プロコル・ハルム 『青い影』

Procol Harum / The Whiter Shade of Pale (1967)

ProcolHarum_AwhiterShadeOfPale.jpg
1. A Whiter Shade Of Pale
2. Conquistador
3. She Wandered Through The Garden Fence
4. Something Following Me
5. Mabel
6. Cerdes (Outside The Gates Of)
7. A Christmas Camel
8. Kaleidoscope
9. Salad Days (Are Here Again)
10. Good Captain Clack
11. Repent Walpurgis
12. Lime Street Blues
13. Homburg
14. Monsieur Armand
15. Seem To Have The Blues All The Time


「どこかで聴いてずっと気になっていたんだけど、だれの曲かわからない」ということで、以前ギルバート・オサリヴァンの「アローン・アゲイン」の記事を書いた(記事へ ≫)が、プロコル・ハルムの『ア・(ホ)ワイター・シェード・オブ・ペイル』(邦題「青い影」)もそんな曲のひとつ。

もういったい何度、街や店で流れたこの曲を聴いたことだろう。そのたびに「いい曲だな」といつも思っていた。教会音楽のように流れるオルガンをバックに歌われるヴォーカルはソウル/ゴスペルシンガーのようで、てっきり私(乙山)は黒人のそれだと思い込んでいた。いやほんと、ソウルフルなヴォーカルで何度聴いても(歌詞の意味はわからなかったが)魅了された。

後年、なにかのきっかけでプロコル・ハルムというロックバンドの『ア・(ホ)ワイター・シェード・オブ・ペイル』を買って、最初の曲を聴いたときに「あっ」と思った。まあ、そんなふうにして長年だれのものかわからなかった曲とアーティストが一致したわけなんだけど、プロコル・ハルムが黒人グループではなくて、イギリスのロックバンドだと知って再び驚かされてしまった。白人でこんなソウルフルなヴォーカルはスティーヴ・ウィンウッドくらいしか思いつかない。

メンバーはゲイリー・ブルッカー(vo, p)/マシュー・フィッシャー(Hammond Org)/ロビン・トロワー(g)/デヴィッド・ナイト(b)/B.J.ウィルソン/(ds, per)そしてキース・リード(lyrics)。実際の演奏者は五人で、キース・リードは歌詞を提供しているだけである。こういうのはわりとあって、キング・クリムゾンとピート・シンフィールド、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンもそんな関係だったように思う。

「ホワイター・シェード……」はいい歌なんだから歌詞もきちんと、と思うのだが、これがまたわかりにくい。船に乗った男女が乗客たちと酒を飲んで大いに騒いでいるようで、彼と彼女に別の男(=the miller:これがポイント。なんで「粉屋さん」が船に? 1967年頃の話ですよ)が話し込んでいるうちに、はじめは幽霊みたいだった彼女の顔色がもっと青白くなった、というような内容。だけどこれはストレートな愛の歌ではないことだけは確か。音楽だけ聴いていると、とてもいい雰囲気なんですけどね。

プロコル・ハルムは「青い影」だけではなく、ほかの曲もなかなか印象的だ。ゲイリーとマシューという二人の鍵盤奏者がっちり脇を固め、それだけでもうかなり豪華なサウンド作りになっている上に、ロビン・トワローのエレクトリック・ギターのソロもかなり魅惑的なものがある。不思議なのはサウンド全体の仕上がりを少し古めかしくしているところだろうか。時代的にモノラル/ステレオの転換期にあるわけだが、これはモノラル録音になっている。

ヴォーカルのタイプからすると、バンドとしてはソウル/R&B路線でいくのが一番いいのだろうけど、ゲイリーもマシューもクラシックのバックグラウンドを濃厚に感じさせる演奏をするという不思議なバランスの元に成り立っているのがプロコム・ハルムのサウンドということなのだろうか。このあと二枚のアルバムを残した後マシューもロビンもバンドを去っていくのだが、本CDには彼ら三人のセンスが巧く均衡しているところに生まれる、初期プロコム・ハルムの魅力がいっぱい詰まっているように思える。


【付記】
● オリジナルLPでは(12)~(15)は収録されておらず、CDのみのボーナス・トラックです。(13)は(1)ほどではないにせよ、とてもいい曲です。
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tag : プロコム・ハルム

