筑前煮

Chikuzenni.jpg
野菜主体の煮炊きものを作って食べるようにしている。前回は「里芋の含め煮」だったが、今回は「筑前煮」である。筑前煮は九州北部の郷土料理「がめ煮」のことで、地元の人は筑前煮とは呼ばぬらしい。とにかくこの料理は牛蒡、蓮根、人参などの根菜をたっぷりとることができるお気に入りの一品。家の常備菜として作る人も多いのではないかと思う。

さて一からすべて仕込むとなると、蓮根だの牛蒡だのとけっこう手間がかかる。ところが、「筑前煮」と称して蓮根、牛蒡、人参、筍、椎茸、蒟蒻などをあらかじめ水煮にしてパックした食品が販売されている。これに鶏肉を加えるとすぐに筑前煮ができる、たいへん便利な食品セットである。早速、これを使って筑前煮を作ることにした。

嗚呼、何たる手抜き、怠慢と横着ここに極まれリ! などと自分でも思わぬでもないが、とりあえず手軽に作って食べようではないか。私(乙山)はこれでもけっこう忙しい(?)のである。と自分で勝手にわめいているだけかもしれないが、言い訳はこれくらいにして「お手軽筑前煮」を作ってみよう。

本当は食材を油で炒めるのが本式の作り方のようであるが、水煮してある具材セットを使うのであるから、じつはそれらに味を付ける(含ませる)だけでいいのだ。だから油は一切使わずともよい。酒、しょうゆ、みりんを鍋に入れ、鶏肉に火を通す。調味料の割合は酒:しょうゆ:みりん=1:1:1だが、好みで調整すればよいと思う。いったん鶏肉を引き上げ、そこに「筑前煮セット」の具材を入れる。

里芋を冷凍したものがストックしてあるので、それも加えた。水を入れ、「昆布と鰹の合わせだし」という粉末の即席出汁、酒を入れて煮込む。5~10分も煮込めばじゅうぶんと思うが、2~3分ほど煮込んだ後、保温調理器に移して20分ほど放置するという調理法を採用した。これは火を使わずに余熱で調理するというまことに経済的かつ理に適ったやり方だと思う。

保温調理器がなかったらそのまま弱火かとろ火で所定の時間を煮込めばよいし、火からおろした鍋を新聞紙とかバスタオルにくるんでおけば、保温調理器とほぼ同じ効果が得られるので試してみてもいいのではないかと思う。いずれにしても、ある程度煮込んだら完全に火からおろして自然に冷めるのを待ち、食べる前にもう一度温めるというのが煮炊きものの極意ではないかと思う。

薄口しょうゆを使い、砂糖を使わなかったことによるためか、仕上がりはかなり薄色、薄味になった。こんなのは筑前煮じゃないよ、という意見もあるかもしれぬ。なるほどこれはもう、筑前煮というよりは煮しめに近いものだろう。だが煮しめというのは煮汁がほとんど残らぬまで煮込んで仕上げるもので、私の「筑前煮」はわりと煮汁が残るように仕上げてあるのでそれとも違うものになっている。

ご飯のお供として作るなら、やはり濃口醤油と砂糖をしっかり使い、煮汁がかなり少なくなるまで煮切るようにすればいいと思う。また「やはり照りがないとねえ」という人もいるだろう。そういう向きはしょうゆ、砂糖、みりんをたっぷり使って照りが出るまで煮切るとよい。私は酒のお供としての料理を志向したわけであるが、どうみてもこれは「筑前煮もどき」としか呼びようのないものになってしまったようである。


【付記】
● 保温調理器はやはり便利です。たとえばスパゲティをゆでる場合、2分ほど茹でた後鍋からおろして保温調理器に放り込んでおき、所定の時間になるときちんと茹であがっていました。インスタントラーメンでも3分間は煮込まないといけないわけですから、それを思うとじつに経済的。これは夏でも重宝しそうです。


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No title

あと、2ヶ月後には、かえるままも、作ってます。
沢山の具材なので、少しずつ用意してても、気付けば大量になってしまうのですよね。
お正月料理の中で一番時間がかかりますね。でも、これがないと....って思いますので、必ずこれは作ります。
とっても美味しそうです。
料亭のお料理みたいに美しいな~と感心してました。
かえるままは、里芋が煮くずれてなくなってしまいます。(;´∀`)

Re:かえるまま21さん

かえるままさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうそう、少人数用に作ろうとすると中途半端な量になってしまうので、
結局、大量になってしまうんですね。だからこれは本来、家族向け料理です。

