五木食品 アベックラーメン

Ituki_AbekkuRamen.jpg
先日、阪急川西能勢口駅近くにあるモザイクボックスという商業施設内の〈洋麺屋ピエトロ〉で高菜スパゲティを食べた後、すぐ目の前にあるちょっとした広場のようなスペースで九州名産品販売会を催していた。なんだかちょっと面白そうだし、少し冷やかし半分のぞいてみることにした。

笑顔のさわやかな県知事の写真入りの宮崎地鶏をはじめとして、辛子高菜、柚子胡椒、辛子蓮根やちくわ、さつま揚げなど盛りだくさんの内容で大いに楽しんだが、そこでふと立ち止まって手にしたのが五木食品の〈アベックラーメン〉である。五木食品のホームページを訪ねたこともあり、その存在は知っていたものの、まだ実物を見たことも食べたこともなかった幻のラーメン。

ううむ、〈アベックラーメン〉と来ましたか。名前の付け方が何とも名状しがたい味を出していて、けっこうインパクトはあるんじゃないだろうか。アベックというのはかつて盛んに使われた言葉で、男女二人連れ、というほどの意味だろう。すると〈アベックラーメン〉は男女二人で仲良く食べることを想定したのだろうか。あるいは二人前が一緒になっていることでその名前が付けられたのか。

そんなことをぼんやり考えながら〈アベックラーメン〉二袋を代金支払いの係の人に手渡そうとすると、「三袋でしたらお得ですよ」と言うので、それなら、と三袋にして差し出したところ「1000円です」という。えっ、と現実に引き戻されて言葉を失う。すると〈アベックラーメン〉は一袋333円ってことなのか? いくらなんでもそりゃちょっと、高すぎないか?

だってね、私(乙山)は知ってるんですよ。上の階にある量販薬局でね、五木食品の〈冷やし中華〉が一袋100円で売っているのを。二人前が一袋になっていて、これが100円、けっこうおいしいので暑い季節はわりとよく食べている。もちろんこれは量販店価格であり正規の値段ではないんだから比べられないけど、それにしても……あのマルタイラーメンだって一袋(二人前)で120円くらい、安い店だと98円くらいで売っているのである。

「あのう……えへへ、この商品はですね、現地というか地元ではたぶん130円くらいで販売しているのではありませんか、なのでこの価格はちょっと高すぎるように思えます。せめて一袋150円くらいなら、こちらとしても購入を前提とした検討に前向きになる用意があります」……じゃなかった、もとい、「こらぁ、こんなもん100円くらいで売っとんのわしは知っとんじゃい。なんやったらわしが上の店に連れて行ったってもええぞ。なに調子こいてぼったくっとんじゃい、舐めとったらいてまうぞ、ぼけ」

などと、まるで嘉門達夫のような口調で出かかった言葉を収め、物品の相場などまるで存ぜぬ旦那か紳士であるかのごとくいたって冷静沈着に〈アベックラーメン〉と現金の交換を済ませた。たぶんここで買わなかったら〈アベックラーメン〉をいったいいつ入手できるかわかったものではないだろう。ほぼ三倍の値段と思うが、まあいいではないか。この程度のお金でしか太っ腹ぶりを示すことができない男なのだ。

Ituki_AbekkuRamen02.jpgさて〈アベックラーメン〉を食べてみた。今回はあれこれ手を加えず、出来上がったラーメンに刻んだ葱を乗せるだけという横着(?)スタイル。スープは練り状になっており、粉末スープと液体スープの中間をとったものだろうか。こういう練り状の中華スープで有名なものに〈ウェイパー〉がありますね。三分間煮込んで、スープを入れ、ひとふきさせたら出来上がり。

しょうゆの味が抑えられている実にあっさりしたスープで、これはもう「塩ラーメン」といってもいいんじゃないかと思うくらい。だけどこれがなかなかいいお味を出しているじゃありませんか。一人前450mlとあるが、500mlくらいで調理するのがいいと思う。麺は細いストレートで、これは九州ラーメンには多いスタイル。茹でる前はまるでそうめんかと思うくらいだが、茹であがりはちゃんと極細ラーメンに仕上がる。

乾麺の状態で75gだから、食べざかりの男性にはちょっと物足りないかもしれない分量。なので若い男性なら、まず一人前を作って食べている間に残りの〈アベックラーメン〉を茹で、例の「替え玉」をすればいいんじゃないかと思う。私は腹八分目作戦を実行中なのでちょうどいい感じである。食べた後も胃もたれの類は一切なし、これはいいラーメンだ。

どうしてもマルタイラーメンとの比較になってしまうけど、両者はスタイルといい、味の傾向といい、じつによく似ているので、黙って出したらどちらかわからないんじゃないかと思うくらいである。だが、ひょっとしたらこっちのほうがいいかも、と思わせる実力が〈アベックラーメン〉にはあるのではないかと思う。