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No title

こんにちは。楽しく読ませていただいております。
Whiter Shade of Pale っていい曲ですよね。たくさんの人がカバーしています。わたしの理解では、この曲は パーティーで船酔いと思うほど酔っぱらって、引っ掛けた女の人とベットインしたが 行為の後で しらけてしまった。 粉引きというのは たとえではないかとおもっていましたが。

意味不明に近い歌詞なのでとても不思議な歌です。 きっと聞く人、歌う人がそれぞれに意味をのせているんだと思います。

失礼しました。

Re:Chivampさん

Chivampさん、コメントありがとうございます。
乙山(=私)の"Whiter Shade...."の歌詞の解釈は少し勇み足だったかもしれません。
「船に乗った男女が」と書きましたが、
パーティーなどで大いに盛り上がっているだけかもしれませんね。

吐き気やめまいを感じているのは確かでしょうが、
それが船酔いかどうかはわかりませんものね。
ただ、多く出回っている4:08のヴァージョンは途中でフェイドアウトしていて
三番、四番の歌詞がありません。
どこかにフル(ロング)ヴァージョンがあるのでしょう。

三番の歌詞に「She said, 'I'm home on shore leave,'
though in truth we were at sea」というのもあります。
「船に乗った」という解釈はここから来ています。
だけどまあ、いろんな解釈があったほうがいいですよね。

No title

私も好きです、この曲。CMで聴いたのが最初ですかね…アルバムはまだ聴いたことはありませんが、ジャケットアートは見たことがあり、幻想的な印象をもっています。
ただ、私は洋楽は歌詞に無関心なことが多く、この曲がこんな内容だったのを今回初めて知りました…

Re:RSさん

RSさん、コメントありがとうございます。
"A Whiter Shade of Pale"の歌詞は難解で有名(?)です。
いいメロディーなんだから、いい歌詞であってほしかった……

何があっても君を想い続ける、みたいなね。
だけどまあ、(どうでも)いいじゃないか、みたいな気持ちもあります。
意味不明だからこそ、それぞれの気持ちを託すことができる?

そんなことを思ってみたりしています。

3rd and 4th verse

コメントありがとうございました。
この曲の3rdと4thの所は レコーディングされてないようです。コンサート等のライブでは演奏されていたようです。英語の歌詞のなかで、海や旅は精神状態や恋愛を示す表現としてよくでてきます。

Re:Chivampさん

Chivampさん、再コメントありがとうございます。
いやいや、貴重な情報ありがとうございます。
てっきりロング(フル)ヴァージョンがあるのではないかと思っていたのです。

なるほど、無理に船に乗っていると解釈することもなく、
何かのパーティで酒を飲んで大いに盛り上がっている、
ととるほうが自然かもしれませんね。

またいろいろと教えてくださいね。

こんにちは。

この曲、私もすごく懐かしいです。

イギリスの方の歌唱とは思っていませんでした。
ジョン・レノンもこの歌が大好きで繰り返しかけていたとか。

そうそう。乙山さん。
以前のカザルス『鳥の歌』の、トラックバック記事のようなものを書かせて
いただきました。
でも、トラックバックの仕方がよくわからず。
もし、記事を引用されること、お心に添わないようでしたら、すぐに、お名前
など、引用のし方をあらためますので、ご連絡くださいね。

事後報告で大変申し訳ありません。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、コメントありがとうございます。
《イギリスの方の歌唱とは思っていませんでした》
そうでしょう、乙山もてっきり黒人の人が歌っているものだと思っていたのです。

押しも押されぬビートルズですが、
ジョンもそんなふうに思っていたんですね。
ポールもEMIのスタジオでピンク・フロイドのセッションを見て
ぶっとんだ、みたいな感想を残しています。

トラックバックの件、もちろんOKですよ!
だけど乙山もトラックバックについてはよくわからんのです。
ですが……彼岸花さんのウェブログへアクセスできないのでは
第三者が見た場合、トラックバックの意味がないのでは?
まちがっていたらごめんなさい。

Re:彼岸花さん ; すみません

彼岸花さん、すみません。
題名からアクセスできますよね。
もう少しそちらへのアクセスをわかりやすくしたほうが
よいのでは、と思ったのです。
いや、すみませんね、トラックバックは慣れてないもので。
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