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アン・バートン 『ブルー・バートン』

Ann Burton / Blue Burton (1967)

AnnBurton_BlueBurton.jpg
1. I Can't Give You Anything But Love
2. Go Away Little Boy
3. He Was Too Good To Me
4. But Not For Me
5. It's Easy To Remember
6. You've Changed
7. The Good Life
8. In The Wee Small Hours Of The Morning
9. Sunny

聴いたことはないけれど名前とアルバムジャケットだけは知っている、というCD(レコード)がたくさんある。たぶん「JAZZ名盤入門」とか「ロック名盤100」などを見ながら、いつの間にか覚えてしまったものと思うが、いまはまだ買えないけどいつか買おう、と限られた音源を聴きながらそれらの雑誌をうっとり眺めていた時間がどれだけあったことだろう。それはひょっとすると、実際に音楽を聴いている時間より長いかもしれない。

アン・バートンの『ブルー・バートン』(1967)もそうした一枚だった。ジャズ・ヴォーカルには目もくれず、ホーン奏者やサキソフォン奏者のリーダーアルバムばかりを聴いていたころでさえ、いつか、どこかで目にしてしっかりと焼きつけられてしまったのだろうか、レンタル店〈蔦屋〉で『ブルー・バートン』を見つけたとき、すぐにそれとわかって手に取っていた。

音源はできるだけCDで購入するようにしているが、けっこうな場所取りといえるくらいの数になってきているのではないかと思う。そこで、限られたスペースで収めるため一部を「フラッシュ・ディスク・ランチ」というポリプロピレン製のソフトケースに移し替えている。こうすると、ふつうのCDケースのまま収納するときの約1/3に縮小することができるのだが、やはりぱっと見て手に取るわけにはいかず、人によっては多少不便になるかもしれない。

お金とスペースの節約(?)などというとみみっちい感じがしないでもないが、最近はレンタル店で見つけられない音源だけをネットで購入するという作戦を実行している。CDをiTunesでMP3ファイルに変換(256kbps)してUSB外部ハードディスクに保存したものが約400枚あるのだが、まだリッピング&エンコードしていないものがたくさんある。NASストレージ(ネットワーク対応ハードディスク)に保存して、ネットワークプレーヤーで再生するという計画を実行しようとするなら、また一から保存し直さないといけないのだろうか。

さて、アン・バートンという人について私(乙山)はほとんど知らない。ネットで調べてみると彼女はオランダ生まれの人で、34歳のときに初アルバム『ブルー・バートン』を録音しているようだ。私はジャズ喫茶に入り浸った世代ではなくて、その名残に触れたくちなのであまり大きなことは言えないが、かつてジャズ喫茶で非常に人気があったアルバムだと聞く。

聴いてみると、何とも落ち着いた雰囲気である。スタンダードのスロー・バラードが並んでいるのだが、アン・バートンのヴォーカルはじつにしっとりした感じ。若い女性ヴォーカルにありがちな華やかさや甘さ(スィートさ)を前面に出すのではなく、酸いも甘いも知りぬいた大人の女性ならではのえも言われぬ魅力があるように思った。なるほどこれは、ジャズ喫茶で人気が出たというのがうなずける仕上がりになっている。

バックで演奏しているのはルイス・ヴァン・ダイク・トリオという欧州のジャズグループ。ヨーロッパのジャズ、といってもミシェル・ルグランとかジャンゴ・ラインハルトくらいしか思い浮かばないが、アメリカのそれとは微妙に違うような気がする。どこが違うのだろう、と『ブルー・バートン』を聴きながらぼんやり考えてみたけれど、上手く説明できそうにない。ピアノの伴奏やソロはとてもいい感じだし、ゲストのサキソフォン奏者はスタン・ゲッツを思わせるスタイルのいい演奏を聴かせてくれる。

絶唱とか熱唱という言葉がしっくりこないアン・バートンのヴォーカルだが、聴きこむほどに味わいが出てくる不思議な魅力が備わっているように思う。ヴァン・ダイク・トリオの演奏も無駄なところがなく、アン・バートンをしっかり支えている。全体としてよく出来た、ヨーロッパ・ジャズの一枚、という感じの『ブルー・バートン』は、お店で流してもぴったりではないかと思う。飲食店でもファッション関係の店でも、空間をヨーロピアン・ブルー(?)に染め上げてくれるのではないだろうか。


【付記】
レンタル店で借りてきた音源で『ブルー・バートン』を聴いていますが、自分用に一枚持っていてもいいですね。わざわざ買っても決して損をした気持ちにはならない一枚として只野乙山が推薦いたします。が、さすがに保証はできませんのでその点よろしくお願いします。

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No title

今、youtubeで聴きました。
お酒とタバコが似合いそうな、素敵な音楽ですね~。
(ちなみに、熟女も似合いそうですよ。)(笑)


Re:かえるまま21さん

かえるままさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
なかなか、いいでしょう?
アン・バートンのヴォーカルは、ジャズが好きな男性の心を
がっちりつかむような雰囲気にあふれているように思います。
ですが女性の方も、楽しめるのではないでしょうか。
この種の音楽は、性別を問わず、心を打つような何かが、
あるように思うんですね。

Ann Burton

この方。
まったく知りませんでしたが。
動画にて聞いてみました。
深みがあって。
しっとりとしたvocalですね。
遠い昔に帰ってゆくような。
そんな切ない印象を受けました。

音楽音痴の自分にとってw
ジャズはどちらかというと。
苦手な部類ですが。
この手の歌声には共感するものがあります^^)/

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ジャズに限らず、ヴォーカルっていいな、と思います。
言語を解さぬ場合でも、感じるものがあって、
洋楽を聴いているとき、日本人の多くはそのようにしているのではないでしょうか。

とんでもないことや他愛のないことを歌っているのに、
それに感じ入って聴き惚れるという、
笑えぬ事態になってしまっていることもあるようですけどね。

でもまあ、いいじゃありませんか。
かつてしかつめらしい顔をして器楽のジャズを聴いていたこともありますが、
近ごろはジャズヴォーカルがとても好きになりました。

No title

ジャズを聴き始めてかれこれ40年位になります。
途中まったく聴かなかったこともありますが、やはり
ジャズはいいですね。
最近は、ビ・バップとかスイング時代のものを聴いて
います。
アン・バートンは名前だけは知っていましたが、聴いたことはありません。
一度聴いてみたいと思います。

Re:バランス屋さん

バランス屋さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
スウィング・ジャズは聴いていて、楽しい。
本当に理屈抜きで楽しめるのがいいところですね。
それこそ「スウィングしなけりゃ意味ないね」なんてところでしょうか。

乙山もアン・バートンを昔から知っていたわけじゃないんです。
だけど、名前とアルバムジャケットは覚えていました。
実際に聞いてみると、なかなかいいですよ!
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