阪急塚口駅周辺を歩く(1) 中国旬菜 ちん竹林

TsukaguchiStn01.jpg
8月某日、所用で阪急塚口駅周辺に赴いた。塚口は阪急神戸線の駅の一つで、そこから伊丹行の支線が出ているので何度か利用したことがある。私(乙山)の場合、伊丹から飛行機に乗るわけではなく、伊丹にある小西酒造のレストランとか近隣の美術館に用事があったのだが、そういうことでもなければ伊丹とか塚口に立ち寄ることはめったにない。

だから目的が伊丹である場合も、三宮であるときも、塚口は常に通過点に過ぎないわけで、塚口で降りたのはじつは今回が初めてである。一枚目の写真は塚口駅の北口から出ようとしているところで、改札を出た瞬間から商店街が続いている。とはいっても、大阪の商店街にありがちな、猥雑な感じ(私はそれを愛しているが)がなくて、整然とした感じがするな、とか思いながら目的地に向かった。

TsukaguchiStn02.jpg用事を済ませた後、ゆったりとした気分で落ち着いて商店街を歩いてみる。いかりスーパーマーケットやコープこうべ(生協)があるのを見て、ああここはやはり兵庫なんだなあ、と改めて思う。塚口がある尼崎市は兵庫県なんだけど、尼崎というのはどこか大阪的な雰囲気がある(?)ようで、これが尼崎のイメージを決定づけている節がある。それで尼崎は大阪だと勘違いしている一部の兵庫県人すらいるくらいである。

尼崎における大阪的な雰囲気は、どちらかというと阪神電車とかJR沿線の街により濃厚に感じられるはずで、阪急電車沿線の街では尼崎≒大阪的な雰囲気を味わうには物足りない感じがするように思われる。これは、阪急の塚口が尼崎市の北端で伊丹市との境界付近にあることによるもので、大阪的な雰囲気がかなり薄まっているからではないか。

Chinchikurin_FrontView.jpg同じ関西エリアと言っても大阪と兵庫は微妙な違いがあって、十数年西宮/宝塚に住んでみた経験からこれは確かなことである。大阪と兵庫の、行政上の区画ではない、なんというか広い意味での文化的な境界はどのあたりにあるか、というのはこれまた微妙なところではないかと思うけれど、尼崎にその答えがあるのではないかと勝手に考えている。尼崎というのは大阪的なものと兵庫的なものが混じり合った面白い地域なのだ。

そんなとりとめもないことを考えながら街を歩いているのだが、じつはそうしながら中華料理店を探していることに気がついた。塚口駅北側周辺には、ぱっと目に付く中華料理店がないではないか! これは困ったことだなあ。いかりスーパーマーケット直営の中華料理店〈愛蓮〉があることはわかっているのだが、せっかくならその町の小さな(大きくてもべつにかまわないが)中華料理店に入ってみたいではないか。

Chichikurin_InnerView.jpg仕方ないなあ、などと思いながらいかりやコープこうべのあるメインストリートから外れた道を歩いていると、思わず通り過ぎてしまった店があり、引き返してよくよく見ると、どうやらそれは中華料理店のようである。ふつうの中華料理店にありがちな、黄色とか赤色のそれとわかる目印がないのでそうなったのだと思うが、〈ちん竹林〉という一風変わった名前の中華料理店に入ってみた。

ずいぶんお洒落な感じのする店内である。暗い目の照明で落ち着いた雰囲気。町の中華料理屋さんとは明らかに違う感じで、おそらく〈愛蓮〉の向こうを張ったのではないか、などと勘繰りたくなる様子。店内には胡弓を使った中国音楽が流れ、店員さんも明らかにそれとわかる発音で注文を聞いてくる。メニューを見ながら〈あんかけかた焼きそば〉と〈黒豚のジャンボ焼売〉を頼んだ。ちなみにこの日は平日ではなく、ランチメニューはありませんでした。

ChigtaoBeer.jpgそうそう、チンタオビールも忘れてはいけない。なにしろ用事(仕事)は済んだわけで、午後から自由である。めったにない半ドン(この言葉、今でも通用するのだろうか?)で、仕事中から今日は昼飯を何にしようか、などと考えながら業務をしていたのであるが、そのような不真面目な頭の中を外から眺められることはありません。いたって真面目くさった顔で淡々と業務に励んでいるように見えたはず。

さて料理が来ましたよ。なんという麺の細さ! これはね、本場風なんですね。神戸のチャイナタウン(南京町)あたりでも、華僑系の店はだいたい細いストレート麺になっている。だけど要するにこれは〈フライ麺〉じゃないか。私は中華鍋でこんがり焼き目を付けた麺にあんをかけたものを想像していたのだが、かた焼きそば=フライ麺という関西における中華料理の公式を忘れていたのであった。

