大根の含め煮

Daikon_Fukumeni.jpg
日を追うごとに日の入りが早くなってきている。朝晩の温度が下がってきて、とうとう冬用のジャケットに袖を通すようになってきた。見るとコートを着込んでマフラーを巻いている人もいるほどだ。いよいよ冬支度をしないといけないわけだが、暖房はどうしようとか、コートはどうするなど、あれこれ考えないといけないことが増えてきた。

部屋の温度はだいたい21~22度くらい(11月19日)で、まだ暖房装置を稼働していないが、足元が冷えるのでブーツタイプの室内履きと、ユニクロで買ったあたたかいズボンなんかを履いて過ごしている。これでどこまで(いつまで)いけるんだろう。もう十年くらい炬燵なしの暮らしをしていたけれど、久しぶりに炬燵にしてみようかな、そうすると床を一掃しないと炬燵を置く場所が……恥ずかしくてあまり言えたことではないのだが、まだ段ボールの一部が床に居座ったままなのである。

冬が来たんだなあ、などと思っていると大根、白葱、白菜などが安くなってきているではないか。夏から初秋にかけて野菜が高騰していたことを思うと信じられないくらいで、こうなると大根の煮物なんかを食べようかという気になってくる。風呂吹き大根やそぼろあんかけもいいけれど、まずは「大根の含め煮」からいこうではないか。というか、本当はただたんにそぼろあんや柚子味噌を作るのが面倒くさいだけなのだ。

おでんのところでも書いた(おでんの記事へ≫)けど、大根は皮付きのままでも差支えはないように思う。大根の品種や産地、または部位によって違うかもしれないが、大根を皮付きのまま煮込んで食べられない、などということはない。できるだけ生ごみを出さないようにしているわけだが、客人に出すときはきちんと皮をむいて料理したほうがいいのかもしれない。

水で洗った大根を輪切りにして下ゆでをする。米のとぎ汁や糠で煮込むのがよいが、なければ少量の米と一緒に煮るのもよい。米粉や上新粉を入れて煮るという方法もある。なんでそんな面倒くさいことを、水だけでいいではないか、という意見もあると思うが、米のとぎ汁(またはそれと似たやり方)で下ゆでするというのは昔から行われてきたもので、やはりそれなりの理由があってのことだろう。

一度水だけで下ゆでをしてみて、米のとぎ汁で下ゆでしたものとどう違うのか、などという実験をしてみると面白いかもしれない。まあ、そんなに面倒なことでもないし、大根の煮物のポイントといえばやはり下ゆでにあると思うので、ここはきちんと下ゆでをしようと思う。私(乙山)の場合、上新粉を入れて下ゆですることにしているが、これは晩御飯に米の飯を食べないので米のとぎ汁がない、という単純な理由でそうなっている。

下ゆでをしている間に削り節と昆布の出汁をとる。これが面倒なのだ、という人もあるかもしれないが、やってみるとそんなに大変な作業ではないし、ぜひ実行したほうがいいと思う。いつもは「昆布と鰹の合わせだし」という粉末即席だしの素を使っているけれど、大根だけの含め煮の場合、やはり出汁の風味が決め手である。ただし、一枚もの昆布ではなく、粉末昆布を使っている。

下ゆでした大根に出汁を張り、煮込んでいく。醤油、みりん、塩だけで味を決めるが、甘めの調味料を先に入れるのがポイント。同時に、削り節をお茶パックに入れて「追い鰹」を施す。これは絶対なくてはならぬものではないが、追い鰹をうっておくと風味が一段ときいて出来上がりに差が出るように思う。ちょっとしたことだが、おもてなし料理の際にはぜひ実行することをお勧めします。

最後に薄口しょうゆと塩で味を決め、ある程度煮込んだら火を止めて放置する。冷めていく段階でじんわりと味が染み込んでいくので、必ず一度火を止めて、食べるときにもう一度温めるというのが煮物の極意。もちろん、一晩おくと味が完全に染みわたるのでいちばんいいのは言うまでもありません。一晩おいたカレーが旨い、というのもたぶんこれと同じ理屈ではないかと思う。そうか、カレーも要するに「煮物」だったんだな、などと改めて納得した次第である。

私はよく保温調理器を使うけれど、やはり保温調理した後いったん鍋を取り出して完全に冷ましてからもう一度温めたほうがおいしいと思う。保温調理器を買うとレシピ本が付いてくるし、保温調理器販売サイトではレシピ集も用意してある。保温調理器にはそれ独自のやり方があるみたいだが、私はできるだけ普通のやり方に近い方法で調理して、煮込む段を保温調理器に任せるというやり方にしている。

さて大根の含め煮をいただきましょうか。時間をかけただけあって、箸ですっと切れる軟らかさ。そして出汁がきいた薄味になっています。これはやっぱり「ご飯のお供」ではありませんね。お酒をちょっぴり(?)飲みながら、どちらかというと「箸休め」のような感じでしょうか。他の料理と一緒に、食卓を彩るちょっとした料理、それが大根の含め煮なのでしょう。


【付記】
● 大根の下ゆでは少量をちまちまやるものではありませんね。ある程度の分量をやったほうがいい。そうして一部はおでんに、一部はこうして含め煮に、あるいは風呂吹き大根やそぼろあんかけにするというのがいいのではないかと思います。


人気ブログランキングへ blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

安くなりましたよねぇ冬野菜♪♪
これで健康的な晩酌タイムを過ごせると一安心しています(笑)

