フィリパ・ピアス 『トムは真夜中の庭で』 岩波少年文庫

この本は、たとえば「ハリー・ポッター」や「ダレン・シャン」みたいな劇的な展開にはならない。だけど、時間の問題とパラレル世界の問題を扱っていて、読み進めることができた。
弟のピーターがはしかにかかったので、うつってはいけないと、アランおじさんとグウェンおばさんのところにあずけられることになった。少年トムは退屈で眠られず、真夜中、柱時計の音が13回鳴るのを聞いて不思議に思い、階下のホールにある古時計を確かめようとしたとき、裏庭に出てしまう。ところが、裏庭はなんだか別の世界のようで、トムはそこで小さな女の子ハティと出会い、仲良くなる。
トムはハティが「過去」に住んでいることを知り、時間の問題を考える。おじさんと時間の問題について議論しても、実際にハティが存在し、ハティとすごしていることは説明できないし、理解してもらえない。そこでトムは「証拠」をなんとか残そうとする。
トムはいつも真夜中に裏庭に行くので、常にパジャマ姿でうろうろしているのが可笑しいが、それはまあ、たいしたことではない。やはり作者が時間の問題とパラレル世界の問題にどう決着をつけるのか、ということが大人の読者としては気になるところ。
ハティの心の中に、ちゃんとトムは生きていて、理屈はどうあれ、それがエンディングに結びついていくわけだ。
エンディングが心に残る、いい本です。
弟のピーターがはしかにかかったので、うつってはいけないと、アランおじさんとグウェンおばさんのところにあずけられることになった。少年トムは退屈で眠られず、真夜中、柱時計の音が13回鳴るのを聞いて不思議に思い、階下のホールにある古時計を確かめようとしたとき、裏庭に出てしまう。ところが、裏庭はなんだか別の世界のようで、トムはそこで小さな女の子ハティと出会い、仲良くなる。
トムはハティが「過去」に住んでいることを知り、時間の問題を考える。おじさんと時間の問題について議論しても、実際にハティが存在し、ハティとすごしていることは説明できないし、理解してもらえない。そこでトムは「証拠」をなんとか残そうとする。
トムはいつも真夜中に裏庭に行くので、常にパジャマ姿でうろうろしているのが可笑しいが、それはまあ、たいしたことではない。やはり作者が時間の問題とパラレル世界の問題にどう決着をつけるのか、ということが大人の読者としては気になるところ。
ハティの心の中に、ちゃんとトムは生きていて、理屈はどうあれ、それがエンディングに結びついていくわけだ。
エンディングが心に残る、いい本です。
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