エリック・サティ 『きみがほしい……サティ』

エリック・サティ 『きみがほしい』/ フィリップ・アントルモン(p)

Satie_JeTeVeux_Entremont.jpg
1. きみがほしい
2. 金の粉
3.ジムノペディ第1番
4.ジムノペディ第2番
5.ジムノペディ第3番
自動記述(6~8)
6.船の上で
7.ランタンの上で
8.カブトの上で
気難しい気取り屋の3つの高雅なワルツ(9~11)
9.彼の格好
10.彼の眼鏡
11.彼女らの脚
12.グノシェンヌ第1番
13.グノシェンヌ第2番
14.グノシェンヌ第3番
太った木の人形のスケッチとからかい(15~17)
15.トルコ風のチロル舞曲
16.やせた踊り
17.スペイン
最後から二番目の思想(18~20)
18.ドビュッシーへの牧歌
19.デュカへの朝の歌
20.ルーセルへの瞑想
21.ノクチュルヌ第1番


むかしブライアン・イーノ関連の情報を追っていたとき、ジョン・ケージと並んで出てきたのがエリック・サティだった。また、ジョン・ケージにかんする本を読んでいると必ず出てくるのがサティなので、どんな音楽家なのか非常に興味を持っていた。だが、当時私(乙山)はロック音楽を主に聴いていて、ジャズをかじりかけたばかり、クラシックなどほとんど聞いていない状態だったので、興味はあるものの別に聞かなくてもいいか、とほったらかしにしていたのがエリック・サティだった。

サティにかんする思い出。あれはたぶん1985年ごろだったと思うが、つくば市で「科学万博」というイベントが開催された。そのときダイエーが出展した際の副産物だと思われるが、戸川純朗読による『詩人の家』という変わったLPレコードが発売されていて、どういうわけかそれを買い求めた。

当時、戸川純は変な格好(失礼)で変な歌(失礼多謝)を歌って一部の人(と思う。多謝)に人気があったのだ。友人たちの中でもわりと「とんがった」奴が戸川純に熱を上げていた(当時ふつうの男子なら、松田聖子のファンが多かった)ので、彼に一泡吹かせてやろうという魂胆だった。

戸川純が谷川俊太郎の詩を朗読するのだが、その背景に流れている淡々としたピアノ演奏を聴いて「これはいいな」と思った。それがサティの「ジムノペディ」だった。エリック・サティと意識して聞いたのはそれが初めてだったと思う。サティのCDを買ったのはそれからしばらくしてからである。それが『きみがほしい……サティ』で、演奏はフィリップ・アントルモン(p)による。

(1)(2)は親しみやすいワルツ。(3)がサティの中ではよく知られた曲で、テレビCMにもしばしば使われているのでお聴きになった方もいるのではないかと思う。とにかく変わった題名が多いので、どんな曲かなと変な期待をするのだが、意外と「まとも」な音楽である。楽譜の書き方も独特で、拍子記号や調号を用いずに言葉による指定をするなど、変わったことをするのが好きな人のようだ。だから演奏者によってずいぶん違ってくるのかもしれない。

(6~8)での自動記述(オートマティスム)というのは、眠りながら、または半覚醒状態においてペンをとり、その進むがままに任せて記述するというシュールレアリズム的手法を、作曲で実践したものだと思われる。長時間連続して行うことはできないのか、いずれも2分以内の短い曲になっている。(8)などはユーモラスな感じで、ピアノを聴き続けて眠くなったときに起こしてくれる効果も期待できそうだ。

このCDに集められた曲は、サティの中でも親しみやすいものを選んでいるのではないかと思う。繰り返しが延々と続く「ヴェクサシオン」など聞いていて好きになれない曲もサティにはたぶん多いのだろう。サティ自身がそれを狙っていたのだから、当然聞く側もうんざりしてしまうのだろうけど、このCDなら大丈夫。客人がいるときにリビングルームで再生しても不快にはならないと思います。


【付記】
Satie_JeTeVeux_Shimada.jpg
● このジャケットとそっくりのものが発売されていて、間違いそうになることがあります。収録曲も少し違っているようで、(8~10)に「オジーヴ第1番~第3番」、(14)に「ヴェクサシオン」が収録されており、その演奏者は島田璃里とあります。その他はアントルモンの演奏になるようで、こちらも面白そうです。
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こんにちは。

サティはそれまでにもなんとなくは聴いていましたが、
最近また聴きたくなりました。

梅雨の間に、サティの曲もアップしようかなと思っていました。
その時はまたお聴きくださいね。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、コメントありがとうございます。
じつは乙山もそれほどたくさんサティを聞いている
わけではなくて、勉強不足です。

これを機に、またほかのサティも聞いてみようと思っているのです。
彼岸花さんの記事、
楽しみにしております。
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