【付記】
● 五木食品のホームページによると「昭和35年発売のロングセラー商品。昔懐かしい、シンプルな鶏ガラ塩味のスープの付いた棒状即席ラーメン」だそうです(同社ホームページへ≫)。あの安藤百福による〈チキンラーメン〉の発売が昭和33年(1958年)ですから、〈アベックラーメン〉もたいへん長い歴史を持った堂々たる「クラシックラーメン」なんですね。

シンプルな鶏ガラ塩味というのが乙山の好みにぴったりなんです。たいへん申し訳ないのですが、町の中華料理屋さんのラーメンはしょうゆ味が強くてあまり個性を感じられないものが多い。神戸のチャイナタウン(南京町)や周辺の華僑系の中華飯店などに行くと、しょうゆ味を抑えた鶏ガラスープのラーメンがあって嬉しくなります。


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No title

今日の記事は面白かったです。
只野乙山さんは関西弁を巧みに操れるのですね?
ブログ記事からはダンディな男性と、思ってました。

九州ラーメンは、北海道では博多一風堂が小樽にありますが、かえるままは、どうも、ストレート麺を食べたのが大人になってからなので、ストレート麺はラーメンに思えないんですよ。
ちぢれ麺がラーメンと言う認識です。

Re:かえるまま21さん

かえるままさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
まあ、関西人ですからね……関西弁が普通なんですね。
ウェブログに書くときはあまり(というかほとんど)関西弁を使いませんが、
基本的に「書き言葉」で通している、というわけです。

まるでそうめんか細うどんのような感じがするのが
ストレート細麺ですね。これは華僑系の店でもそうで、
縮れ麺を使っているのは日系(?)の店に多いようです。
乙山はどちらも好きですが、ストレート細麺はとても好きなんです。

No title

1人前333円~!?
名作・熊出没ラーメンですらたまの贅沢品扱いの私には
とんでもなく高嶺の花です・・・
やはり歴史の重みというプレミアムが付いているからでしょうか??
腹は太いが肝の小さい私、マルタイラーメンを食べてアベックラーメンの
味を推し量ることにします(笑)

いつ見ても感心します

乙山さんのコラムはいつ見ても
素晴らしいですね。
固麺の本格ラーメンって
ときどきむしょうに
食べたくなりますね。

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
いやあ、これはね、名品物産展価格なんでしょう。
アベックラーメンがいつも一袋333円ってことはないかと。
たぶん130円前後の相場で、安売り店で100円前後じゃないですか。

ちょっと「ぼり過ぎ」な物産展でしたね。
柚子胡椒だって、こちらでフンドーキンが300円前後で買えるって
わかっているのに500円以上するんですよ。
柚子胡椒はスーパーに行ったらたいがい買えますよね。

珍しいものを、という気持ちもわからないではありませんが、
感覚がずれてますよねえ。この時代に……


Re:abe天国さん

abe天国さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
abe天国さんなら、仁川の「しぇからしか」を御存じでしょう?
あれは本格的な博多ラーメンですよ。
博多出身者が、いける、と言ってました。

その博多出身の人はやっぱり「しぇからしか」で注文するとき、
「ごくかた」とか言ってました。
まだ芯が残っているようなゆで方で、
上がってくるのにほんの2分くらいだったでしょうか。

もう数年前のことです。
「しぇからしか」でね、調子に乗って「替え玉」をしたんです。
その時はいいんですけど、後で胃もたれしましたね。
「しぇからしか」のせいではありません、乙山が悪いんです。

アベック・ラーメン

メチャクチャな値段ですね!@@;
ぼったくりもいいところではないでしょうか?
乙山さん。太っ腹です。

アベック・ラーメンは。
福島・マルタイと同じく。
歴史ある棒ラーメンですよね。

と言っても。
手に取ったことはありますが。
実際に食べたことがないんです(汗
マルタイと同じような味と知り。
安心致しました?w

よく食べたのは。
やはりマルタイですかね(白いご飯と一緒w)
福島は海苔が付いていたと思いますが。
余り食べませんでしたねぇ。
なんとなくマルタイと違い。
麺に違和感があったように記憶しています^^)/

Re:waravinoさん

waravinoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ですよねえ……いくらなんでも三袋1000円は高い。
だけどまあ、いいんです。名品物産展価格なんでしょう。
これがけっこう、おいしいんですよ。マルタイラーメンよりいいかもしれません。

福島ラーメン、知りませんでした。
それが福岡の八女福島から命名されているというのは
ネットで調べてみて、ついさっきわかったところです。

ネットの情報によりますと、福島ラーメンを製造している
江崎製麺は、現在筑後市に移転しているようですね。
ホームページがないのであまり詳しいことはわかりません。

それにしても九州ラーメンはすごいなあ。
マルタイラーメン、アベックラーメン、福島ラーメン、ロン龍、と
棒状ラーメンがずらりと並んでいます。
ぜひ食べてみたい〈幻のラーメン〉が、またひとつ
増えてしまいました。waravinoさん、ありがとうございます!
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