エルヴィス・プレスリー 『ロックン・ロール』

Elvis Presley / Rock'n Roll (1999)

ElvisPresley_RocknRoll.jpg
1. That's All Right (1:57)
2. Baby Let's Play House (2:17)
3. Heartbreak Hotel (2:10)
4. Shake, Rattle And Roll (2:29)
5. Hound Dog (2:16)
6. Don't Be Cruel (2:03)
7. All Shook Up (1:58)
8. Jailhouse Rock (2:28)
9. I Need Your Love Tonight (2:05)
10. Wear My Ring Around Your Neck (2:15)
11. Blue Suede Shoes (2:06)
12. A Mess Of Blues (2:41)
13. I'm Coming Home (2:23)
14. (Marie's The Name) His Latest Fame (2:09)
15. (It's A) Long Lonely Highway (2:23)
16. Viva Las Vegas (2:21)
17. You're The Boss (2:32)
18. Fools Fall In Love (2:07)
19. Johnny B. Goode (2:02)
20. Guitar Man (2:16)
21. The Fool (2:25)
22. Faded Love (4:07)
23. Got My Mojo Working (4:35)
24. Burning Love (2:49)
25. Proud Mary (2:37)
26. Promised Land (2:52)
27. T-R-O-U-B-L-E (3:03)
28. For The Heart (3:21)
29. Way Down (2:39)
30. Raised On Rock (2:38)


1980年代に入ると同時に思春期とやらを迎えた私(乙山)にとって、エルヴィス・プレスリーはもはや伝説の人物でしかなかった。たまに物真似芸人たちが見せる、あの白いジャンプ・スーツに異様なもみあげと大きなサングラス、右手を回しながらギターを弾き、曲の終わりにジャンプという「記号」としてのエルヴィスをただ笑って見ていただけである。

だから周囲にもエルヴィス・プレスリーを聴いているという人間は存在しなかったし、自分でもエルヴィスのレコードやCDををわざわざ買って聴く、ということはまずあり得ないことだった。パンクの残り火と1970年代ギター天国にどっぷり浸っていたはずの1980年代ロック小僧にとって、エルヴィスを聴くなどということは、あってはならぬ時代錯誤的な行為であったはずだ。

どういう心境の変化がそうさせたのか、自分でもよくわからないのだが、つい最近、レンタル店「蔦屋」で何を聴こうか物色していたとき、エルヴィスの『ロックン・ロール』というCDが目に留まり、ふつうならそのままスルーするはずが、なぜかその日はそれを手にとって小さな籠に入れていた。いやね、4枚1000円というキャンペーンをしていたんですよ。とくに聴きたいCDがなかったからかもしれない。

さてiTunesにインポートして聴いてみると、少なからず驚いてしまった。どうも格好いいのである。どうも、どころか相当、いや、めちゃくちゃ格好いいではないか! CDには1950~1970年代のエルヴィスが収録されているんだけど、あ、聴いたことがある、なんていうのがずらりと並んでいる。CDやレコードで聴いたことがなくても、映画やテレビドラマにはエルヴィスが相当使われているのだ。

たとえば(3)「ハートブレイク・ホテル」(5)「ハウンド・ドッグ」(8)「監獄ロック」(19)「ジョニー・B・グッド」など、いつの間にか、どこかで聞いていた曲。他の曲も聴いていると、なんだか知っているような気になってくる曲がずらりと並んで、これがエルヴィス・プレスリーだ、と意識して聴いたのは初めてのはずなのに、なんだか懐かしいような気持ちになってくるのはどういうわけだろう。

エルヴィスのヴォーカルはしゃっくりをするように語尾を上げたり、口ごもるような歌い方をしたりするときもあるけれど、聴いていて気持ちのよい、艶と張り、伸びのあるいい声だ。しかも音程を外すことなどないきわめて正確なヴォーカル。白人には黒人のリズムやヴォーカルは出せない、とよく言われるけれど、エルヴィスには彼にしか出せない、リズムとヴォーカルがあったのではないかと思う。

YouTubeでエルヴィスの1950年代の映像を見ると、たしかに格好いいのだ。これは受けたのも当然だろうし、若者で真似をしたくなるものが続出しても何の不思議もないことだろう。歌うときの腰の「ひねり」というか「くねり」がまた独特で格好いい。振付師とかトレーナーなどに教わったわけでもないだろうに、あの足を素早く前後に交差させるダンスなど、どこでどうやって覚えたんだろうとただただ感心するしかない。

