阪急岡町駅周辺を歩く(2) レストラン はり重

Harijyu_FrontView02.jpg
阪急岡町駅の東側には昔懐かしい雰囲気の商店街がある。その商店街に入る前に、駅を出たすぐのところに駅前通りがあって、そこも商店街と同じように何とも言えない鄙びた雰囲気を持っている。なんとなく見ながら通り抜けてしまいそうな感じがしないでもない駅前通りだが、その一角にふと目が留まった。〈レストラン はり重〉とあるではないか。これは道頓堀にある老舗洋食屋と同じ名前である。

道頓堀の〈はり重〉と、岡町の〈レストラン はり重〉には何か関係があるのだろうか。ひょっとしたら何かあるかもしれない、などと思いながらどうも気になって仕方がなかった。もちろんだからといって、それがために仕事が手につかなくなる、というほどでもないが、8月某日、岡町の〈レストラン はり重〉に思い切って入店してみた。

外観もさることながら、内部もどこか懐かしい雰囲気である。四人がけのテーブルが二つ、二人がけのテーブルが二つほどの小さな店がまえ。メニューはいろいろあるようだが、その日は魚フライ定食(750円)を頼んだ。ハンバーグやとんかつもいいのだが、洋食屋さんで何を頼むかとなると、なぜか白身魚のフライになってしまう。

Harijyu_FrontView01.jpgどうしてそういうことになるのか、自分でもよくわからない。だけど白身の魚フライがおいしく食べられたら幸せだなあ。それにたっぷりと自家製のタルタルソースがかかっていればなお幸せな気分になれる。たいていの店は、たとえば鱚(きす)のようなものを貼り合わせて厚みを出したものや、あまり聞いたことのない深海魚を使った業務用の冷凍魚フライを揚げたところに、これまた業務用のタルタルソースを少しだけ添えて出す、などという場合が多いのではないかと思う。

それでもまあ、そこそこ食べられるものに仕上がっているのが不思議なところだ。さすが業務用、という感じだが、たとえばスズキなど肉厚の白身魚をたっぷり使い、本物のタルタルソースを使った魚フライとなると、おそらく1000円を超えてしまい、うっかりすると、とんかつやビフカツなどより高いことになりかねない。いやいや冗談抜きで、今や本物の白身魚は高級食材なのであります。

そもそも白身魚のフライに使われる魚はたくさんあって、いま自分が食べている魚が何なのか、わからないことが多いのではないだろうか。タラ、キス、カレイ、オヒョウ、メルルーサ、シイラ、ホキなどらしいけど、石橋の〈かつれつ亭〉で食べた魚フライは何だったのか、豊中の中華料理店〈楽珍〉でもわりとよく白身魚の料理を出しているがあれは何なのか、いまだにわからない。

Harijyu_FriedFishLunch.jpgさて料理が来ましたよ。小ぶりの魚フライが二つ、皿に乗っている。早速食べてみると、大葉を巻いてフライにしていた。これはたぶん、キスかなあ。違っていたらごめんなさい。わざわざ大葉を巻いていることからしても、ちゃんと手作りしていると思う。さくっと揚がっていてなかなかおいしかった。

わかめと豆腐の味噌汁、小鉢、漬物にご飯、抹茶を使ったお茶などが並べられた様子は、レストランのランチというよりは和風定食という風情。お腹一杯になる、という感じの定食ではないけれど、おかわりをしないで済ませるくらいでちょうどいい腹具合である。おわかりはしなかったけれど、とにかくたくさん食べたいという人であればおかわりをすれば満足できると思う。

食後にアイスコーヒーを注文してみた。近ごろ、喫茶店のアイスコーヒーを美味しいと思うことが少なくなっている。どの店も、なんだか薄味でコクがないように感じる。昔のアイスコーヒーのほうがおいしかったように思うのは私(乙山)だけだろうか。地域にもよると思うが、大阪のアイスコーヒー(冷コー)はどの店でも濃いめで何とも言えないコクがあったように記憶している。そんな「失われた味を求めて」半ば祈るような気持ちでアイスコーヒーを注文するのだが、なかなか感心する味に出合うことは少ない。

Harijyu_IcedCoffee.jpg〈レストラン はり重〉のアイスコーヒーはどうかというと、やはりいまどきの味に仕上げられているようで、濃厚な味わいというわけにはいかなかった。ううむ、ひょっとすると「昔は濃いめのアイスコーヒーだった」という認識自体がまちがっているのかもしれず、記憶の中で美化された味に固執しているだけなのかもしれない。アイスコーヒーはまあとしても、魚フライはなかなかだったので、また他のメニューも試してみようかなと思う。


