ペカン色のジャケット

PekanColoredJacket.jpg
秋も深まってきたこの時期、やっと総裏地(冬物)のジャケットを羽織る気分になってきた。それまでは背抜き仕立て(5月~10月頃向け)の軽いジャケットを着ていたが、それでも暑く感じることがあって、ジャケットを脱いで手に持ち、町を歩いていたことが何度もあった。10月から11月初旬、ついこの間までのことである。

見ると他の人々はスーツなど着込んで涼しげにしているように思える。女性の数人はもうマフラーを首元に巻いて歩いているではないか。脇が汗ばんでジャケットを手にプラットフォームに立っている男の向こう側では、マフラーを巻いてなんだか寒そうにしている女性がいる。おかしいのは自分だけなんだろうか、などと考え込んでしまいそうになる。

冬物のジャケットとして私(乙山)はヘリンボーン柄を一着持っているけれど、それは何というか「どぶねずみ色」とでも言うしかない、きわめて複雑な色合いをしていて、合わせるシャツやズボンを選んでしまうようである。かれこれ25年以上私の衣裳棚に存在し続けているが、きちんと袖を通してもらうことが少ない服となっている。

それではいかん、もっと合わせやすく着やすいジャケットを、ということで数年前にジャケットを購入した。次にジャケットを買うときは「ハリス・ツィード」などと書いてある本物でなければならぬ、と心では思っていたのだけれど、何の気なしにぱらぱらカタログを見ていたら、なかなかいい色のヘリンボーン柄ジャケットが目に留まり、価格も手ごろだったので、つい発注してしまった。

通信販売でジャケットを買う男にお洒落を語る資格があるだろうか? などと問うこと自体がもうその男の正体を語っているようなものだけど、一応自覚はあるわけでして、その証拠にカテゴリーの「お洒落」の後に(?)が付いているでしょう。勘違い野郎の戯言として笑い飛ばしてくだされば幸甚です。

さてカタログの写真では「いい色」に思えたジャケットの実物を見て、おやっ、と思った。ちょっと、色の感じが違うのである。もう少し、落ち着いた茶色ではなかっただろうか。カタログには確か「ペカン色」などと書いてあったはずなのだが……自分では落ち着いた茶色系のジャケットを選んだつもりだったが、実物は赤色がわりと強めの、個性の強い色だった。

男子服の基本色は紺色、茶色、そしてグレーではないかと思う。もちろん、他の色を選んでも一向に構わないと思うが、とりあえずこの三色をきっちり押さえておけば他の色を選ぶ必要もないくらい、基本中の基本の色であろう。その中で、茶色というのはなかなか難しい色で、かなり個性の強い色ではないだろうか。

紺色やグレーのジャケットやスーツを着ている人を見かけることは多いけれど、茶色系のジャケットやスーツを着込んでいる人を見かけることはあまりないのではないか。これは私の路上観察の経験から感じていることだけど、たぶん他の人もそう思うのではないかとひそかに確信している。やはり茶色は個性の強い、難しい色なのだと思うのだが、私は茶色の服が大好きなんである。

ペカン色のジャケット、返品しようかと一瞬思ったけれど、まあいいか、と思ってそのままになってしまった。何年か付き合ってみて、ペカン色のジャケットはかなり応用範囲の広いことがわかってきた。ウールのズボンならブラック/ダークチャコール/チャコール/グレー/ベージュ/ネイビーと、いずれの色とでも合わせることができる。コットン素材ならやはりベージュ系がぴったりだろうか。

ペカン色のジャケットには、ふつうの茶色系のジャケットの落ち着きがない代わりに、どこかポップな雰囲気がある。そのおかげで、ブルージーンズとの相性が良く、ブラックジーンズともぴったりである。試したことはないけれど、ホワイトジーンズと合わせることだってできるのではないかと思う。オフホワイトやベージュの細畝のコーデュロイのズボンと合わせると、じつにぴったりしてうっとりするほどである。

もう駄目かと思ったペカン色のジャケットは意外にも、ビジネスからカジュアルまで応用範囲が広く、相当着回しのきく「使える」ジャケットだった。あくまで色にちょっとインパクトがあることに目をつぶれば、の話ではありますが。もう何年か、このペカン色のジャケットと付き合ってみて、いずれは「ハリス・ツィード」タグのついた、3ボタン段返りで、袖ボタンを外して折り返しができる「本物」のジャケットに袖を通してみたいものである。


【付記】
● どぶねずみ色のジャケット、なかなか捨てられないんです。辛子色または黄土色のネクタイ、オフホワイトのコーデュロイズボンに、こげ茶色でスウェードのチャッカーブーツを合わせて、などとあれこれ考えてはいるのですが、なかなか実行できず、何年も経ってしまいました。