乙山は保温調理器を使ったので、あまりぐつぐつ煮込んでいません。
具材の水煮なので、もう火は通っているわけです。
後は、味をしみ込ませるだけ、というお手軽料理。

薄口しょうゆを使い、かなり薄味に仕上げていますが、
ご家族で召し上がるなら、やはりはっきりした味付けのほうが
ご飯のお供になるでしょうし、好評だと思いますよ。

はっきり言って、乙山の料理(味付け)はご飯のお供には不向きです。
ふつうは、食べてくれる人の年齢や嗜好を考えて作りますよね。
だから、甘辛くても煮崩れていても当たり前ですよ。

^^

筑前煮~

これ前の職場でよく作りましたよ^^
根菜は体を温める作用がありますし。
冬場に似合う料理ですね。
自分はこの他に。
食べ応えのある揚げ天を入れてました^^)/

Re:waravinoさん

:waravinoさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
蓮根とか人参などの根菜を食べるのが好きでして。
ごつっとしたやつを、柔らかく煮て、たくさん食べるのがいいですね。
人参も、蓮根も、「甘い」んですよね。

揚げ天など、練りものを入れれば、旨みも出ますね。
あっさり仕上げた(あっさりしすぎ?)ので、
そのあたりのことは考えに及びませんでした。

もう少し甘辛めにしたほうが、よかったかな?
などと食べながら思ったくらいです。

No title

めっちゃ美味しそう~!
私も煮物は薄味で砂糖不使用なのですが、これはやはり
(元々薄味好きなのもありますが)夕食(=晩酌)の時に
白いご飯をほとんど食べないからなのかもしれないですね・・・
酒のアテってピンポイントではお漬物や塩辛などの濃い
(塩気のきつい)ものも良いですが、食事を兼ねた飲酒タイムには
素材の味を生かしたお惣菜が合うんですよね~♪

しかし保温調理器、羨ましいです・・・!
私もかなり余熱利用をするのですが、室温下だと冷めた時点で
火が通りきっておらず、もう一度加熱しないといけないことが
多いんですよね~(^^;)

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうそう、乙山も夜は「米の飯」抜きなんです。
人によっては晩酌→ご飯というコースで、
どうしても米の飯を食べないと気が済まぬ人もあるようですが、
ビールと日本酒でカロリー的には一杯なんですね。

なのでもう何年も米の飯なしの夕食を続けています。
それが苦しいかといえば、そうでもないんですよね。
だから酒のあても、薄味に傾きがちなんです。
甘辛くして、ご飯のお供にする必要もないですからね。

保温調理は魚柄仁之助さんの本で知ったのです。
なるほど、そういう手があったか、という感じで。
魔法瓶のメーカーからいくつか製品が出ているようなので、
買ってみても決して損な気はしないと思います。

保温調理器はおでんとか含め煮に近い料理は得意ですが、
炒り煮に近い料理は不得意です。
乙山は薄味がメインなので、保温調理器は思ったより重宝しています。

No title

本当に色が薄いのがびっくりです・・・。
やっぱり関東は濃口醤油で味付けするので、薄味にしてもやっぱり色がつきますし。。。
その土地で違うものですね。写真は緑が綺麗で美味しそうですね。

フルタイムで働いているのと、家が駅から遠いので、我が家ではパルシステムを使っていますが、お煮しめミックスなるものを取り扱っています。
私もミックス使って今度作ってみよう!
どうも、生の野菜から作らなきゃいけないかな、と思うと、下ごしらえの面倒から敬遠してしまって。。。
2人だったらミックスで充分ですね。

Re:依里さん

依里さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
関西ではどの家庭でも薄口しょうゆをつかっているわけではないと思いますよ。
おそらくね、どちらかというと薄口しょうゆは少数派じゃないでしょうか。
調べてみたわけじゃないんですが、たぶんそうでしょう。

とくに色を薄くする必要がある業務用途みたいな感じですね。
肉じゃがにしても筑前煮にしても、色が付いていたほうが
おいしそうに感じる人が多いんじゃないでしょうかね。
味も、甘辛く仕上げてあるほうが、ご飯のお供としては受けがいいはず。

だから乙山のような薄味の筑前煮は関西でも一般的ではないと思います。
これは何というか、酒飲みのための料理みたいなもんですね。

生協の宅配システムは便利でしょうね。
煮しめとか筑前煮の水煮パックはいいですよ!
鶏肉さえあれば、とりあえずできますものね。
そこに、家にある野菜を足せば分量も増えますよ!
写真の筑前煮は冷凍の里芋を足してあるんです。
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