カウント・ベイシー 『ベイシー(アトミック・ベイシー)』

Count Basie / Basie : so-called "Atomic Basie" (1958)

CountBasie_Basie.jpg
1. The Kid From Red Bank
2. Duet
3. After Supper
4. Flight Of The Foo Birds
5. Teddy The Toad
6. Whirly Bird
7. Splanky
8. Fantail
9. Lil' Darlin


これがジャズだ、と意識して聴いた一番初めのジャズは何かと思い起こせば、それはたぶんカウント・ベイシー楽団だったのではないかと思う。1970年代の終わりごろ、FMラジオの放送番組は今よりも多くジャズを流していたように覚えている。まだ自分でレコードを買えない少年だった私(乙山)は、ちょっと背伸びしてラジオでジャズを聴いてみたりしていたのだが、中でもはっきり覚えているのがカウント・ベイシー楽団だ。

それは戦後結成された「ニュー・ベイシー」の音楽だったわけで、やれレスター・ヤングがどうの、バック・クレイトンがどうのと吹聴し、やっぱり昔のベイシーがいいねえ、なんてわかったような口をきけるようになったのはわりと最近のことである。なるほど昔の音源を聴けばオールド・ベイシーの良さがわかっていいのだけれど、自分が馴れ親しんだニュー・ベイシーも捨てがたい良さがあるように思う。

さて原子爆弾の「キノコ雲」がジャケットに使用された『Basie』(1958)は、たんにBasieと書かれているだけなんだけど、ジャケットから『アトミック・ベイシー』という通称で呼ばれることも多いようだ。HMVやAmazon.co.jpなどで検索してみると、コンプリート版なども出ているようで、ジャケットの出来は今一つながらもこのアルバムの人気が伺えるようだ。

いわゆるビックバンドのスウィング・ジャズというのはたくさんあるけれど、カウント・ベイシー楽団は最も茶目っ気のある楽団ではないかと思う。カウント・ベイシー自身があのファッツ・ウォーラーに師事したという経歴があるだけでなく、楽団メンバー相互のいたずらも相当多かったみたいだ。そのへんのことはビル・クロウ『ジャズ・アクネドーツ』(村上春樹訳、新潮文庫、2005年)に詳しく書かれているのだが、聴衆へのサービスもちゃんと(?)やってくれるのがカウント・ベイシー楽団だと思う。

だから、とても親しみやすく聴いていて楽しいジャズに仕上がっている。ベイシー自身があまり音数を出さないというかたくさん弾かない人なので、楽団全体の音楽もなんだかシンプルに聞こえるような気がする。メンバーのソロが終わって、ちょっと隙間があいたときに聞こえてくるリズム、これが私などはたまらなく好きだ。ちょっと変かもしれないけど、ベイシー楽団の良さは、ピアノ/ギター/ベース/ドラムによる4ビートの心地よさにあるんじゃないかと思うくらい好きである。

アルバムの最終曲(9)、これこそもう何十年も前に耳にしてそれがずっと残っている大好きな曲。これはですね、オールド・ベイシー時代からずっと一緒にプレイしている、あのフレディ・グリーンのギターが前面に出ている珍しい曲なんです。といっても、なにもチャーリー・クリスチャンのようにソロを弾きまくるわけではなくて、ぽろん、と分散和音を出すだけなんだけど、これがなぜかいい。この(9)はグレン・ミラー楽団の「ムーンライト・セレナーデ」やデューク・エリントンの「ムード・インディゴ」のように、映画のエンドロールが流れているときに似合いそうな雰囲気がある。


【付記】
● カウント・ベイシー楽団の正統的なファンには叱られるかもしれないけれど、乙山はどういうわけか彼らのリズムが大好きなのです。あっ、本当だ、ちゃんとフレディ・グリーンが弾いているよ、なんて耳をそばだてながらリズムの心地よさに身をゆだねるのが最高にいいんです。


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ぬむふむ

お久しぶりです。
先日ちょうどこのアルバムをある喫茶店で聴く機会
にめぐまれました。昼休みのあわただしい時間だったので
ゆっくりはできませんでしたが、ふむふむ。
いつも乙山さんのふところの深さには驚かされます。
そこの店のタンノイがスバラしかったせいかしばらく耳から
はなれませんでした。

ところで、乙山さん、
JBLのC-40、HARKNESSをどう思いますか?
HOBO,最近、ハーツフィールドからHARKNESSに浮気ぎみ。
参ってます。あ、はい。笑

HOBO

Re:HOBOさん

HOBOさん、こんばんは! コメントありがとうございます。
何たる偶然、だけどこのアルバム、ジャケットはいま一つだけど、
中身はけっこういけてるんですよね。

ハーツフィールドか、ハークネスか。
これは難しいですよね。どちらも名機として知られたもので、
どちらを選んでもまちがいはないと思いますので。

たとえHOBOさんのシステムがLE8T一本だとしても、
それはJBLとしてHOBOさんの音を鳴らしてくれると思います。
同じ機械なのに、持つ人によってたぶん音が変わるんでしょうね。

ある喫茶店で聴いたタンノイが素晴らしいとしたら、
たぶんその店のご主人のお人柄に、HOBOさんも惹かれたのではないか、と。
全く非科学的で根拠のない話ですけど、
その人の人柄がよかったら、たぶん音もいいのではないでしょうか。

だからハーツフィールドでも、ハークネスでも、どちらでもOK!
どちらも、HOBOさんのお人柄、音を出してくれますよ。
どちらも、中古市場でもそこそこの値が付く逸品です。

なのでハークネスから始めて、お店が軌道に乗ったらハーツフィールドにする、
そんな感じで夢があっていいじゃないですか!
乙山だったら、ハークネスをお勧めしたいですね。

これは、全くの余談なのですが、村上春樹さんは
D130(低音)
2440&HL90(中音)
2420(高音)
という組み合わせで
お店時代から現在まで使っておられるそうです。



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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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