【付記】
● 道頓堀の老舗洋食屋〈はり重〉との関係は、結局店主に訊けずじまいになってしまいました。いつかまた機会があれば尋ねてみようと思います。ところで岡町の〈レストラン はり重〉の二階はバーになっているようで、こちらもなかなか面白そうな感じ。かつての〈トリスバー〉のような雰囲気があるのではないかと想像しています。


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No title

↓吉行淳之介の記事では沢山のコメントが寄せられ、皆さんとてもハイエンドなファン層で、只野乙山さんの魅力が引き寄せていらっしゃるのだと、ただただ感心してました。
素晴らしい事です。

こちらの、食べ歩きの日記も、よくよく読めば随分と、文学の香りが漂っておられますよ。
それが、貴ブログの魅力なのでしょうね。
.....と今更ながら気がついた次第です。

濃いアイスコーヒーがお好きでしら、北海道にいらした際は、是非とも「かえるめがね」にお立寄下さいませ。
こだわりの無農薬コーヒー豆を細かく挽いて、焼きの深い、苦みばしったアイスコーヒーをお上がり頂けます。


乙山さんへ

魚のフライが喰いたくなりましたよ、
ぼくはタルタルもいいが醤油でいっちゃうことが多いですねぇ。
アイスコーヒーは濃い薄いもそうですが風味をだすのが難しいですねぇ。
ぼくの店でもアイスコーヒーは年中メニューになりますので、勉強しなきゃ
駄目だなあ。コーヒーは熱いから風味やコクが出るんですよ、と言っている
喫茶店の店主がいました。『HOBO's COFFEE』のアイスINバカラはきっと
うまいですよ。

豊平川から吹いてくる風が冷たくなりました。
札幌の秋は短いかもしれません。
乙さん、おれ今から魚のフライ喰ってきますわ。笑

伊勢正三

認識のズレ

アイスコーヒーの味。
昔は濃かったような~

そういう「確かにそうだったのに・・・今は如何なものか?」
というのはよくありますね。

自分のことで恐縮ですが。
子供の頃み見た入道雲は見上げるばかりに大きく。
まさにドドーンと言うように立ちあがっていました。

ところが。最近の入道雲を見ても。
そういうふうに感じないし見えない。
どれも元気がないんですよね(笑

子供だったから大きく見えたのか?
実際入道雲がしょぼくれてしまったのか?
記憶の中の入道雲が巨大に育ってしまっただけなのか?

どうにも判然としませんw^^)/

No title

はり重かあ・・・

大阪に勤めていた頃はよく行っていたんですけどね(もちろん道頓堀のほう)。

でも、私の気に入りは・・・自由軒。

カレーでは飲みにくいんですが、黒ビールならなんとかってかんじで昼から一杯やっていたわけですが・・・

でも、こんなふうに有名店と同じ名前の店を見つけるとちょいと気になってしまいますよね。

No title

道頓堀はり重とはまた違うレトロ感で中々良さ気ですね~
定食もといランチも美味しそう♪
大阪のコーヒーが濃いとはよく言われますが、中でも
ミナミは千日前の丸福珈琲(本店)は別格です!
すでにご存知かもですが、日本橋オーディオ機材巡りの後にでも
立ち寄って心行くまで苦味とコクを堪能してください♪
・・・とか書いているうちに、私も飲みたくなってきました(笑)
ラテやカプチーノも勿論美味しいのですが、まず一口目はブラック!
その後は気分次第でミルクをプラス、と言うのが基本だと信じる
オールドタイプな珈琲飲みです(^^;)

Re:かえるまま21さん

かえるままさん、こんばんは!
いやいや、この場合、吉行淳之介がポイントなのであって、
乙山はそれについてちょっと書いただけにすぎません。

文学の香りだなんて、とんでもない!
乙山はね、ただ好きなことを書いているだけなんです。
自分で書けることって、好きなことだけですから。

このマイナーなウェブログを立ち上げたときに、
好きなことだけを、無理をしないで書いていこうと決めたのです。
親類縁者にも、職場関係の人たちにも一切知らせておりません。

濃いアイスコーヒーは、ひょっとしたら乙山の記憶違いかも?
だってね、大阪の昔からあるような店に入っても、
なんか、おいしくないんだもの。
記憶の中では、おいしかったんですよ。
北海道へは、いずれそのうち?

