ザ・ベスト・オブ・グレン・ミラー

Glenn Miller / The Best of Glenn Miller (2002)

BestOfGlennMiller.jpg
1. Moonlight Serenade
2. Little Brown Jug
3. Glen Island Special
4. Stairway To The Star
5. In The Mood
6. Stardust
7. Tuxedo Junction
8. Danny Boy
9. My Blue Heaven
10. Pennsylvania Six-Five Thousand
11. Anvil Chorus -Part 1&2
12. A String Of Pearls
13. Song Of The Volga Boatman
14. Chattanooga Choo Choo
15. Moonlight Sonota
16. Don't Sit Under The Apple Tree
17. American Patrol
18. (I've Got A Gal In) Kalamazoo
19. At Last
20. St. Louis Blues March


いつ、どんなふうにして聴いたか、はっきりと覚えてはいないのに、いつの間にか体にしみ込んでしまっている音楽があるのではないだろうか。レコードやCDなどの音源を持っているわけではないのにその音楽を知っていて、どこかで耳にすると懐かしいような感じのする曲が、だれしもいくつかあるのではないかと思う。私(乙山)にとって、その代表的なものの一つがグレン・ミラー楽団の音楽である。

映画『グレン・ミラー物語』(1953)を見たのはもう何年前のことだろう。ちょっと首をかしげながらトロンボーンを吹くグレン・ミラーを演じるジェームズ・ステュワートが格好良かったことを覚えているが、挿入曲として「ムーンライト・セレナーデ」や「茶色の小瓶」、そして「イン・ザ・ムード」などが使われていた。だけどそれまでにグレン・ミラーの音楽を意識して聴いたか、と言われればもう思い出すことなどできない。

1980年代になって、わたせせいぞうの『ハートカクテル』にもグレン・ミラー楽団の曲が何度か使われていたのではないかと思う。『ハートカクテル』は漫画というよりイラスト付き物語とでも呼ぶのがいいようなものだったが、ここぞという場面に手書きの歌詞付きで背景曲としてオールディーズの楽曲が登場するのである。そこに〈Moonlight Serenade〉という曲名を見たとき、もうすでにあのイントロが思い浮かぶほどだった。

そんなこんなで時は流れ、2000年を過ぎたころになってようやく、グレン・ミラー楽団の音源を初めて自分で買うことになった。たぶんあれは阪急川西能勢口のモザイクボックスにかつてあったHMVの店頭だったと思う。Membranの10CDボックスセットでグレン・ミラーが売り出されていたのを見た。1500円前後の格安価格で10枚ものCDが楽しめる、ということであまり考えることもなく購入した。

GlennMiller_InTheMood.jpgMembanのCDは怪しいと思っておられる方も多いと思うが、ジャンゴ・ラインハルト、フランク・シナトラ、デューク・エリントン、ファッツ・ウォーラーのMembran10CDを買って聴いてみた経験から言わせてもらえば、それらはメジャーレーベルの「純正音源」とそんなに遜色がないというか、ほとんど違いがわからないくらい。私の耳はあてにならないけれど、もともと古い音源ですからね。

それでも純正音源のグレン・ミラーは気になるもので、今回は『ザ・ベスト・オブ・グレンミラー』を聴いてみた。これはおそらく1930年代後半から1940年代初頭にかけてのRCA/VICTORによる録音で、グレン・ミラー自身が楽団に在籍していたころのもの。ご存じとは思うが、グレン・ミラーは1944年に飛行機事故で亡くなっており、グレン・ミラー楽団は現在も活動が続けられている。

きわめてよく知られた(1)(2)(5)をはじめとしたグレン・ミラー・サウンドはやはり落ち着いて聞いていられます。(8)はトラディショナル曲で、映画『ブラス!』(1996)で炭鉱作業による肺病で病院にいるバンドリーダー(ピート・ポスルスウェイト)を、楽団員が窓際から演奏して励ます場面に使われたもの。また村上春樹『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』(1985)においても、最終場面近くで重要な役割を果たす曲なんですね。(20)のイントロは水前寺清子さんのヒット曲を思い出させてくれます。

深夜に音楽を聴くときはよくiPodのシャッフルによる自動演奏に任せることが多いのだが、それでも最後に「ムーンライト・セレナーデ」をふと聴きたくなって呼び出すこともわりとある。そんなときのためにも「ムーンライト・セレナーデ」「茶色の小瓶」「イン・ザ・ムード」そして「ダニー・ボーイ」はしっかりiPodに入っている。


【付記】
● ビッグバンドのジャズといえば、グレン・ミラー楽団の他にデューク・エリントン楽団、ベニー・グッドマン楽団、そしてカウント・ベイシー楽団などがあります。それらの中でグレン・ミラー楽団はとりわけ大人しいというか上品なイメージがあるのです。
スウィングはしているけど、ずいぶん控えめなスウィング。ジャズなんだけど、グレン・ミラー楽団の音楽がポピュラー曲として流通していたことが伺えるのではないかと思います。