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tag : ジャケット ツィード

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No title

確かに男性は黒、紺、茶、グレーが多いですね。
でも、茶や、カラシ色などを着こなしてる殿方を見ると素敵ですね。
只野乙山さんはおしゃれさんなんですね。(o^^o)
次は是非「ドブねずみ色のジャケット」をブログに載せてくださいませ。

No title

センスより先に「お洒落をしようとする心」が一番大事なんですよ
きっと♪
昔々通販カタログの製作補助をしていたのですが、受注現場では
やはり衣料品のクレーム数はかなり多かったようです・・・
撮影時の光量加減etc、モデルさんの肌の色や着こなし
(コーディネート)によっても印象が違ってきますからねぇ(^^;)
ペカン色のジャケットは工夫次第で色々着回しが利くようで
何よりでした♪

Re:かえるまま21さん

かえるまま21さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
そんなにお洒落ではないのに、「お洒落(?)」などという
カテゴリーを設置してしまったがために、
あるいはウェブログの題名に引っ張られてか、
なんだかんだと書かせてもらっております。

どぶねずみジャケットはね、
乙山の最初のエントリーなんですよ。
お暇なら、ちょっと覗いてみてくださいね。

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
カタログと実物が違う、これはよくあることです。
とりあえず乙山は「ペカン色のジャケット」の実物を撮ったものを
載せていますが、これにしても色再現には工夫しました。

こうして時間を経て見ると、
実物はもう少し赤色が弱く、黄色っぽい感じがします。
グレーなどはいちばん難しいところで、
色再現はほぼ不可能(?)ではないかと思うのです。

「ペカン色のジャケット」の実物を再現するのは難しいのですが、
いまご覧頂いているのでだいたい80パーセントくらい(の再現率)かな?
色々使えて、けっこう重宝しているジャケットです。

水戸の隠居です。

こんばんは、乙山さん。
最近のハリスツィ-ドは薄手のものが主流のようですね。
ハリスツィードのアンコンジャケットなんかが。
茶系のハリスツィードのスーツを着ていたショップの女性を
見かけましたが、いいもんですね、女性も。黒のタートルと
合わせたり。無地のネイビーのジャケットに見えるのですがよく
見たらヘリンボーンの柄が入ったジャケットを先日買いました。
ツィード、けっこう好きです、HOBO。

HOBO

Re:HOBOさん

HOBOさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
流行には疎い乙山ですが、HOBOさんのおっしゃるように、
アンコンジャケットなるものが流通しているようですね。

そういうのはだいたい、パッチポケットになっていますが、
乙山はきちんとしたフラップ付きのポケットが好きです。
ある程度厚みがあって、肩パッドも入っているタイプの、
昔ながらのジャケットが好きなのです。

HOBOさんがお買いになったブルーのツィードジャケット、
なかなか素敵そうですね。
ジャケットの柄もいろいろありますが、ヘリンボーンか
小さめの千鳥格子柄が好きです。
秋から冬はツィードジャケットを着て歩きたいですね。

いい色ですね。

乙山さん、こんばんは。
暖かみのある、いい色ですね。ぺカン色、という言葉も。
これからの季節、こんな色はいいですね。
ヘリンボーンという織り、私も好きです。
娘のオーバー、ヘリンボーンでだいぶ縫いました。
付記にお書きの組合せを含め、乙山さんのお考えの
ズボン、ネクタイ、靴などとの組合わせがどれもすてきなので、
ほうほう!と楽しくなってしまいました。
こういうきちっとしたジャケットにジーンズなどを合わせて
ちょっとカジュアルにして着るっていいなあと思います。
殿方のおしゃれも、随分と奥深いものですね。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
乙山はまだ食べたことがないのですが、
ペカン(ピーカン)ナッツというのがあるらしくて、
ケーキとかのトッピングに使われているみたいです。
彼岸花さんはご存知かと思います。

これはね、買ったとき「しまった」と思ったんですよ。
色がちょっと違うなあ、という感じ。
だけど、こういう色合いは、なかなか他にないんです。

濃紺とかダークチャコールを選べば、何の問題もないんですけど、
ちょっとないものとか色を、選んでしまう
「変なところ」が乙山にはまだ、あるようなのです。
そのせいで、いまだに「どぶねずみジャケット」を
うまく着こなせないでいます。

「どぶねずみジャケット」のコーディネートの肝は、
中に合わせるヴェストあるいはセーターなのかな、と。
ライトグレーあたりを選んでしまいそうですが、
それでは面白くありません。

ボルドー(ワイン色)か、焦げ茶色にするか。
いろいろ迷っています。
うまく出来たら、久しぶりに「どぶねずみジャケット」を
上げてみたいと思っているのですが……
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Author:只野乙山

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