ゴールデンバット作戦

不健康な話題でたいへん申し訳なく思うのだが、たばこの話。見るのも嫌、という方もいらっしゃると思うので、そのような方はスルーしてください。
さてアクセス解析によると、「ゴールデンバット 味」などと入力して検索をかけ、「遊歩者 只野乙山」にたどり着いた、という人が少なからず存在するようである。以前はそれほどでもなかったが、たばこ税の増額が実行されてからその数は確実に増えている。
このことはやはりたばこ税が高いことと、ゴールデンバットが安価であることに関係しているのだろう。いまや一箱400円以上するたばこだが、ゴールデンバットなら200円である(2011年3月現在)。なのでゴールデンバットがそこそこいけるようであれば、それを吸ってみようかなという人がわりといるはずなのだ。
だが勘違いしてもらっては困る。ゴールデンバットは1906年に発売され現在まで残っている最古の銘柄であるが、ただ安さだけを売りにしているまずいたばこでは決してなく、他の銘柄にはないえも言われぬ香り高さがあり、根強い人気があって固定ファンがいる日本たばこの「名品」といってもいいくらいのものだ。
たとえばJTのホームページを見ると芥川龍之介や太宰治がゴールデンバットを吸っていたとの記述があるし、中原中也などは詩の中にずばり「バット」という固有名詞が出てくるほど。ちなみにそれは詩集『在りし日の歌』の中の「青い瞳」という作品の最後で、「飛行場に残ったのは僕、/バットの空箱を蹴ってみる」というくだり。またゴールデンバットというわけではないけれどたばこのことが書いてある詩をちょっと引いておきましょう。
空気よりよいものはないのです
それも寒い夜の室内の空気よりもよいものはないのです
煙よりよいものはないのです
煙より 愉快なものもないのです
やがてはそれがお分かりなのです
同感なさる時が 来るのです(「冬の夜」岩波文庫『中原中也詩集』より)
いや本当、こういうものを読むとゴールデンバットを吸いたくなってくるではありませんか。そういうわけで私も世間の冷ややかな目やたばこ税増額に対するささやかなレジスタンス的行為の発露として「ゴールデンバット作戦」を開始することにした。外でたばこを吸うときはともかく、自宅にいるときはゴールデンバットを吸うようにしたらいいんじゃないだろうか。じつは経済的理由が大きいのかもしれないのであるが、それはあまり大きな声では言えない。
ゴールデンバットはフィルターが付いていないので、少々吸いにくく、かなり多量のニコチンとかタールが含まれている。これを吸いやすく、フィルターも付けるとなるとやはりシガレットホルダーの出番である。ネットで見ると、パイプメーカーである柘製作所の〈八角〉やロンソンのホルダーなどがあり、たいへん心を惹かれたが、そういうふうにすぐ形から入ろうとする(つまり格好をつけたがる)のはおっちょこちょいな私の反省すべき点である。
できるだけ近隣のたばこ店で入手できるものをと探したところ、テラサキ株式会社の〈フレンドホルダー〉が今回の目的にぴったりであることがわかり、カートリッジ式のスペアも一緒に購入した。これはなかなか便利で吸いやすく、4~5本吸えば重たくなってくるのでカートリッジを交換すればよい。フィルターがあることで、味も多少ソフトになっていると思うし、テラサキのカートリッジは「たばこ本来の味わいを失わない」と謳っている。
馬鹿者、両切りをそのまま吸うのが本道である、只野乙山は美学的に失格だ、という声がどこからか聞こえてきそうだが、たしかにそれはそうかもしれぬ。だがまあ、いいではないか。本格的な、正しい両切りたばこの吸い方は通の御仁に任せておこう。ところで、ある程度までゴールデンバットを吸ったら外して捨てているけれど、これをたとえばキセルなんかに移し替えれば最後まで完全に吸いつくすことができるかもしれない。これ、今度やってみようかな。
さてアクセス解析によると、「ゴールデンバット 味」などと入力して検索をかけ、「遊歩者 只野乙山」にたどり着いた、という人が少なからず存在するようである。以前はそれほどでもなかったが、たばこ税の増額が実行されてからその数は確実に増えている。
このことはやはりたばこ税が高いことと、ゴールデンバットが安価であることに関係しているのだろう。いまや一箱400円以上するたばこだが、ゴールデンバットなら200円である(2011年3月現在)。なのでゴールデンバットがそこそこいけるようであれば、それを吸ってみようかなという人がわりといるはずなのだ。
だが勘違いしてもらっては困る。ゴールデンバットは1906年に発売され現在まで残っている最古の銘柄であるが、ただ安さだけを売りにしているまずいたばこでは決してなく、他の銘柄にはないえも言われぬ香り高さがあり、根強い人気があって固定ファンがいる日本たばこの「名品」といってもいいくらいのものだ。
