プラターズ 『ベスト・セレクション・オブ・ザ・プラターズ』

The Platters / Only You...Best Sellection of The Platters (2002)

ThePlatters_BestSelection.jpg
1. Only You (And You Alone) (2:40)
2. The Great Pretender (2:42)
3. (You've Got) The Magic Touch (2:31)
4. My Prayer (2:48)
5. Heaven On Earth (2:36)
6. You'll Never Never Know (2:41)
7. I'm Sorry (2:55)
8. Twilight Time (2:48)
9. Smoke Gets In Your Eyes (2:41)
10. Sixteen Tons (2:37)
11. Enchanted (2:55)
12. Somebody Loves Me (2:33)
13. My Serenade (1:58)
14. Goodnight Sweetheart, It's Time To Go (2:21)
15. Harbor Lights (3:13)
16. Sleepy Lagoon (2:42)
17. Ebb Tide (2:29)
18. On A Slowboat To China (1:56)
19. Red Sails In The Sunset (2:24)
20. Orchids In The Moonlight (2:58)
21. Roses Of Picardy (1:58)
22. To Each His Own (2:52)
23. If I Didn't Care (3:11)
24. Summertime (2:31)
25. Mary Jane On My Mind (4:17) [Bonus Track]


1980年代に流行した漫画(物語付きイラストとでも言うべきか)のひとつに、わたせせいぞう『ハートカクテル』があった。全編カラーの綺麗なイラストに、吹き出しは使わず背景に作者の肉筆で台詞や語りを書き込むというスタイルで、ここぞという場面には必ずBGMが入るという特徴があった。

もちろん、紙に印刷された媒体なので本当に音としてのBGMが入るわけではないのだが、曲名と歌詞の一部がやはり作者の肉筆で背景に書きこまれることでBGMとしての役割を果たしていた。その曲を知っている読者は、わたせせいぞうの物語付きイラストを楽しみながら、脳内再生としての音楽も同時に楽しんでいたと思う。

そのBGMの多くに、いわゆるオールディーズやスイング・ジャズの名曲が使われており、その一つにプラターズの「オンリー・ユー」があった。黒人コーラス・グループ、プラターズによる1955年の大ヒット曲で、グッチ裕三のものまねでもご存知の方も多いだろうと思うが、だれもがどこかで聞いたことのある曲なのではないかと思う。私もそれを『ハートカクテル』を読む以前からどこかで聴いて知っていた。

久しぶりにプラターズを聴いてみたくなった場合、iTunes Storeで「オンリー・ユー」一曲だけを買うというやり方もあるのだけれど、この際なのでヒット曲を集めたコンピレーションアルバムを買うことにした。『オンリー・ユー:プラターズ ベストセレクション』(2002)は日本だけで発売されたもので、往年のヒット曲に加え(25)はなんと、つのだひろの「メリー・ジェーン」のカヴァーが収録されている。

(1)はプラターズの代表曲ともいうべきもので、トニー・ウィリアムスのテナーが素晴らしい。(2)は1956年のヒット曲(全米NO.1)で、後にクィーンのフレディ・マーキュリーなど多数のロック/ポップシンガーがカヴァーしている。(9)「煙が眼にしみる」はプラターズの他にもジャズ・シンガー/ミュージシャンにも取り上げられているスタンダード。

(10)でリード・ヴォーカルをとるのはバスのハーブ・リード。彼がリードをとると何ともユニークな味になるのが聴いていて楽しい。(18)は村上春樹の小説の題名にもなっている「スロウボート・トゥ・チャイナ」。(24)はジョージ・ガーシュイン作曲の有名なスタンダード。ロック/ポップ/ジャズとジャンルを問わず様々なミュージシャンが取り上げている。(25)はバックのアレンジが……日本の歌謡曲モードなんですね。

(1)「オンリー・ユー」1950年代半ばの録音だと思うが、なかなか音がいいし、コーラスがまた洗練されているなあと感心してしまう。黒人がみんなリズム感があって歌が上手いわけではないんだろうけど、層の厚さに思い至ってしまう。黒人が多数を占めるキリスト教会での礼拝で、人々が手拍子入りで明るい歌を唄っている映像を見たことがあるが、それがまた、えっ、というくらい上手なのである。

こういう下地というか層の厚さがあってこそ、モータウン系やアトランティック系のリズム&ブルースでも素晴らしいコーラス・グループが生まれたのだろうし、ウエストコースト・ロックでも素晴らしいコーラスを見せてくれるグループが生まれたのだろう。いやもう、ロック/ポップ/フォーク/ジャズとあまりジャンルおよび人種を問わず、アメリカのミュージシャンにはコーラスが好きな人が多いのではないか。

プラターズ、ドリフターズ、テンプテーションズ、サイモン&ガーファンクルやピーター、ポール&マリー、ママス&パパス、ビーチ・ボーイズ、イーグルス、そしてクロスビー、スティルス&ナッシュ、あるいはマンハッタン・トランスファー、ボーイズ2メン……思いつくままを書いてみたけれど、もっとあったはずである。プラターズをきちんと聴いてみると、懐かしさというよりはアメリカ音楽界の層の厚さのようなものに思いをはせることになってしまった。


【付記】
● 「オンリー・ユー」は1955年(昭和30年)のヒット曲。乙山はそれを懐かしがる世代ではないのですが、後の世代になってもだれかが聴いて、取り上げて、こんにちまで聴き継がれてきたのはすごいことだと思います。
関連記事
スポンサーサイト

tag : プラターズ

コメントの投稿

非公開コメント

No title

えぇ~!昭和30年だったんですか?
でも誰もが知ってるラブバラードですね。
甘~い気分になれる曲ですよね。
この時代のアメリカは今とは違って、世界が憧れる国だった様に思いますね。

