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ライ・クーダー 『JAZZ』

Ry Cooder / Jazz (1978)

RyCooder_Jazz.jpg
1. Big Bad Bill (Is Sweet William Now)
2. Face to Face That I Shall Meet Him
3. Pearls/Tia Juana
4. Dream
5. Happy Meeting in Glory
6. In a Mist
7. Flashes
8. Davenport Blues
9. Shine
10. Nobody
11. We Shall Be Happy



ストレートなロックサウンドより西部/南部/メキシコよりの独自のサウンドを標榜するライ・クーダーを知ったのは、1980年代初頭のテレビCMによるものだった。パイオニアのカーステレオ「ロンサムカーボーイ」やステレオラジオカセットのCMでライ・クーダーの曲が使われ、彼の写真や映像なども眼にした覚えがある。

どちらかといえばコマーシャリズムとはあまり縁のないというか「自分のやりたいことをやっている」みたいな人で、大きなヒットがあったわけではなく(私=乙山が知らなかっただけかもしれないが)、ルックスが話題になったわけでもない(失礼)だろうに、なんでライ・クーダーだったんだろう、と今にして思う。たんにワーナー/パイオニアのつながりだけだった、なんて話かもしれないが、真相はわからない。

ライ・クーダーはちょっとへそ曲がりなところがあって、『パラダイス・アンド・ランチ』(1974)や『チキン・スキン・ミュージック』(1976)を聴いたときも正直「がくっ」ときたものだ。外し過ぎでしょう、と思わず笑ってしまうくらいで、そういうところを私は気に入ったんだけど、周囲を見ても「ライ・クーダーを聴いている」なんて人はまあ、ごく少数派だったんじゃないかなあ。

さて今回はそんなライ・クーダーの『JAZZ』(1978)です。テキサス/メキシコ的なアプローチを見せたライがジャズを、というもの。現代的なジャズを期待してこれを聞くと、また「がくっ」とさせられること請け合いです。なにしろ本作で取り上げられているのはディキシーランド・ジャズ/ラグタイム/ゴスペルで、そこまで遡るか、といいたくなるけれど、アメリカのルーツ・ミュージック追求に熱心なライからすると当然の選択だったのかもしれない。

ライ・クーダー(g, vo, mandlin, b)をはじめとしてデヴィッド・リンドレー(g, mandolin)/アール・ハインズ(p)/レッド・カレンダー(b, Tuba)などが参加しており、プロデュースはライ・クーダーとジョー・バード。デヴィッド・リンドレーはギター/バンジョー/マンドリンを始めさまざまな弦楽器をこなし、ライと度々共演している。

アール・ハインズはルイ・アームストロングと活動を共にしていた「ジャズ・ピアノの父」。レッド・カレンダーはあのアート・テイタム・トリオやベン・ウェブスターを加えたカルテットでベースを弾いている。ほかにも何人かのミュージシャンたちが参加しているが、これは「バーバンク」というよりはライのプライヴェート録音みたいな雰囲気。

(6)(7)(8)にビックス・バイダーベックの曲が揃っているあたりが憎いなあ。とくに(7)はギター以外の音は入っていないので、ライのギターを存分に楽しめる。聴いていると本当にライは巧いなあとつくづく感心してしまう。だいたいワーナーのスタジオ・ミュージシャンとしてギター1本だけでじゅうぶん食べていけるような力量の人なのだ。

ヴォーカルはほとんどないが(9)、ゴスペルの(10)などで聴け、得意のスライド・ギターはちょっと控えめに……というか、どこで使っていたかなあ。それはとにかくとして、『JAZZ』はなによりもライ・クーダーとデヴィッド・リンドレーの丁寧なギター(マンドリン)演奏が楽しいCDだ。


【付記】
● 乙山はあまり(というかほとんど)YouTubeを利用していないのですが、YouTubeに行って「ry cooder jazz」などと入力してみると、けっこう音源があるみたいです。すべてのトラックが聴けるというわけではないみたいですが、YouTubeもなかなか役に立つようです。パソコン付属のスピーカーでもけっこうですが、そこそこいいものを使うと音楽を聴くのが楽しくなりますね。

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tag : ライ・クーダー

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No title

はじめまして、

僕の中ではライクーダーはブルースミュージシャンであり、スライドギターの名手、
ということになっています。

特に色々聴いたことはないのですが、映画音楽でしょうか。
「クロスロード」、「パリ、テキサス」などのサントラは良く聴きます。

最近ディキシーランドやビッグバンドなどに興味はあるのですが、
とっかかりに何を聴くべきか分からない状態ですので、
今回とりあげられている、このアルバムはライ・クーダということもありぜひ聴いてみたいですね。

Re:naokichimanさん

naokichimanさん、コメントありがとうございます。
こちらこそ、はじめまして。乙山(おつざん)と申します。
ライ・クーダーはnaokichimanさんのおっしゃるとおり、
ブルースもやりますし、スライドギターの名手です。

だけど、ブルースだけではなくてもっと広がりを持った人、
だと思います。サウンドトラック関係の仕事も多い。
変わり者なんですよね。

ディキシーランドの音源は表立って発売されてはいませんが、
探せば手に入れることができます。
乙山はMembranの10CDでずばり『ディキシーランド・ジャズ』というのを
所有していますが、これはお勧めできます。

ビッグバンドは「デューク・エリントン」「カウント・ベイシー」「ベニー・グッドマン」
あたりであれば、まあどれを聴いてもひどい外れはないと思うのですが……
今後ともよろしくお願いします。

No title

こんばんは。
ライ・クーダー。You Tubeであれこれ聴いてみました。
全体像がつかめません(笑)
本当に音楽が好きで、いろいろな試みをしている方のようですね。
『Jazz』の中では、「Davenport Blues 』と『 Nobody』を聴くことができました。

私は聴いたものの中では、ギターソロに近いものにやはりひきつけられました。
本領発揮という気がして、シンプルでそれがいちばん好きです。
なんだか、アーリータイムズのコマーシャルが一番かっこいいと思うんですが、
笑われてしまいそうですね。
でも、なんていいコマーシャルだろう!と強烈に印象に残っていました。

『パリ・テキサス』は私の好きな映画。
でも、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』に魅かれて、ライ・クーダーのことを
調べるまで、彼が音楽を担当しているということを知らなかったんですから、
本当に我ながらあきれてしまいます。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、コメントありがとうございます。
ライ・クーダーは本当にキャリアが長い人で、
しかも色々なことをやっている人ですから
これぞ「ライ・クーダー」というのがつかみにくい人なのです。

だけど『ビエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でのかかわり方なんかをみると、
ああ、やっぱりライ・クーダーなんだな、って思ったりもします。
不思議な人なんですよ、本当に。

だから彼岸花さんが「まれびと」に喩えたのは
いいポイントをついていると思うんです。
後で知らされて「そうだったの?」なんて、
しょっちゅうですよ!

それこそ「銀幕」の世界では、
彼岸花さんに教えていただかないと
いけないことがいっぱいあるように思います。
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只野乙山

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