たとえばJTのホームページを見ると芥川龍之介や太宰治がゴールデンバットを吸っていたとの記述があるし、中原中也などは詩の中にずばり「バット」という固有名詞が出てくるほど。ちなみにそれは詩集『在りし日の歌』の中の「青い瞳」という作品の最後で、「飛行場に残ったのは僕、/バットの空箱を蹴ってみる」というくだり。またゴールデンバットというわけではないけれどたばこのことが書いてある詩をちょっと引いておきましょう。
空気よりよいものはないのです
それも寒い夜の室内の空気よりもよいものはないのです
煙よりよいものはないのです
煙より 愉快なものもないのです
やがてはそれがお分かりなのです
同感なさる時が 来るのです(「冬の夜」岩波文庫『中原中也詩集』より)
いや本当、こういうものを読むとゴールデンバットを吸いたくなってくるではありませんか。そういうわけで私も世間の冷ややかな目やたばこ税増額に対するささやかなレジスタンス的行為の発露として「ゴールデンバット作戦」を開始することにした。外でたばこを吸うときはともかく、自宅にいるときはゴールデンバットを吸うようにしたらいいんじゃないだろうか。じつは経済的理由が大きいのかもしれないのであるが、それはあまり大きな声では言えない。

できるだけ近隣のたばこ店で入手できるものをと探したところ、テラサキ株式会社の〈フレンドホルダー〉が今回の目的にぴったりであることがわかり、カートリッジ式のスペアも一緒に購入した。これはなかなか便利で吸いやすく、4~5本吸えば重たくなってくるのでカートリッジを交換すればよい。フィルターがあることで、味も多少ソフトになっていると思うし、テラサキのカートリッジは「たばこ本来の味わいを失わない」と謳っている。
馬鹿者、両切りをそのまま吸うのが本道である、只野乙山は美学的に失格だ、という声がどこからか聞こえてきそうだが、たしかにそれはそうかもしれぬ。だがまあ、いいではないか。本格的な、正しい両切りたばこの吸い方は通の御仁に任せておこう。ところで、ある程度までゴールデンバットを吸ったら外して捨てているけれど、これをたとえばキセルなんかに移し替えれば最後まで完全に吸いつくすことができるかもしれない。これ、今度やってみようかな。
【付記】
● ゴールデンバットのことで何か役に立つ、有益な情報を書いた覚えはないのですが、以前ゴールデンバットの製造にまつわる伝説のことを書いたことがあるので興味のある方はご覧になってください(記事へ≫)。
● ゴールデンバットのことで何か役に立つ、有益な情報を書いた覚えはないのですが、以前ゴールデンバットの製造にまつわる伝説のことを書いたことがあるので興味のある方はご覧になってください(記事へ≫)。
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No title
私自身はタバコを吸わないのですが学生時代の友人や先輩に
タバコ吸いが多く、紫煙にはかなり免疫がつきました(笑)
彼ら自身かなりマナーの良い愛煙家だったのもあり、タバコ=悪と
一方的に決め付ける昨今の風潮には賛成しかねますが・・・
それはさておき、キセル!良さそうですね~(笑)
「仕事の後の一服」、まさにそんなイメージです。
お酒もタバコもTPOをわきまえて適度に嗜んだ方が美味しいですよね♪
タバコ吸いが多く、紫煙にはかなり免疫がつきました(笑)
彼ら自身かなりマナーの良い愛煙家だったのもあり、タバコ=悪と
一方的に決め付ける昨今の風潮には賛成しかねますが・・・
それはさておき、キセル!良さそうですね~(笑)
「仕事の後の一服」、まさにそんなイメージです。
お酒もタバコもTPOをわきまえて適度に嗜んだ方が美味しいですよね♪
Re:zumiさん
zumiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
シガレットホルダーは便利です。
かなり根元まで吸うことができますし、
これを火がついているうちにピンセット状のものでつまんで、
キセルに移してみると、ほぼ完全に吸いつくすことができるのではと。
だからといって何の得にもならないかもしれませんが、
一度吸った吸い殻をもう一度ばらし、紙に巻いて吸いなおす人が
いる話を聞くと、キセル作戦は非常にいいのではないかと思います。
いやほんと、やってみよっかな?
シガレットホルダーは便利です。
かなり根元まで吸うことができますし、
これを火がついているうちにピンセット状のものでつまんで、
キセルに移してみると、ほぼ完全に吸いつくすことができるのではと。
だからといって何の得にもならないかもしれませんが、
一度吸った吸い殻をもう一度ばらし、紙に巻いて吸いなおす人が
いる話を聞くと、キセル作戦は非常にいいのではないかと思います。
いやほんと、やってみよっかな?
