土屋守 『ウイスキー通』
土屋守 『ウイスキー通』 新潮社 新潮選書 (2007)


題名を見ただけで私(乙山)などは思わず手に取ってしまいそうになる一冊。本書『ウイスキー通』は、1998年に「世界のウィスキーライター5人」に選ばれた筆者が、いわゆる5大ウィスキーを語ったもの。
筆者、土屋守氏は週刊誌記者を経て1987年に渡英、ロンドンで日本語情報誌の編集に携わり、帰国後ウィスキー関連の執筆活動をしている人だそうだが、Amazon.co.jpなどで見ると、ウィスキー関連の著作が次から次へと出てきて圧倒される。
なにしろスコッチ文化研究所を2001年に設立し、隔月誌『THE Whisky World』の編集長も務めるほどの、日本で最もウィスキーに詳しい人物と思ってまちがいない人であろう。いまこれを、ネットでちょっと調べて書いているんだけど、本書を手に取るまで知らなかったのだから、私の不勉強がまた露呈してしまったというわけ。
さて本書は、5大ウィスキーにわかれた各章の初めに〈総論〉としてそれぞれのウィスキーの歴史や現在の動向などが記された後、〈Q&A〉の形でウィスキーにかんするよくある質問に筆者が答えるという形式になっている。その後〈スコッチウィスキーのつくり〉などそれぞれのウィスキーの蒸留方法を述べた後、蒸留方法に関する〈Q&A〉が設けられている。
スコッチ・ウィスキーは蒸留業者とブレンド/瓶詰め/販売業者が別になっている場合が多いというのが面白いところ。日本で喩えると、巨大資本の「なんとか商会」がサントリーとニッカの原酒を買い付け、オリジナルのブレンドを作って別の銘柄で販売する、というちょっとあり得ない感じが、スコッチ業界では当たり前であることや、スコッチの貯蔵樽のほとんどはバーボン樽であることなど、トリヴィアルな話題も満載。
アメリカン・ウィスキーではバーボンとテネシーの違いや、バーボン貯蔵庫のもっともいい場所である「イーグルズネスト」、熟成中に中身が蒸散した減り分をいう「エンジェルズシェア」など、知らなかったなあ、と感心させられる。またバーボン/テネシーの主要銘柄も紹介してくれている。
アメリカ禁酒法時代(アル・カポネが君臨した時代)に飲まれていた酒の大半がカナディアン・ウィスキーであること、アメリカ進駐軍が飲んでいた酒もカナディアン・ウィスキーが多かったこと。あのカナディアン・クラブの製造秘話や、シーグラム社がどうなってしまったのか、なども本書で知ることができる。
かつてスコッチと並び称されるほど隆盛を誇っていたアイリッシュ・ウィスキーがなぜ衰退してしまったのか? アイルランドにかつて100以上存在したウィスキー蒸留所が、現在ではいったい、いくつになってしまったのか。あまり知られていなかったアイリッシュ・ウィスキーのことがわかります。
そして日本のウィスキー。「日本ウィスキーの祖」でありニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝と寿屋洋酒店(現在のサントリー)の創業者、鳥井信治郎との関係。なぜ「ニッカウヰスキー」は「ニッカ」なのか、竹鶴政孝が北海道の「余市」蒸留所の次に選んだ、仙台の「宮城峡蒸留所」付近に流れる川の名前はいったい?
などなど、ウィスキー好きにはたまらない、知っているようで知らなかった知識が満載の本書のような書物は、やはり手元に置いておきたいものである。いままで、知ったかぶりで書いた記事のチェックにも本当に重宝しそうである。
筆者、土屋守氏は週刊誌記者を経て1987年に渡英、ロンドンで日本語情報誌の編集に携わり、帰国後ウィスキー関連の執筆活動をしている人だそうだが、Amazon.co.jpなどで見ると、ウィスキー関連の著作が次から次へと出てきて圧倒される。
なにしろスコッチ文化研究所を2001年に設立し、隔月誌『THE Whisky World』の編集長も務めるほどの、日本で最もウィスキーに詳しい人物と思ってまちがいない人であろう。いまこれを、ネットでちょっと調べて書いているんだけど、本書を手に取るまで知らなかったのだから、私の不勉強がまた露呈してしまったというわけ。
さて本書は、5大ウィスキーにわかれた各章の初めに〈総論〉としてそれぞれのウィスキーの歴史や現在の動向などが記された後、〈Q&A〉の形でウィスキーにかんするよくある質問に筆者が答えるという形式になっている。その後〈スコッチウィスキーのつくり〉などそれぞれのウィスキーの蒸留方法を述べた後、蒸留方法に関する〈Q&A〉が設けられている。
スコッチ・ウィスキーは蒸留業者とブレンド/瓶詰め/販売業者が別になっている場合が多いというのが面白いところ。日本で喩えると、巨大資本の「なんとか商会」がサントリーとニッカの原酒を買い付け、オリジナルのブレンドを作って別の銘柄で販売する、というちょっとあり得ない感じが、スコッチ業界では当たり前であることや、スコッチの貯蔵樽のほとんどはバーボン樽であることなど、トリヴィアルな話題も満載。
