池田酒〈呉春〉普通酒

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朝の散歩で近所を歩いていると、「お酒の配達いたします」という看板を目にしてどうも気になっていた。後日その店まで出向いて行って話を聞くと、私(乙山)が住んでいる所なら配達可能だそうである。その日はお店の電話番号を記した紙をもらって帰り、数日後の休日、この後はずっと家にいるだろうということでお酒の配達をお願いした。〈呉春〉の普通酒一升瓶=1900円という嬉しいお値段、しかも配達料を取るなどということもしない非常に良心的なお店である。

個性の強い日本酒は飲んでも面白く、ウェブログの記事にも書きやすい。なのでつい、飲んだことのない酒をいろいろ試してみているが、個性の強い酒ばかり飲んで料理と合わせていると、それはそれでおいしいのになぜか「なんかちがうなあ」という気がしてきて、ごく普通の酒を飲みたくなることがある。これを「酒の寄り戻し現象」と勝手に称してこれまた勝手に納得しているのだが、酒の寄り戻し現象の際、まずに念頭に浮かぶ「普通の酒」が〈呉春〉とか〈香住鶴〉の普通酒なのである。

だが〈呉春〉とか〈香住鶴〉の普通酒の、どこがどう旨いのだ、と言われると少し困ってしまう。いずれもなんというか「おとなしい酒」とでも言うべきもので、これが呉春の、あれが香住鶴の特徴だ、などと声を大にして叫ぶような酒ではないのである。もしそれがなんの酒かまったくわからない状態で出されたとしたら、飲んでみて呉春だ、香住鶴だ、と言い当てることが難しいのではないかと思う。

それではいったい、それら普通酒の魅力はどこにあるのだろうか? 一つ言えるのは、それらを飲むと、他の酒の味がよくわかるということではないだろうか。たとえば最近、〈緑一特別本醸造原酒〉を飲んだ直後に、同じ蔵元の〈緑一本醸造〉を飲むと、なんだかぱっとしない感じがしたのだが、間に〈呉春〉を挟むと〈緑一本醸造〉が持つ酵母の香りがふわりと漂ってくるのである。そうか、こんな味だったのか、と改めて〈緑一本醸造〉のよさがわかった次第である。

日本酒のデータから何を読み取るかは人それぞれで、味わう前からデータを見ただけでその酒のだいたいの味の傾向がわかる達人もいるのではないか。いちおうわかる範囲で〈呉春普通酒〉のデータを挙げておくと、「原料米:五百万石、精米歩合:68%、酵母:協会7号、日本酒度:±0、酸度:1.3、アミノ酸度:1.2、アルコール度数:15~16%」とあるようだ。なにしろ蔵元のホームページがないため、販売業者のそれを参照するしかないのである。

以前〈呉春〉のことを記事に書いた(〈呉春〉の記事へ≫)ときにもふれたが、〈呉春〉は日本酒度が±0の酒。これは非常に珍しいのではないだろうか。いつも日本酒度がプラス方向に振れている酒を主に飲みつけていると、次第に辛口が標準というか、それを基準にして味を判断するようになる。それをもう一度リセットしてくれるのが私にとって〈呉春〉なのだと思う。そういえば〈香住鶴〉の普通酒も日本酒度は+2~2.5くらいで、そんなに辛口ではなかったように思う。

さて久しぶりに〈呉春〉の普通酒を飲む。うん、やっぱりこの味だな、なんておとなしいんだろうと思う。家で飲んでもおいしいけれど、池田の小料理屋なんかで呉春の普通酒を冷やしてくれていたら嬉しくなってつい頼んでしまうこともある。するとどういうわけか家とはまた違った感じでおいしく感じる。これはつくづく不思議に思う。酒の味は味覚によるものだとわかってはいるけれど、それだけではない様々な要素によってその時々の「味」が作られるというわけなんだろうか。


【付記】
● 朝、野菜(レタスと胡瓜)のサンドイッチを作って食べていますが、この時のパンは6枚切りを2枚重ねておりました。そんなにいうほど食べすぎではない(?)と思うのですが、このたび8枚切りに変更してみました。4日間も常温保存できませんので、半分を冷凍し、解凍した生パンを3日目に食べてみると、なかなかいけるではありませんか。
これは、常温(または冷蔵)で保存したパンの3日目よりおいしかったのです。なんだそんなこと、あたりまえじゃないかと思う方もいらっしゃると思うのですが、乙山にとってはなんだか嬉しい発見でした。


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No title

ふーむ、一種のチェイサーみたいなものですかね。
面白い考え方だなぁ。避けがちの普通酒も考え直してみたくなります。

No title

確かに一般的に美味しいと言われる個性の強いお酒って
飲み続けると飽きてくることも結構あるんですよね~
(飽きるまで延々飲み続けるなと言われそうですが(笑)
普通酒の魅力はやはり「普段着的な美味しさ」なのでしょうか?
まぁ普段着といっても機能美にこだわったジーンズ&Tシャツから
完全に室内着専用のダサダサオンボロシャツまで範囲は広いのですが(笑)
呉春や香住鶴など(言い方は悪いですが)ピンからキリまで多様な
酒を醸している酒造は普通酒のレベルも高いような気がします・・・
いや、「普通酒が美味い酒造は全種類の酒が美味い」というべき?
お酒を飲むシチュエーションに応じた味と価格を見極めるバランス感覚に
長けた杜氏さんなのだろうなぁと思います。

・・・などと言いつつ、私自身は「スカ」を掴むのが怖くて中々普通酒に
手を出せないでいるのですが(^^;)
とりあえず、呉春の普通酒は一度試してみたいです♪

Re:RSさん

RSさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
これはね、「料理と一緒に楽しむ酒」として考えた場合、ということなんですね。
乙山の場合、酒だけをもっぱら楽しむ、ということはあまりなくて、
だいたい晩酌のお供としての酒、を考えることになるんです。

そしてそれは、毎日お付き合いできるかどうか、ということも
ふくめていろいろ試しております。アルコール添加の普通酒が、
たとてばフランスのワインやドイツのビールに比べると
なんだか二流、三流の酒であるように思えてくることがありますね。

それらのことを考慮したうえで、なお、というかあえて(?)普通酒。
呆れる方もいらっしゃるでしょう、だけどそれなりの理由があるのです。

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
ううむ、これはねえ……なんだか難しいなあ。
普段着のつもり、なんですけど、いつもそれを飲んでいるわけでもないんです。
わりと癖の強めのものを好んで飲んでいることのほうが多いのかも?

普段着の酒が決まっているわけではなくて、
あれこれ飲んだ後で、ふと、思い出して飲んでみたくなる酒、
ということでしょうか。常にそれを飲んでいて、それを基準にしている、
というわけではないんです。

〈呉春〉とか〈香住鶴〉の普通酒は、ふだんおいしい酒を飲んでいる方からすると、
あれっ? という感じがするはずです。
何か強烈なインパクトを期待してはなりません。
これは重要ですよ。
なあんだ、という感じでそれらを飲み、おもむろに
ふだん飲んでいる「いい酒」に戻ってみてくださいね。
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只野乙山

Author:只野乙山

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