができる。出来合いの総菜を買うときも品数を少なくできるというものだ。今日は何も買わなかった、とか、ほうれん草だけ買ってきた、などということもあるくらいで経済的にもいいのではないかと思う。

煮物の中心になる食材を乾物にすれば、保存もきいて都合がいい。たとえば大豆、ひじき、高野豆腐、切干大根などだが、これらをストックしておけば最悪の場合でも何か食べるものはあるので非常事態にも対応できる。もちろん、ガスや水道が止まってしまうようなレベルの非常事態には対応できないかもしれないが、それらがあるだけでなんだか心強い気持ちにもなるというわけだ。

というわけで切干大根である。なに、切干大根? は、スタイリッシュ云々が聞いてあきれる、おばあちゃんのおばんざいって感じだね、どうやらあんたもその大袈裟な看板を下ろしたほうがよさそうじゃないか、などという声がどこかから聞こえてきそうである。なるほど、確かに地味、ではあるのだが、実際に切干大根を作って食してみると、味わい深い滋味があるように思う。

さて食材として切干大根、にんじん、薄揚げ、干し椎茸を用意した。煮物を始める前に干し椎茸を水で戻しておく必要がある。数時間で戻すことができるが、水と干し椎茸を入れた容器を冷蔵庫に入れ、一日かけてじっくり戻すくらいがベストではないかと思う。薄揚げは稲荷寿司に使うような袋状になったものより、「京揚げ」などと称するぼってりした一枚ものの薄揚げのほうが好みである。

切干大根30~40gを水でもみ洗いしたら、新しい水につけて戻す。たいてい切干大根を買ったら袋の裏側に戻し方が書いてあるはずなので、それに従ったらいいだろう。長く水に浸けていると歯触りが悪くなる、などと親切に書いてあったり、15分くらいで、と書いてあったりするようだが、だいたい10~15分程度でいいのではないだろうか。必ずタイマーをセットして忘れないようにしたい。

切干大根が戻ったら、絞って水気を切り、食べやすい大きさに切る。にんじん、干し椎茸薄揚げは細切りにして揃える。これらの作業をしながら、例によって削り節と昆布(私は粉末昆布を使っている)で出汁をとる。鍋に食材を入れ、出汁を張って煮ていくのだが、油で軽く炒めてから煮るというやり方もあって、好みに合う方を採ればいい。

みりん(と砂糖)を加えて5~6分、薄口しょうゆを加えて3~4分、落とし蓋または灰汁取りシートなどをして煮込み、最後は保温調理器に移して1時間ほど放置する。保温調理器に放り込んだままでも構わないが、経験上、ある程度時間が経ったら保温調理器から取り出して冷ましたほうがおいしくできると思う。この、冷めていく段階で味が染みわたるので、長時間ことこと煮込むのがおいしさの秘訣、ではありません。

風呂上がり、ほうれん草のおひたしと切干大根の煮物で銀河高原ビールをやっている。えっ、やっぱり地味ですか? 蛸あるいはマグロの薄切りにオニオンスライスとチコリなんかを添え、エクストラ・ヴァージンオイルとバルサミコ酢なんぞを振りかけたものをつまみながら、シャルドネあたりを傾ける、なんていうのも好きなんですよ。その気になれば作れますけど、毎日それをやるわけにはいきません。お洒落な洋風料理もそのうち、と思うのですが……


【付記】
● 冷蔵庫に魚があるのはわかっているんですが、つい閉店間際にスーパーマーケットに立ち寄ると、フライとかてんぷらが半額になっているのに足を止めてしまいます。その際も豚や鶏ではなく、鱧(ハモ)と鱚(キス)のてんぷらなんぞを手にしていました。いやいや、けっして無理はしていませんよ。どうしても鱧と鱚が食べたかったんですね。これからの季節、鱧がいいんです。

それにしても、まさか自分で切干大根の煮物を作るようになるとは思ってもみませんでした。正直言って、おかずとしてもそんなにうれしいものでもなかったような気がするのですが、実際に作ってみると、おやおや、けっこうおいしいじゃないか、などと思えたのが不思議でした。

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tag : 切干大根

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No title

切り干し大根は身体に良いそうですよね。
食物繊維とカルシウムがたっぷりの様です。
そうそう、こうして自分で作ってみると、美味しいな〜としみじみ思いますよね。
切り干しダインコンは最近作ってなかったので、また作りたいと思います。
只野乙山さんを見てると、料理そものを楽しみながらされてる感じが素敵だと思いました。
ついつい、毎日の仕事の様に、時間との戦いになってしまってますもの.....反省
料理の楽しさを忘れつつありました。