私は、吸えないのです・・・
私は、鼻の血管が弱いため、
タバコを吸いたくても、吸えないのです。
吸ったら、すぐに鼻血がでますので・・・
では、またです。
タバコを吸いたくても、吸えないのです。
吸ったら、すぐに鼻血がでますので・・・
では、またです。
Re:テラゲン合格さん
テラゲン合格さん、コメントありがとうございます。
なるほど、いろいろなことがあるのでしょうね。
よほど空気のきれいなところでないと……
なるほど、いろいろなことがあるのでしょうね。
よほど空気のきれいなところでないと……
No title
ゆえあってタバコを止めた身ですが・・・・吸っていた時分は金のないときに、このゴールデンバットのお世話になりましたねえ・・・無論、打っているお店が少ないので、探し出すのがちょいと大変だった野ですが。
それが200円とは・・・・
たまりませんなあ・・・
それが200円とは・・・・
たまりませんなあ・・・
こんばんは。
自分では煙草は吸わない癖に、妙に煙草文化が好きな彼岸花です。
男の方の煙草を吸う姿が、好きで好きで(笑)。
この3月。ブログに戻ってきて、煙草の記事をアップしようと書いた途端に、
今回の東日本大地震。幻の記事となってしまいました。
ゴールデンバット。いいデザインですよね。
ショートピースの次くらいに好きです。
よく生き残ってくれたわね、言いたいくらいです。
そしてね。香りが好きなのです。
伝説。読ませていただきましたが、確かに確かに、
ゴールデンバットはショートピースの香りがします。
味は、吸わないのでわかりませんが。
ショートピース。特に缶入りのピースの香りは大好きでした。
匂いがきらいだったのはハイライトでした。
吸っているとひどい香り。デザインもどうも。
芥川龍之介に太宰治に中原中也!
なんと、ゴールデンバットの似合う方々でしょうか(笑)。
川端康成とか、谷崎潤一郎とか、志賀直哉だとかは、とんでもなく
ゴールデンバットが似合いませんね(笑)。
男の方の煙草を吸う姿が、好きで好きで(笑)。
この3月。ブログに戻ってきて、煙草の記事をアップしようと書いた途端に、
今回の東日本大地震。幻の記事となってしまいました。
ゴールデンバット。いいデザインですよね。
ショートピースの次くらいに好きです。
よく生き残ってくれたわね、言いたいくらいです。
そしてね。香りが好きなのです。
伝説。読ませていただきましたが、確かに確かに、
ゴールデンバットはショートピースの香りがします。
味は、吸わないのでわかりませんが。
ショートピース。特に缶入りのピースの香りは大好きでした。
匂いがきらいだったのはハイライトでした。
吸っているとひどい香り。デザインもどうも。
芥川龍之介に太宰治に中原中也!
なんと、ゴールデンバットの似合う方々でしょうか(笑)。
川端康成とか、谷崎潤一郎とか、志賀直哉だとかは、とんでもなく
ゴールデンバットが似合いませんね(笑)。
Re:gatayanさん
gatayanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
昔からあるけれど、意外と売っている店が少ないのが
ゴールデンバットなんですよね。
乙山もゴールデンバットを確保するのに「ちかごろ」奮闘しています。
昔からあるけれど、意外と売っている店が少ないのが
ゴールデンバットなんですよね。
乙山もゴールデンバットを確保するのに「ちかごろ」奮闘しています。
Re:彼岸花さん
彼岸花さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
どういうわけでそうなっているのかわかりませんが、
ゴールデンバットはピースの次に「香り高いたばこ」なのです。
これは本当に不思議です。
値段からすると考えられないことで、本当に謎としか言いようがありません。
日本たばこの、売れている多くのものは乙山にとって
そんなにおいしいと思えるものではないのです。
その中でゴールデンバットは例外的においしいのです。
ピースは、もう別格といっていいほどの、名品中の名品ですね。
フィルター付きのいわゆる「ロングピース」もいいですが、
両切りのピースがいいのです。それも缶入りのピースが。
日本たばこの、香り高いものを挙げよと言われたら、
乙山なら〈ゴールデンバット〉と〈ピース〉ということになるでしょう。
昔から言われた「バットはピースの味がする」というのは
あながち嘘やまちがいではないと思うのです。
どういうわけでそうなっているのかわかりませんが、
ゴールデンバットはピースの次に「香り高いたばこ」なのです。
これは本当に不思議です。
値段からすると考えられないことで、本当に謎としか言いようがありません。
日本たばこの、売れている多くのものは乙山にとって
そんなにおいしいと思えるものではないのです。
その中でゴールデンバットは例外的においしいのです。
ピースは、もう別格といっていいほどの、名品中の名品ですね。
フィルター付きのいわゆる「ロングピース」もいいですが、
両切りのピースがいいのです。それも缶入りのピースが。
日本たばこの、香り高いものを挙げよと言われたら、
乙山なら〈ゴールデンバット〉と〈ピース〉ということになるでしょう。
昔から言われた「バットはピースの味がする」というのは
あながち嘘やまちがいではないと思うのです。