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こんばんわ。

グレン・ミラー、懐かしいです。
乙山さんの記事は、ほんといいなあ。
私は高校の時にジャズに目覚めたのですが、
やはり前兆というのがありました。
中学の時、吹奏楽で「イン・ザ・ムード」も「茶色の小瓶」
「ムーンライト・セレナーデ」も演奏したことを思い出しました。

当時、コンサートではシューベルトの「未完成」や
ベートーベンの「エグモント序曲」などをやっていましたが、
先生は時々、このグレン・ミラーの曲を練習し演奏させました。

今思えば楽譜どおり演奏しただけで、ジャズが何かも知らず
全くスウィングしていなかったように思います。

Re:mapことクワトロ猫さん

mapさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
中学の吹奏楽でグレン・ミラーを演奏するなんて、
とてもうらやましいですね。

そうそう、高校生の頃っていろいろな物事に
興味を持って未知のものをどんどん吸収しましたね。
マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」とか
ジョン・コルトレーンの「マイ・フェイヴァリット・シングズ」なんかを
スピーカーの前に座って、小難しい顔をして聴いたように思います。

何にもわかっちゃいなかったけど、恰好だけは真似をしたかった。
スウィング・ジャズやジャズ・ヴォーカルが楽しいなあ、と
思うようになるのはずっと後のことでした。
高校生の頃は、何にもわかっちゃいなかったけど、なぜか真剣でしたね。

懐かしいですね

こんばんは。札幌で何時も読んでます。年齢的に近いだけでなく、少年期に影響を受けた又は興味を持った物に共通する事が多くて毎度楽しませていただいてます。
今回思わずコメントしたのは、僕もわたせせいぞうのバックに書かれるバックのグレンミラーとかのオールディズが好きで、ここまで趣味が合うのか!と嬉しくなってコメントしました。

音楽だけでなくお酒の話や、街歩きの話が好きです。(僕も企画パクリで一人で飲むジャパニーズウィスキー、やってます)

Re:札幌の人さん

札幌の人さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
1980年代というのはなんだか不思議な空気が流れていたように思います。
ちょうど新しいものと古いものが入れ替わるようなね。

感性的には、乙山は古いタイプに属するように思うのですが、
そんな乙山でも1980年代の空気をちゃんと吸っていたんですね。
村上春樹もわたせせいぞうも、1980年代に登場したときは、
「自分は時代遅れの人間なんだけど」みたいな感じで、
新しさに対しては両者とも斜に構えていたんじゃないでしょうか。

「一人で飲むジャパニーズ・ウィスキー」、いいですねえ。
乙山もこつこつやっていますよ。
スコッチなどが安く手に入るので、きちんと日本のウィスキーを
飲んでいなかったことに気付いたので、
いまさら、という感じがしないでもないのですが、続けてまいります。
今後ともよろしくお願いします。

No title

はじめまして!
70年代少年と申します。
読ませて頂きました。
小生も週末は小説を書いてます。
是非とも読んで頂ければ有難いです。
よろしくお願いします。

こんばんわ。

私としては珍しく連続してのコメントです(笑)
でも、今回はグレン;ミラーのことではありません。

うかつにも二日前に発見しました。
乙山さんのランキング参加のことです。

やっと、乙山さんもその気になったかと嬉しくなりました。
前から、「こんないいブログ、なんでランキングに参加しないのかなあ」
と思っていました。

例えば、ラーメンの記事に共感を覚えても、
読者はそれを伝えるのはコメントしかなかったわけです。
なかにはコメントは書けない人がいます。
そんな人が共感や感動を簡易に表現する手段が
ランキングの「ポチッ!」です。

乙山さんの「ランキング参加」、歓迎!
だんだん上昇しその内に上位をキープすること間違いなし、です。
応援しますよ。

Re:70年代少年さん

70年代少年さん、はじめまして!
コメントありがとうございます。
なるほど、週末に小説をお書きになっているんですね。
どういう小説なのかな?
今後ともよろしくお願いします。

Re:mapことクワトロ猫さん

mapさん、こんばんは。再コメントどうもありがとうございます。
いやあ、これはね、何というか……「遊歩者 只野乙山」が
たとえばカウンターがない、とか拍手ボタンがない、ランキングにも
公式に参加していないということで、
ふつうのウェブログらしくない(やる気があるのかないのかわからない)
という感じがするように見えるらしいのですね。

「遊歩者 只野乙山」はそんなに訪問者数も多くないので
カウンターはあまり意味がなさそうだし、
拍手ボタンはなんだかそれを強要しているように思えて
すぐに外してしまったのです。

今回は少し気分が変わったのです。
「遊歩者 只野乙山」をもう少し広いフィールドに
投げ出してみようかな、と。
今後はもう少しふつうのウェブログに見えるように(?)
方向修正していくかもしれません。
応援ありがとうございます!

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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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