手取川 吉田蔵純米

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北摂地域のとある町の小さな酒店をよく利用している。だけどそこで買うのは酒ではなくて煙草なのだ。その町ではついつい贔屓にしたくなる酒店がなくて、日頃から残念に思っている。ところがある日、いつものように煙草を買おうとその酒店に立ち寄ると、どこかで見たような文字が酒の一升瓶に書かれているのを見かけ、どうも気になっていた。

たいへん失礼なことではあるけれど、その小さな酒店にその酒があることが信じられず、ひょっとしたら自分の見まちがいではなかったかと、自分で自分を疑うようになってしまった。後日(一週間後)、またその酒店に行ったとき、例の一升瓶を見せてもらうと、やはりそこには間違いなく「手取川」と明記してあった。

「手取川」は石川県の酒で、石川は「天狗舞」や「菊姫」なども出している名酒の地。「天狗舞」や「菊姫」はよく見かけるけれど、「手取川」は私(乙山)の記憶では大阪駅前第2ビルにある酒店「山長」で一度見かけたことがあるくらいで、幻の酒とまではいかないまでも、それに近いような存在だった。

北摂から宝塚/西宮まで一升瓶を背負って帰ることを思うと少し気持ちが揺らいだが、何を隠そう、私はかつて梅田の「山長」から阪急宝塚線を経由して宝塚まで行き、それから今津線に乗り換えて西宮まで「雨後の月」の一升瓶を運んだ男である(記事へ≫)。酒店の店主に「それをください」と言うまでそんなに時間はかからなかった。

だけど、やっぱり重たかったですよ。とくに駅を出てから自宅までの道のりで、一升瓶はずっしりと肩にくるなあ。右に左に持ち替えて、何とか運びましたわい。酒は冷蔵庫で冷やして飲むのが好きなんだけど、寒くなってくると常温でそのまま飲んでも酒はおいしい。さっそく栓を開け、飲んでみました。

ほのかに果実系の香りがする。マスカットではなくて、これはメロンかなあ。どちらかといえば辛口で、軽みの中にきちんとした芯がある、とでも言えばいいのだろうか。飲んだ瞬間、驚愕の味覚が……などということはありませんが、これはいい酒だ。値段もまあお手頃(一升瓶=2200円)ではないかと思う。

じつは私が買ったのは「手取川 吉田蔵純米」という酒で、蔵元の吉田酒造店では、後継者育成と技術の伝承のために酒蔵を二つにして、若い杜氏が仕込んだものに「吉田蔵」と銘を打って出しているのだそうだ。だから私が飲んだのは通常ブランドの「手取川」ではなくて若い杜氏が精魂込めて仕込んだ「吉田蔵」のほうである。

石川の酒、いいじゃないか。私が日頃出入りしている関西の酒店ではどういうわけか新潟の酒を扱っている店が多く、石川の酒を主力商品として置いている店はあまり見かけない。「手取川」を飲むことがないのはそういう単純な理由からなんだけど、たぶん「天狗舞」や「菊姫」など石川の酒があまりにも有名になりすぎたのでいまさら、という感じがしないでもないから、かもしれませんね。


【付記】
● じつは石川の酒、ほとんど飲んだことがないんです。「天狗舞」も「菊姫」も。これを機会に石川の酒をもっと飲んでみようかと思っています。

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お正月と言うと

やはり 日本酒ですね。

そろそろ新年に飲もうと物色中です(笑)
ですが、合成酒以外なら あまり不味いと思わないので
決まった銘柄がありません(苦笑)

リーズナブルでおすすめのものがあったら
ぜひ!教えてください。

No title

一升瓶は結構重いからな・・・
電車で持って帰るってのは少々しんどいですよね。
おまけに、ちょいと恥ずかしくもある。

私の場合、移動はほとんど車だから、そんな思いはしなくても良いけど、「おや?」っと思うような発見は、あんまりありませんね・・・

とくに街中をふらつくことが最近滅多になくなってきました。

手取り川・・・いいですね。飲みやすくって華やかで・・・それでいて軽きに流れない。作り手の誠意が感じられるような・・・飲んだのは大分前でしたが、そんな印象があります。

Re:nyaaomiさん

nyaaomiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あれあれ、もうお正月の支度ですか?
乙山の場合、いま買ってもだいたい4~5日で
一升瓶がなくなってしまいます。

なので年末、20日を過ぎたころから
正月用の酒を考え始めるんです。
何がいいかな? そちらで入手できる酒でしょう。
どうしても全国区の酒になってしまいそう。

おおかたリーズナブルでおいしい酒をウェブログに載せるようにしていますので、
やはり「酒」カテゴリーをご覧になって、
いけそうなものをチェックしてくださいね。

Re:gatayanさん

gatayanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
仕事鞄に、黒いリュックサックを用いることがあります。
それだと、一升瓶がすっぽり入ってしまうのです!

