スガシカオ 『Clover』

スガシカオ 『Clover』 (1997)

SugaSikao_Clover.jpg
1. 前人未到のハイジャンプ
2. ドキドキしちゃう
3. スウィート・ベイビー(フル・サイズ)
4. 月とナイフ
5. イン・マイ・ライフ
6. ヒットチャートをかけぬけろ(アルバム・ヴァージョン)
7. ドキュメント’97
8. サービス・クーポン
9. イジメテミタイ
10. 黄金の月


「プロフェッショナル 仕事の流儀」というテレビ番組を見ていたら、主題歌が耳に残った。その後、その番組を見るたびに「いい歌だな」と思っていた。そのうち、主題歌を歌っているのがスガシカオという人であることを知ったわけだが、同番組でスガシカオ自身が登場したことでその人となりを詳しく知る次第となった。

「プロフェッショナル 仕事の流儀」の主題歌「Progres」だけを買ってもよかったわけだけど、せっかくスガシカオという人を知ったのだから、どうせならデビューアルバムを聴いてみようと思い立ち、例によってレンタル店「蔦屋」で借り、iTunesにインポート(MP3/256kbps)して『Clover』(1997)を聴いてみた。

「Progres」のようなミディアム・テンポのポップを予想していたけれど、再生された音楽はファンクである。これは意外だった。私(乙山)の予想内では、スガシカオのちょっとかすれた、繊細で高めのヴォーカルとファンクという組み合わせは「ありえない」といってもよかっただけに、「えっ」という感じで聴いた。

ファンクの英語の歌詞などは、わりとストレートでわかりやすいものが多いと思うが、それに比べるとスガシカオの歌詞は繊細というかシニカルで、ファンクのリズム感との兼ね合いというか、その歌詞でどこまでノレるのか? という部分が常に付きまとってくるんじゃないだろうか。

だが何度か聴いているうちに、当初感じた違和感も少しずつ薄れていって「これでいいんじゃないか」と思うようになった。前に山崎まさよしの記事でも書いたんだけど、この『Clover』も聴き込んでいくうちにだんだんよくなってくるタイプのアルバムだ。

一方、アコースティック・ギターの弾き語りに近い(4)などは、歌詞がとても聞き取りやすくてよかった。「僕の言葉が足りないのなら/胸をナイフで裂いてえぐり出してもいい/君の迷いと言い訳くらい/本当は僕だって気付いてたのさ/いつかまたあんなふうに誰かを憎むのかな/だとしたらもっともっと抱きしめて刺のように心に刺さればいい/あなたにずっとずっと残ればいい」とミディアムテンポで唄う。

ちょっと危険な雰囲気が漂う(9)、どうしてもファンクで頑張る(10)は歌詞が印象に残った。「たとえ……なくても」という否定的な言葉が繰り返される中で、それでも自分にできるだけのことをしていこう、という強い意志のようなものが残る。

アルバム全体から感じられるものは親しみやすさ、あるいはわかりやすい甘さではない。そうではなくて、ほろ苦さや痛みの裏にほの見える情熱、とでも言えばいいのだろうか。それがポップの歌詞としてはちょっと格調が高いように思える(?)日本語の歌詞と、ファンクのリズムというあまりない形に乗って、微妙なバランスのもとに成り立っている『Clover』にはスガシカオらしさが本当にいっぱい詰まっているように思えた。


【付記】
● ファンクといえばジェームズ・ブラウンのようなイメージがありますが、JBだけがファンクではありません。たとえばスライ&ファミリー・ストーンやパーラメント、ファンカデリック、プリンスなどを聴くと、とても洗練されていることがわかると思います。その意味ではスガシカオのファンクがJBばりのエネルギーにあふれていなくても、それはそれでいいんですね。
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tag : スガシカオ

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こんにちは。

勤労感謝の日。久しぶりにこちらは快晴。
こんにちは。いつもありがとうございます。

スガシカオさん。私も『プロフェッショナル 仕事の流儀』のテーマを聴いて、
その名を知りました。後やはりご本人が出てらっしゃるのを見て、
これは一本筋の通った人のようだな、と思ったのが始まりです。
娘の彼がファンなので、借りて聴きました。

山崎まさよしさんもスガシカオさんも、たしかに一回聴いてすぐその良さが
わかる、といったタイプの歌手ではなかった気がします。
人柄、お若いのに、なんとなくその人品というようなものが、歌の歌詞や歌い方、
その佇まいに現われているような青年たちですね。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
こちらも快晴ですよ。昨日から気温が上がり気味のように思います。
気分がいいですね。

山崎まさよし、スガシカオの言葉が一聴して入ってこないのは、
どうしてなんだろう、と思いました。
だけど何度か聴いているうちに、じわっと効いてくる感じなんですね。

こういう人たちが、もっともっと出てきてくれたらな、と思います。
何の芸もない、未熟な人たちが(それなりに厳しいのでしょうが)
話題になる、この国の風潮には閉口してしまいます。

そんなに詳しいわけでもなく、
聴き始めたばっかりなんですが、
これからも目が離せない人たちのように思います。


No title

いやん、もぉ♪
山崎まさよしの次はスガシカオとは!
そんなん、好きに決まってるじゃないですかぁ~!
黄金の月は名曲ですよねー。はー、久々にコンサート行きたいです。

Re:chihiさん

chihiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
古いジャズやブルース、
1960~70年代のロック/ポップスを追いかけてばかりで、
日本のロック/ポップをあまり取り上げてきませんでした。

「黄金の月」いいですね。それに
「月とナイフ」も気に入ってます。
今後もどんどん日本のミュージシャンを上げていく予定です!
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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