AnkakeKatayakisoba.jpgなんとまあお上品な味付けだろう。豚肉、海老、イカ、たまねぎ、キャベツ、人参、ピーマン、椎茸、筍、とおなじみの野菜が使ってあるけれど、慈姑(くわい)も使ってあるではないか。空芯菜とか黄ニラ、袋茸あたりを使ってもっと「いかにも本格中華」というふうにするのではなく、玉ねぎ・キャベツ・ピーマンあたりを使っているところが面白いところだ。本格的にしたいのか、庶民的にしたいのか、いったいどっちなんだ、という感じがしました。

あんかけ焼きそばは、あんの固さと分量がポイントである。一概には言えないけれど、高級な店になるほどあんが薄味でしっかり固く、分量は少なめという傾向がある。あんが緩めでたっぷりあったなら、麺がそれを吸い過ぎてふやけてしまい、せっかくパリッと焼いた麺が台無しになってしまうのだ。かといって、あんが少なすぎると少々物足りない感じもする。この辺りの見極めが素人からすると本当に難しいところだ。

JamboShumai.jpg〈黒豚ジャンボ焼売〉もなかなかおいしかった。酢醤油を作って辛子をつけるのが面倒くさかったのでそのままかぶりつくのだが、それでじゅうぶん食べられる味が付いている。雰囲気からしてもう少し全体の量が少ないのかな、などと勝手に判断して追加注文したのだが、結果からするとあんかけかた焼きそばだけでじゅうぶんの量だった。いやあ〈ちん竹林〉、なかなかいい店でした。今後、このようなお洒落な華僑系の店がどんどん増えてくることを感じさせる、新しい時代の中華料理店だと思った。


【付記】
● 今回は主に阪急塚口駅の北側を歩きましたが、南側には〈塚口サンサンタウン〉という某スーパーマーケットを核とした巨大商業施設があります。少し歩いてみましたが、全体に寂れた感じがして空き店舗もわりとあったようです。その周辺には〈餃子の王将〉とか〈天下一品〉などもありました。

巨大商業施設を離れると、整然と区画整理された閑静な住宅街が続いていて、阪急電車=小林一三がこのあたりを一気に開発して売り出したんだろうか、などと想像しました。いわゆる阪神間モダニズムの雰囲気が残っているとでも申せましょう。このあたりが、大阪的なものと違うところなのです。


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あんかけかた焼きそば

写真から見ても。
けっこうなボリュームがありそうです。
しかも慈姑が入ってるなんて贅沢かも?

実はですね。かた焼きそばって。
美味いんですけどね。
何だか損した気分になるので。
あまり注文しないんですよ。
というのもラーメン・チャンポンのように。
スープがないからです(当たり前w

さぞやビールが美味かったでしょうねぇw^^)/

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんばんは!
そうなんですよ。
ビールを飲むと決めているときは、汁ものを控えなくては。
その観点からすると、汁のない「焼そば」がベストです。

慈姑が入っているのはいいんですけど、
合わせる野菜があまりにも身近なもので、ちょっと笑ってしまいました。
本当に、何を考えているんだか。

身近な野菜と言えば、神戸元町の〈香港茶楼〉という、
飲茶や料理を出してくれる店がありまして、
そこでも本当に身近にある野菜を使ったあんかけ焼きそばが出てくるのです。

ここは本当に歴史も古くて、身近な野菜を使う意味もよくわかるのですが、
新しい店でキャベツ・ピーマン・玉ねぎでしょう?
もちろんそれらは好きなんですけど、あまりに身近すぎて、

ちょっと高級感がなくなってしまう気がします。
狙いがよくわからない感じ、と言えばいいのでしょうか。
味はわりとよかったので、また行ってみてもいいかなと思える店でした。

No title

私なら2~3回店の前を通り掛かっても中華料理屋さんだと気付かない
かもしれません(笑)カフェか小洒落たパン屋さん風?
「がっつり食べられるカフェ」的に使う人もいそうですね~
中国茶やドリンクのバリエーションが多い店なら特に。

しかしあんかけ焼きそばにそんな法則があるとは知りませんでした・・・
いっそインドカレーのようにあんを別添えにして随時好みでかけるスタイルに
すれば良いかも、などと思わずアホなことを考えてしまいました(笑)

Re:zumiさん

zumiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
そうでしょう、本当に中華料理店とは気付かなかった。
こういうおしゃれな感じの中華料理店が、今後の主流でしょうね。

かた焼きそば=フライ麺
これは確たる法則があるわけではないのですが、
漠然とそうじゃないかと感じているのです。

だいたい、大阪の町の中華料理屋さんに「あんかけ焼きそば」なんてありません。
焼きそばといえば肉と野菜を炒めたしょうゆ味のものを指しますよね。
中華麺を鍋でこんがり焼いたものに中華あんをかけたものは
神戸の南京町辺りではよくあるんですが、乙山はそれが好きなんですね。
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只野乙山

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