Re:かえるママ21さん

かえるママさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
どうしようもなく地味な切干大根であります。
マーケットでふと目に付いてなんとなく手にしてしまったのが最後、
どうしても料理しないわけにはいかなくなったのです。

時間のあるときとか休日に料理するようにしています。
ふだん遅く帰って来たときなど、料理する気にはなれません。
せいぜい、魚を焼くのが限度。

時間との戦いというより、子育てや家事が「戦い」ではないかと。
乙山の、お気楽料理とはわけが違います。
作りたいから作る、というところによって立ついわゆる「男の料理」には
どこかお気楽さ、無責任さがあるように思いますよ。

No title

おはようございます。
切干大根。美味しいですよね。干しシイタケもそうですが、
日に干すとどうしてあんなに美味しくなるのかな。
切干大根、さっと油いためしてから煮て味付けして、卵とじ、というのも
なんともかんとも美味しいですよ。
お酒の肴に少し脂質やたんぱく質が入ったのもいいかと。
そこに、少量のニラを加えて味付けして卵とじ、というのも美味しい。
ご飯がばくばくいけちゃいます。
ぁ、あんまりご飯はたくさん食べちゃいけないですね。^^

私は納豆が駄目なんですが、少し青味のまだ残ったような切干大根
を買って水で戻して、ぎゅっと水気絞って小さく切ったものを
納豆に混ぜて食べる。これなら不思議と納豆も食べられます。^^

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
おっしゃるように切干大根、なかなかのものです。
自分で料理するようになるとは思わなかったのですが……

梅雨に入ったかと思うと、見計らったように椎茸が安くなるような気がします。
ふだんは価格も安定していて、少々高めなのですが、
どういうわけか梅雨になると安くなるというか、大袋に入って
安い値段で売られているのを目にするようになるんですね。

なるほど、ニラを加えて卵とじというのを想像すると、
とってもおいしそうじゃありませんか。
ニラと卵の炒め物なんてのを、近所のスーパーマーケットで
買って帰ったりするくらいですからね。

あっ、そういえばこの一年間、卵を買ったことがありません……

^^

切干大根の煮ものに。
にんじん・薄揚げ・干し椎茸は定番ですね。

自分は薄揚げの代わりに。
さつま揚げ(ごぼ天)を入れていました。
キザミ昆布を入れてもいいですね。
見た目は悪いですが。
なかなかの味わいになります。

でも味付けは不得手で。
品のある味には。
どうしてもなりませんでしたねぇ^^;)/

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
切干大根の煮物を作るに際して、とりあえずどんなものが
入っていたかな、と思い出すことから作業を始めました。

ところが切干大根を食べた、という記憶があまりないのです。
そりゃ、食べたに決まっているんですが、脳が喜んで
記憶しなかったからでしょうか、記憶の引き出しの中から
さっと引き出すことができなかったわけです。

で、例によってネットのお世話になったわけでして、
定番料理になっているのはそういう「からくり」があるんです。
薩摩揚げとか、じゃこ天を入れるのもよさそうですね。
おでんでも、練りものを入れると、そこから出汁が出ますからね!

No title

ほうれん草のおひたしと切干大根の煮物で一杯・・・シブい!!
きちんとした出汁を取れば野菜だけでも美味しい煮物が
できるのでしょうが、ついつい手を抜いて出汁代わり&
ボリュームアップに鳥肉や豚肉を入れてしまいます・・・
暑い時期、野菜と油揚げだけなら冷蔵庫で冷やしたままでも
美味しいのですが肉を入れるとどうしても脂が気になるんですよねぇ(^^;)
私も夏仕様の煮物をマスターせねばです(笑)

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
地味→渋いと読み換えてくださるところに、zumiさんの
お人柄のあたたかさを感じます。渋いなんていえばまるで乙山が、
ケン・タカクラのようではありませんか(……)!

実際、もうこってりしたものはそんなに必要ないわけでして、
そういうものを摂取すれば、数年前と同じことを繰り返すだけでしてね。
確実に体力や代謝量が落ちている年代になってしまったのです。
だからそれなりに工夫しないとなりません。

zumiさんは「渋い」真似をしなくてもよいのではありませんか?
たぶん、そのままで素敵な人なのでしょう。
乙山はね、「治療レベル」なんですよ。
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