重たいけれど、電車の中で奇異の目で見られることはありませぬ。
一升瓶を入れたビニール袋を晒してよいのは
ごく近所の酒屋で購入したときだけですよね。

手取川、乙山が飲んだのは若い杜氏さんが仕込んだ「吉田蔵」というもの。
通常の「手取川」とは勝手が違うようなのです。
それが、なかなかおいしかった。やるなあ、石川、という感じでした。
「菊姫」も「天狗舞」も飲んでみようと思っています。

No title

おはようございます。

只野さまのブログで日本酒の奥深さを知った者です。
ほのかな果実系の香り、それもマスカットではなくメロンの……。
お米からできている日本酒にも果実を思わせる香りがあるのですね。
米どころ、水どころ、酒どころの山形で育ちましたが、
吟味して飲んだことはありませんでした。
楽しい雰囲気の中でお料理に合ったお酒が出てくれば
なんでもおいしく感じてしまう大雑把な味覚です。

一升瓶を持っての電車での移動、
これはさぞさぞ粋なお姿でしたでしょう。

Re:サハラの南さん

サハラの南さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
諸般の(というか経済的な)事情で取り上げることはありませんが、
日本酒には「吟醸酒」という物がありまして、
これは精米歩合を非常に高めた米で造った酒なのです。

米粒はそのままだと「楕円形」をしていますが、
それを精米していくと丸い真珠のような形になります。
そうした真珠のようになった米で造った酒が吟醸酒で、
独特の「吟醸香」と呼ばれる香りがたつお酒ができます。

元のお米の半分以上をそぎ落としてしまうのですから、
当然、お金もかかる非効率的なやり方です。
しかしえも言われぬ味わいのお酒で、
乙山はもっぱら正月くらいしか飲むことができません。

一升瓶はね、リュックサックに収納して運んだのです。
なのでその姿を人に晒すことはありません。
電車の中では涼しい顔をして一升瓶を運ぶのに成功しました。
その後、たいへん難儀したのは言うまでもありません。

No title

こんばんは!
最近の日本酒業界では若い杜氏さんや蔵元さんもかなり活躍して
おられるようですね~
習うより慣れろ!で、どんどん酒造りに携わって美味しい
日本酒を産み出していただきたいものです♪

ところで電車内ではちゃんと座れたのでしょうか(^^;)
梅田~西宮間を一升瓶背負って帰るのは大変ですよね~
まぁその苦労に見合ったお酒であったようで何よりでした。
しかし1升瓶2200円は魅力的・・・また探して飲んでみます!

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
zumiさんの仰る通りで、若い杜氏さんもいらっしゃるようです。
そういう動きは、日本酒好きにはうれしい限りです。
本当にいいものですから、これからも造り続けてほしいですね。

〈電車内における一升瓶の取り扱い方〉、これはね……
いやいや、なにも言葉通りに「背負って」いるわけではありませんよ!
黒いリュックサックに、一升瓶をそのまま入れているのです。
まさか、この中に酒が入っているとは思うまい、うはは。
てな感じで電車内での運搬作業は終了しました。

仕事ではいわゆる「ブリーフケース」と呼ばれる多少薄型の鞄
もしくは「ボストンバッグ」を持ったほうがいいのかもしれませんが、
いまどきの男子たるもの、何かと持ち物があるのです。
そんなとき一番役に立つのがリュックサック。

かといって、「今から山に行くんですか?」などと言われても困ります。
できるだけ目立たない、けれど実際は何かと入れられて重宝する、
(コーヒーだって、自分で淹れてステンレスのボトルで持ちたい)
そんな要望に応えるには、目立たないリュックサックしかありません。

いまのところ、できるだけ目立たない黒色のリュックサックを
多く活用している状況です。
無駄がなくしかもデザイン的にも洗練された、
リュックサック(Dパック)を探しております。

「手取川」は山中さんにあるかも?

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