ディストーションの効いた重厚なエレクトリック・ギターを使っているわけではなく、ことさらビートを効かせているわけでもないのだが、エルヴィスの音楽はなにか「ロック的なもの」を感じさせるところがある。昨今流行りの洗練されたポップよりはよっぽどロック的で、身体を動かさずにはいられないような雰囲気がある。

それでいて、全体の作りはポピュラリティそのもの、とでも言うしかないキャッチーな部分でできているから怖い(?)のである。いや、そんな理屈じゃなくて、聴いた瞬間「これだ!」という感じの理屈抜きで惹き込まれるところにエルヴィスの魅力があるんじゃないだろうか。


【付記】
● エルヴィス『ロックンロール』は日本のレコード会社が企画したコンピレーションで、他に『エルヴィス・バラード』と『エルヴィス・バラード2』があるようです。一曲の録音時間が短いせいか、一枚に30曲も収録されているのがうれしい(?)ところ。初めてきちんと聴いたエルヴィスは格好よく、素敵に思えました。
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tag : エルヴィス・プレスリー

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No title

エルヴィスを評価してくれるなんてなんと、うれしいこと。
BGMには向かないけど、最高です。
私には彼に憧れた、青春があります。
特に晩年のバラードが好きです。
RIAN MASTER

Re:rian masterさん

rian masterさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今回の記事の初めに書いたように、最晩年のエルヴィスの
パロディのようなものを通じて、エルヴィスに馴染んでいきました。

こんにち虚心にエルヴィスを聴いてみると、
ヴォーカリストとして非常に魅力があるのがわかりますし、
ダンスも見事で、パフォーマーとしても超一流だったと思います。

エルヴィスのように歌えて、踊れる人が他にいなかった
(乙山が知らないだけなんですが)ということなのかもしれません。
とにかくエルヴィスをちゃんと聴いて、よかったと思っています。

No title

わかります、そうですね。
白いスーツのエリを立てて、もみ上げ、サングラス・・・それがプレスリーって思いましたよね。
若かりし頃は、痩せてて、声に艶があって、伸び伸びとした感じでしたね。ファンの女性がコンサート中に失神して倒れてしまう映像を見た事がありますが、それ程パワーがあったんでしょうね。
でも、ドラッグ、アルコール中毒、糖尿(だったかな?)・・・地位と名声が彼の健康を蝕んでいったのでしょうか?
エルヴィスをまた聴いてみたくなりました。

No title

こんばんは、

凄くよくわかります。
僕もプレスリーはモノマネの茶化した部分しか観た事がなかったので、
本物もどうせタダのアイドルだろと思っていましたが、
ちゃんとアルバムを聴いて、びっくり!
まぎれもないロケンローラーでした。
やっぱり、僕は「ジェイル・ハウス・ロック」と「ハウンドドッグ」

Re:かえるまま21さん

かえるまま21さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
どこか茶化したようなエルヴィスしか見ていなかったのです。
本当のエルヴィスを知らなかった。

これは、本当のフランク・シナトラを知らなかったのと同じです。
フランク・シナトラも、エルヴィスも、晩年だけパロディみたいになっていて、
すごい人気だったときのことが抜け落ちているようです。

かえるまま21さんのおっしゃる、「ファンの女性がコンサート中に失神」
という映像を見たことはないのですが、
こういうことはビートルズでもあったみたいですね。

Re:naokichimanさん

naokichimanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
そうそう! エルヴィス、カッコいいですよね。
乙山はロック的なものをエルヴィスに感じます。
エレクトリック・ベースでないベースの、叩きつける奏法もいい!
ロカビリーとか言っているようですが。
そうとう上手いヴォーカルですし、映像を見る限りダンスもいけてる。
もう一度「エルヴィスはカッコいい」と言っておきたい気分です。

No title

古いBluesやRock・オールディズなどをぼーっと
流し聴くのが好きなのですが、そういえばまだエルヴィスをきちんと
聴いたことが無いです(^^;)
何かの機会にチラッと聴いた限りでは「すごく誠実にRockしている」感じ?
・・・上手く表現できないのですが(^^;)
とりあえず好印象!でしたので、またの機会にじっくり聴いてみたいです♪

Re:zumiさん

zumiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
最晩年のエルヴィスのパロディとというか物真似でしか、
エルヴィスに触れていませんでした。

1950年代のエルヴィスは本当に格好いいし、
70年代のエルヴィスはバラードがいい。
パロディと物真似でないエルヴィスに近づくのは難しいのでしょうが、
とりあえず音源だけでも、という感じで聴いてみたのです。

よかったんですよ。
思いのほかストレートで、カッコいい。
音源を買わずとも、まずはお近くの「蔦屋」なんかでも。
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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

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