スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト 『ゲッツ / ジルベルト』

Stan Getz & Joan Gilberto : Getz/Gilberto (1963)

Getz_Gilberto1.jpg
1. Girl from Ipanema
2. Doralice
3. Para Machuchar Meu Corao (To Hurt My Heart)
4. Desafinado
5. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)
6. So Dano Samba (I Only Dance Samba)
7. O Grande Amor
8. Vivo Sonhando (Dreamer)
9. Girl from Ipanema [45 Version]
10. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) [45 Version]



気温が上昇し、多少暑さを感じるようになってくると、どういうわけかボサノヴァが聞きたくなる。まだそこまではいってないけど、暑くて何もやる気が起きないとき、アントニオ・カルロス・ジョビンの軽やかなピアノや、ジョアン・ジルベルトのつぶやくようなヴォーカルをぼんやり聞いて時の過ぎゆくままに任せる、などというのがいい。そんなとき傍らにはジン&トニックがあると最高だが、アルコール飲料がなくてもボサノヴァを聞いているだけで気分がいい。

さて『ゲッツ/ジルベルト』(1963)は、ジャズのテナー・サキソフォン奏者のスタン・ゲッツと、ボサノヴァのヴォーカル/ギタリストであるジョアン・ジルベルトの共作アルバム。ジャズとボサノヴァのフュージョン(融合)というよりは、スタン・ゲッツがボサノヴァ側に歩み寄ったという感じの仕上がり。ボサノヴァの曲をジョアン・ジルベルトが歌い、ソロにスタンがサックスを吹いているのだから当然そうなるわけである。

私(乙山)の勝手な思い込みかもしれないが、サキソフォンといえば夜の酒場が似合う楽器で、昼下がりの雰囲気のボサノヴァといえばフルートでしょう、といいたくなる。そんな心配もあるのだが、スタンも健闘してけっこういい雰囲気を出している。いまではボサノヴァの曲に何の違和感もなくサックスが入っているのをよく耳にするけど、スタン・ゲッツがボサノヴァと組んだからこそ、なのかもしれない。

CD付属のブックレットを見ると、レコーディング時はかなり険悪なムードが漂っていたらしい。ジョアンがポルトガル語で「こいつ(スタン・ゲッツ)は何にもわかっちゃいない! どうにかしてくれ」とアントニオ・カルロス・ジョビンに言うのだが、ジョビンはスタンに「ジョアンはあなたに会えて光栄だといっていますよ」と伝える。スタンは「どうもそういうふうには見えないようなんだけどね」と返した、というような雰囲気。

だが、さすがプロフェッショナルというべきか、出来上がった音楽にはそういう録音時の険悪な雰囲気は微塵も感じられず、なんだか楽しげにやっているように聞こえてくる。ジョビン作の(1)はジルベルトの妻アストリッドがヴォーカルに参加してヒットした曲。ボサノヴァはあまり聞かない人でも「イパネマの娘」は聞いたことがあるのではないだろうか。

ちょっと気になる部分もあるけれど、ジョアン・ジルベルトの歌とギター、スタン・ゲッツのサキソフォン、そしてアントニオ・カルロス・ジョビンのピアノという豪華な顔ぶれの演奏を聴いているだけでも楽しい。正直に言うと、ジョアン・ジルベルトの歌とギターだけを聴き続けていると、本当に眠ってしまいそうになるくらい気持ちがいいものだが、そこにスタン・ゲッツのサキソフォンが入ってくることによって眠気が吹っ飛ぶ、というよい方向での(?)刺激もある、なかなかよくできたCDではないだろうか。


【付記】
● スタン・ゲッツは本当に器用な人だと思います。チャーリー・パーカーもラテン・ミュージックに取り組んでいますが、スタン・ゲッツほど知られてはいないでしょう。それを思うと、スタンとボサノヴァの組み合わせはかなりうまくいっているほうだし、商業的にも成功した例だと思います。

● 本来ならば「ボサノヴァ」というカテゴリーに入れるのが正しいのでしょうが、そんなにたくさんあるわけではないので、とりあえず「ジャズ」に振り分けておきます。ブルースが「ロック/ポップ」に入っているのも同じ理屈です。
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今晩は

今、『イパネマの娘』聴きながら、書いています。
初めて聴きました。
ほんと、サキソフォンとボサノバって、案外合うんですね。

サックスの音は私好きなんです。
でも、誰がと言われてもわからない。
また、演奏の聴きわけも全然できません。でも音は好き。

ああ、前途遼遠です!

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、コメントありがとうございます。
「イパネマの娘」のメロディはいいですよね。
英語の歌詞も覚えやすいので、
気分のいい日は口ずさみながら歩きたくなります。

暑く気だるい日になると、なぜかボサノヴァが聞きたくなるんです。
ずっとボサノヴァばっかり、というわけにはいかないんですけど。
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