Re:かえるまま21さん

かえるまま21さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
1955(昭和30年)の歌が、こんにちまで聴き続けられてきた、
というのがいいですよね。

本当は古いはずなのに、そうでなかった、
というのは、いかにその曲が多くの人に聴かれ、
また取り上げられたか、という指標を示すものでしょう。

なぜか音がいいから、新鮮に聞こえるんですよ。
ふつう、1950年代と言ったら、もう少し詰まったような、
いかにも、といったふうに聞えてくるはずなんですが。

クラシック音楽を録音するかのようなの装備で、
録音したのかなあ、とか、勝手に考えています。

No title

こんばんは。懐かしがる世代です(笑)。
でも、正確に言うと、私より少し上の世代のひとかな。
プレスリーもそうですが、
ほんとに、こうやって曲名を見ていくだけでもすごいですね。
名曲中の名曲ばかり。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
エルヴィス・プレスリーには正直、驚かされました。
乙山はとくに、1950年代の若いエルヴィスに魅力を感じます。

もともと最新の流行を追わず、古い音源をわざわざ選んで聴く、
そんなひねくれたところがある乙山ですが、
まだまだ知らない部分がたくさんあって追いつけません。

プラターズはなかなかいいなあ。
プラターズはメンバー交代が激しいのですが、
トニー・ウィリアムス(「オンリー・ユー」のリードヴォーカル)の時代が
いちばん好きです。

No title

こんばんは、

これ僕も持ってます。
オンリー・ユーは昔バンドでやったこともあっても、
曲の有名さばかりが先行しアーティストについてはほとんど無知でしたが、
このアルバムで他の名曲を聴いてやっとプラターズのことを認識できました。
思えばR&Bのアーティストは曲は知ってるけど誰なの?って言うのが多い気がします。
それにしても「メリー・ジェーン」はビックリしました。
たしか、レイ・チャールズもサザンの「いとしのエリー」をカバーしていましたが、
個人的にこういうのは「・・・・・」です。

Re:naokichimanさん

naokichimanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
乙山もアマチュアバンドのまねごとをしたことがありますが、
歌える人間がいないので、「オンリー・ユー」なんて、
高度すぎてレパートリーに入れることができませんでした。

カラオケとしての「オンリー・ユー」なら別として、
ちょっとギターの上手いやつが主導権を握り、
70年代ロックのコピーをしようとする、というのばっかり。
80年代初頭のロック少年はそうでした。

そうそう、レイ・チャールズの「愛しのエリー」もありましたね。
つのだひろの「メリー・ジェーン」も、もっと多くの人に
ワールドワイドでカヴァーされてもいいのではないか、と思います。
個人的には……でもね。

ジャズの演奏なんて、コード進行だけもらって、
原曲のことをあまり考えてないのも多いのではないでしょうか。
それはそれでいいのかもしれませんが、レイ・チャールズもプラターズも、
まだいいほうじゃないかな、と思うんですよ。
プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

⚫︎ 下の「全ての記事を表示する」をクリックすると、全記事のタイトル一覧が出ますので過去記事を参照することができます。

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント

openclose

最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アーカイヴ

2017/10 (5)

2017/09 (9)

2017/08 (8)

2017/07 (9)

2017/06 (9)

2017/05 (9)

2017/04 (8)

2017/03 (9)

2017/02 (4)

2017/01 (1)

2016/06 (1)

2016/05 (13)

2016/04 (13)

2016/03 (20)

2016/02 (10)

2016/01 (11)

2015/12 (10)

2015/11 (10)

2015/10 (11)

2015/09 (13)

2015/08 (10)

2015/07 (11)

2015/06 (10)

2015/05 (10)

2015/04 (10)

2015/03 (11)

2015/02 (9)

2015/01 (11)

2014/12 (9)

2014/11 (10)

2014/10 (11)

2014/09 (10)

2014/08 (10)

2014/07 (10)

2014/06 (10)

2014/05 (11)

2014/04 (10)

2014/03 (10)

2014/02 (9)

2014/01 (11)

2013/12 (9)

2013/11 (10)

2013/10 (10)

2013/09 (10)

2013/08 (11)

2013/07 (10)

2013/06 (10)

2013/05 (10)

2013/04 (10)

2013/03 (11)

2013/02 (9)

2013/01 (11)

2012/12 (9)

2012/11 (10)

2012/10 (11)

2012/09 (10)

2012/08 (10)

2012/07 (10)

2012/06 (10)

2012/05 (11)

2012/04 (10)

2012/03 (10)

2012/02 (10)

2012/01 (9)

2011/12 (9)

2011/11 (10)

2011/10 (10)

2011/09 (10)

2011/08 (10)

2011/07 (9)

2011/06 (9)

2011/05 (10)

2011/04 (8)

2011/03 (8)

2011/02 (12)

2011/01 (12)

2010/12 (12)

2010/11 (13)

2010/10 (15)

2010/09 (15)

2010/08 (14)

2010/07 (16)

2010/06 (17)

2010/05 (21)

2010/04 (18)

2010/03 (20)

2010/02 (23)

2010/01 (27)

2009/12 (27)

2009/11 (27)

2009/10 (26)

2009/09 (24)

2009/08 (19)

2009/07 (21)

2009/06 (30)

2009/05 (26)