大根の含め煮、美味しそうです!そういえば竹の子の下茹でにも
米のとぎ汁を使いますが、その真の理由は判らずじまいでした・・・
一応「野菜のエグみを取る」為らしいのですが、私的にはとぎ汁で
茹でた時の甘いふくよかな香り目当てに日頃お昼の弁当でしか
食べない米を研いでいました(笑)

野菜一品だけのシンプルな煮物って、出汁の味がシビアに反映されるので
怖くて中々作れないんですよね~どうしても一品に野菜2~3種プラス肉とか
素材から出る旨味に頼ってしまって・・・(^^;)
まぁあまり気負わず、先ずは気楽に出汁を引くことを習慣付けた方が良いのでしょうねきっと・・・
楽しい晩酌のために頑張ります(笑)

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうでしょう、そうでしょう! 野菜が安くなってきているのです。
レタスが300円を超えたときにはもう……

米のとぎ汁を下ゆでに使うことは多いですよね。
なぜか、というのはまだ科学的に解明されていないのかな。
旨みを説明するのにイノシン酸がどうたら、グルタミン酸がどうの、
と科学的に説明してくれれば、納得することも多いんですよね。

大根の煮物の下ごしらえをしっかりやっておけば、
ここから「薄揚げと大根の煮物」とか「風呂吹き大根」とか、
「大根のそぼろあんかけ」や「鰤大根」に発展するわけでして。
もちろん「おでん」もそうですよね。

野菜がいろいろ入った「筑前煮」のようなものも好きですし、
野菜一品を含め煮にしたものも、やはりそれなりにいい。
気分に応じて、いろいろやっています!

^^

若い頃。大根は苦手で。
「大根おろし」しか!!美味いと思わなかったんです^^;
でも歳を取ると。味覚の許容範囲が広がるためか。
美味しく感じるようになりましたねぇ^^)/

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
大根おろしはおいしいですね。醤油をかけて、そのままご飯を
食べられる、なかなかいい食べ方ではないかと思います。

考えてみると、そんなふうにざっとしょうゆをかけただけで
ご飯のお供になるような野菜はあまりないのでは?
山芋くらいでしょうか、大根おろしに太刀打ちできるのは。

大根のおいしさがしみじみわかる、含め煮でしたよ。

No title

大根の下ゆでは大事だと実感しました。
我が家は毎日米を食べないので、米を少量入れて下ゆでしてから煮ましたが、シンプルなこう言う煮物は味付けが難しいですね。
何度も作って慣れる必要がありそうです。

Re:依里さん

依里さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
なぜ下ゆでに米のとぎ汁の使うのか、その科学的根拠や
実際の効能のほどはよくわかりませんが、
いくつかレシピ記事を拝見するに、米のとぎ汁を使わなかったら、

大根の輪切りの中心部がへこんできたり、
全体が大根臭い料理になってしまうそうです。
なのでやはり米のとぎ汁その他を使ってしっかり
下ゆでをするのがいいのだと思います。

まあ、味付けといっても塩・醤油・みりんだけですからね。
みりんを先に入れてしばらく煮込み、それから塩としょうゆで味決めです。
ちょっと薄いかな、というくらいで火からおろして
味を沁み渡らせるのがいいみたいですね。
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

⚫︎ 下の「全ての記事を表示する」をクリックすると、全記事のタイトル一覧が出ますので過去記事を参照することができます。

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント

openclose

最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アーカイヴ

2017/08 (6)

2017/07 (9)

2017/06 (9)

2017/05 (9)

2017/04 (8)

2017/03 (9)

2017/02 (4)

2017/01 (1)

2016/06 (1)

2016/05 (13)

2016/04 (13)

2016/03 (20)

2016/02 (10)

2016/01 (11)

2015/12 (10)

2015/11 (10)

2015/10 (11)

2015/09 (13)

2015/08 (10)

2015/07 (11)

2015/06 (10)

2015/05 (10)

2015/04 (10)

2015/03 (11)

2015/02 (9)

2015/01 (11)

2014/12 (9)

2014/11 (10)

2014/10 (11)

2014/09 (10)

2014/08 (10)

2014/07 (10)

2014/06 (10)

2014/05 (11)

2014/04 (10)

2014/03 (10)

2014/02 (9)

2014/01 (11)

2013/12 (9)

2013/11 (10)

2013/10 (10)

2013/09 (10)

2013/08 (11)

2013/07 (10)

2013/06 (10)

2013/05 (10)

2013/04 (10)

2013/03 (11)

2013/02 (9)

2013/01 (11)

2012/12 (9)

2012/11 (10)

2012/10 (11)

2012/09 (10)

2012/08 (10)

2012/07 (10)

2012/06 (10)

2012/05 (11)

2012/04 (10)

2012/03 (10)

2012/02 (10)

2012/01 (9)

2011/12 (9)

2011/11 (10)

2011/10 (10)

2011/09 (10)

2011/08 (10)

2011/07 (9)

2011/06 (9)

2011/05 (10)

2011/04 (8)

2011/03 (8)

2011/02 (12)

2011/01 (12)

2010/12 (12)

2010/11 (13)

2010/10 (15)

2010/09 (15)

2010/08 (14)

2010/07 (16)

2010/06 (17)

2010/05 (21)

2010/04 (18)

2010/03 (20)

2010/02 (23)

2010/01 (27)

2009/12 (27)

2009/11 (27)

2009/10 (26)

2009/09 (24)

2009/08 (19)

2009/07 (21)

2009/06 (30)

2009/05 (26)