Re:HOBOさん

HOBOさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
フライをしょうゆで、というのはなかなかいけそうです。
とんかつに大根おろしとポン酢を合わせることも多いですしね。
何でもかんでも、ソースばっかりじゃ面白くないじゃありませんか!

じつは、タルタルソースの次に好きなのが、
レモンと塩だけで食べるやり方です。
これもけっこう、味がわかるような感じがして、好きなんです。

アイスコーヒーは、美味しいなあ、と本当に思えるものが
少なくなっていると思います。
これは、と思う店に入ってみるのだけど、たいてい「あれっ」という感じ。
これだったら、UCCの缶コーヒーのほうが旨いじゃないか、って。

コーヒー豆の原価が高騰している、という話をよく聞きます。
それも関係しているかもしれませんね。

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうですよねえ……昔のアイスコーヒーがおいしかった、
というのは乙山の勘違いかもしれません。
勘違いの多い男ですから、これもその一つ、という具合で。

それでも乙山は、うまいアイスコーヒーを求めて、
またいくつかの店に入ってみようかと思っています。
外れることが多いとわかってはいるのですが、

おいしいアイスコーヒーが飲める店がある、とわかっているのは
これ、ひとつの幸せだと思うんですよ。
あそこに行けば、というちょっとした幸せがあるように思うんですね。

Re:gatayanさん

gatayanさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうそう、すっと素通りしそうになったとき、
どうしても気になって仕方なかったのが〈はり重〉という名前なんです。

それがなかったら、本当に素通りしたままで、
店に入ってみることもなかったんじゃないかと思います。
本家というか元祖(?)はり重と、岡町の〈レストラン はり重〉の関係は
いまだ謎のままですが、
いつかそのうち、岡町の〈はり重〉の店主にそれとなく訊いてみようかと思います。

自由軒をお気に入りになさっていたgatayanさん、さすがだなあ、
という感じがします。道頓堀と千日前は本当、近所なんですよね。
どちらもぶらぶら歩くのが好きです。

日本橋の電気街に立ち寄った帰りに、
道具屋筋とか千日前、道頓堀あたりを歩くのがもう、大好きなんです。
何とも言えない猥雑な感じがして、
いかにも大阪だなあ、という思いを深くするのです。

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
ああ、「丸福珈琲」ね! そうそう、そういう店がちゃんとあるのを
忘れておりました。千日前の「アメリカン」とかね。

そういう店をちゃんと書かないで、最近のアイスコーヒーは云々と
書いてしまったことをちょっと恥ずかしく思いました。
ですが全般的な傾向としてアイスコーヒーのレベルダウンは
乙山だけの思い過ごしではないような……

西宮/宝塚に住んでいるときは「にしむら珈琲」のお世話になっていました。
これは、なかなかいけるアイスコーヒーなんですよ。
初めから砂糖が入っているのですが、それでも許せるコクがあるのです。

昔のおいしかった大阪のアイスコーヒーからすると、
ちょっとだけ薄め、かもしれませんが。
近ごろは、本物のフレッシュクリームを、小さなピッチャーに
添えて出してくれる店が少なくなりましたね。

どこへ行っても、たいていガムシロップと植物性のクリーム状のものが、
ちいさな樹脂製の使い切りカップに入って供されます。
あれもなんだか、さみしいなあ。

No title

はり重・・・実は行ったことないんです。だって、なんかアヤシイんだもん(笑)
確か夜はバーみたいになる店ですよね??

岡町に5年住んでたのに、全然制覇出来てないなー。
今度ぜひ、市役所の隣の隣の隣あたりの「六源」行ってみてください!
焼鳥めっちゃおいしいですよー!
ランチもやってるみたいなので。レポ希望☆

Re:chihiさん

chihiさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
わかるわかる、たしかに岡町の〈はり重〉は……
はり重の二階がバーになる、というか、バーとしてやってるみたい。
入ってみたけど、なかなかいい店じゃないですか!

乙山が行った日は、お客さんはいなかったけど、
女性の人が一人で入ってきて、オムライスかなんか注文してましたよ。
だから、大丈夫なんだってば。

そうそう、岡町の商店街の終点こそ豊中市役所。
そういえばそのような名前の店があったような……
他ならぬ女王(?)のお勧めだもの、行ってきますよ。
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