アメリカン・ウィスキーではバーボンとテネシーの違いや、バーボン貯蔵庫のもっともいい場所である「イーグルズネスト」、熟成中に中身が蒸散した減り分をいう「エンジェルズシェア」など、知らなかったなあ、と感心させられる。またバーボン/テネシーの主要銘柄も紹介してくれている。
アメリカ禁酒法時代(アル・カポネが君臨した時代)に飲まれていた酒の大半がカナディアン・ウィスキーであること、アメリカ進駐軍が飲んでいた酒もカナディアン・ウィスキーが多かったこと。あのカナディアン・クラブの製造秘話や、シーグラム社がどうなってしまったのか、なども本書で知ることができる。
かつてスコッチと並び称されるほど隆盛を誇っていたアイリッシュ・ウィスキーがなぜ衰退してしまったのか? アイルランドにかつて100以上存在したウィスキー蒸留所が、現在ではいったい、いくつになってしまったのか。あまり知られていなかったアイリッシュ・ウィスキーのことがわかります。
そして日本のウィスキー。「日本ウィスキーの祖」でありニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝と寿屋洋酒店(現在のサントリー)の創業者、鳥井信治郎との関係。なぜ「ニッカウヰスキー」は「ニッカ」なのか、竹鶴政孝が北海道の「余市」蒸留所の次に選んだ、仙台の「宮城峡蒸留所」付近に流れる川の名前はいったい?
などなど、ウィスキー好きにはたまらない、知っているようで知らなかった知識が満載の本書のような書物は、やはり手元に置いておきたいものである。いままで、知ったかぶりで書いた記事のチェックにも本当に重宝しそうである。
【付記】
● 土屋守さんの本は、他に『シングルモルトウィスキー大全』(小学館)、『スコッチ三昧』(新潮選書)、『ブレンデッドスコッチ大全』(小学館)、など本当にたくさん出ています。ううむ、いずれもやはり手元にあったほうがいいような題名ばかりです。
● 土屋守さんの本は、他に『シングルモルトウィスキー大全』(小学館)、『スコッチ三昧』(新潮選書)、『ブレンデッドスコッチ大全』(小学館)、など本当にたくさん出ています。ううむ、いずれもやはり手元にあったほうがいいような題名ばかりです。
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No title
面白そうな本ですね。今度本屋で見かけたらちょいと見てみたいものです。
もっとも私の場合、ウィスキーはトリスかブラックニッカか・・・そんなところですからあんまり役に立ちそうも無いんですけどね。
もっとも私の場合、ウィスキーはトリスかブラックニッカか・・・そんなところですからあんまり役に立ちそうも無いんですけどね。
No title
シングルモルトって実地訓練(という名の呑み)
しに行くとお高いっていうのがネックですよねぇ。。。。
ワンショットで10,000円とか。
サラリーマンには無理っす(泣
しに行くとお高いっていうのがネックですよねぇ。。。。
ワンショットで10,000円とか。
サラリーマンには無理っす(泣
Re:gatayanさん
gatayanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ううむ、思い入れもあることでしょうが、
gatayanさんの場合、もっといろんなウィスキーをお飲みになっても
いいのでは、と思います。
以前も書いたように思いますが、gatayanさんのようなお方が
飲まないと、他に誰が飲むのですか?
ウィスキーに対する憧れ、ありがたみ、そういったものを
ご存知の方が飲んでこそ。
ううむ、思い入れもあることでしょうが、
gatayanさんの場合、もっといろんなウィスキーをお飲みになっても
いいのでは、と思います。
以前も書いたように思いますが、gatayanさんのようなお方が
飲まないと、他に誰が飲むのですか?
ウィスキーに対する憧れ、ありがたみ、そういったものを
ご存知の方が飲んでこそ。
Re:KazNさん
KazNさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
えっ、ワンショット=10,000円?
なにそれ、と言いたい感じです。
あるじゃないですか、
「ザ・グレンリヴェット」とか
「グレンフィディック」が。
量販店だと、720(700)ml=2000円ちょっとです。
時流に乗った、阿漕な商売をする輩は困りますね。
いい酒との出会いがあればいいですね!
えっ、ワンショット=10,000円?
なにそれ、と言いたい感じです。
あるじゃないですか、
「ザ・グレンリヴェット」とか
「グレンフィディック」が。
量販店だと、720(700)ml=2000円ちょっとです。
時流に乗った、阿漕な商売をする輩は困りますね。
いい酒との出会いがあればいいですね!