マーティン・スコセッシ監督 『ニューヨーク・ニューヨーク』

『ニューヨーク・ニューヨーク』 アメリカ (1977)

Newyork, Newyork
原題:Newyork, Newyork
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ライザ・ミネリ、ライオネル・スタンダー、バリー・プリマス、メアリー・ケイ・ブレイスほか


マーティン・スコセッシは音楽が大好きな人のようで、映画の中で使われる音楽は「おっ」と思わせるものが多い。ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』(1978)やローリング・ストーンズ『シャイン・ア・ライト』(2008)などロックバンドのドキュメンタリー映画やマイケル・ジャクソン『BAD』のプロモーション・ヴィデオも撮っている。レンタルCD店などの棚に『マーティン・スコセッシのブルース』なんていうタイトルのCDが何枚かあって、思わず借りてみようかと手を伸ばしそうになるくらいだ。

今回は、そんな音楽大好き映画監督マーティン・スコセッシの『ニューヨーク・ニューヨーク』(1977)。1945年8月、ニューヨークは対日戦勝利で沸きに沸いていた。街中に舞う紙吹雪、公道で抱擁しあう何組もの恋人たち。そんな中を、失業中のサキソフォン奏者で質屋に向かうジミー(ロバート・デ・ニーロ)は、ジャズ楽団が演奏する陽気な音楽に惹かれるように、ホテルのテラスへ赴く。

そこには数多の復員兵がいて、ジミーのバンド仲間たちも戦場から戻ってきていた。ジミーは、ふと眼にした軍服姿の若い女性フランシーヌ(ライザ・ミネリ)に心を奪われ、何とか近づこうとするものの、彼女はいきなり現れたジミーに戸惑いながらもつれない素振り。ジミーは厚かましさを通り越してあきれてしまうほどの執着ぶりを見せるけど、こういう男をやらせるとロバート・デ・ニーロは本当にぴったりくる。

翌日、ホテルの部屋代の支払いが済んでいない、と支配人はジミーに詰め寄り、窮する彼を救ってくれたのはフランシーヌだった。そこから二人は次第に打ち解け、クラブの楽団オーディションを受けて合格。だが、クラブのマネージャー(ライオネル・スタンダー)は、フランシーンを楽団とともに全国巡業させる心積もりだった。そんな事情を知る由もないジミーを残し、彼女は全国巡業に旅立ち、着実に花形シンガーとして成功を重ねていく。

ライザ・ミネリは小さな顔なのに異様に大きな眼。まるで漫画に描かれた少女を思わせるようだ。もともと映画女優というよりは、ブロードウェイのミュージカル女優としての活動のほうが早く、演技力と歌唱力で高い評価を受けている人。たしかに、『ニューヨーク・ニューヨーク』の中で彼女の演技と歌はまったくぶれることがない、というか、見ていてただ感心してしまうほかない、という感じなのだ。そのわりには映画の出演数とかCDがあまり残ってないのが不思議なくらい。やはり舞台が活動の中心というわけだろうか。

題名がすべてを表す、というわけではないんだろうけど、スコセッシ監督はやはりニューヨーク派とでもいうべき人だろう。主演二人のキャスティングからしても、ニューヨーク志向がはっきり表れている。波乱万丈の末の幸福な結末、という安心できる筋をたどるわけではない本作が最後に残してくれるのは、すれちがいのほろ苦さだけではありません。


【付記】
● イタリア系アメリカ人で、ニューヨーク生まれのロバート・デ・ニーロが『ニューヨーク・ニューヨーク』で演じるサキソフォン奏者は見事でした。いや、本当に演奏しているのかな、と思うくらい。ひょっとしたら音は出していたのかもしれません。本番の音はもちろん、ほかの人の演奏が使われているわけですが。演技の一環として楽器をマスターする、というのは、デ・ニーロならありえるのではないかと思います。
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おはようございます。

ライザ・ミネリを知ったのは、「キャバレー」でした。
歌や踊りに、ライザ・ミネリの魅力はすごかった。
のちにジュディー・ガーランドの娘だと知って、なるほどなって。

「キャバレー」はショービジネスにも社会にも戦争の危うい影が忍び寄るという、
意外とシリアスな内容です。いい映画でした。

「ニューヨーク・ニューヨーク」
スタンダードナンバーのCDで曲は聴いたことはあるのですが、
この映画は見落としていました。
乙山さんの解説で、こりゃ見なきゃと思いましたね。

Re:mapことクワトロ猫さん

mapさん、コメントありがとうございます。
mapさんのおっしゃるとおり、
ライザ・ミネリといえば「キャバレー」ですよね!

そっちのほうでダブル受賞しているとかで、
「キャバレー」が彼女の代表作といってもまちがいないでしょう。
「キャバレー」もまた見たくなってきました。
ちょっと、レンタルDVD店にでも行ってみようかな。
ありがとうございます。

おはようございます

同感です。
まったくといっていいほど同感です。
すれちがいのほろ苦さね。

乙さん、
ぼくのブログのリンク欄にのっけさせて
いただいてもいいでしょうか?
末永くおつきあいを、という気持ちで。


HOBO

Re:HOBOさん

HOBOさん、コメントありがとうございます。
リンクの件、OKですよ!
じゃあ、こちらからもリンク張っておきますね?

No title

『シャイン・ア・ライト』は観に行きました!
なまじのLiveよりこの作品を観たほうがずっと良いと思いました(笑)
ニューヨーク・ニューヨークは音楽もストーリーも楽しめそうですね、
一度捜して見てみたいです♪

Re:zumiさん

zumiさん、コメントありがとうございます。
お互い好きだったもの同士が、
生活の流れの中で離れていかざるを得ない状況になるわけで。
たぶん、レンタルCD店にはあるはず(?)です!
現代の感じとは違いますが、いい映画ですよ。
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只野乙山

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