レスター・ヤング/テディ・ウィルソンカルテット 『プレズ・アンド・テディ』
Lester Young, Teddy Wilson Quartet / Pres and Teddy (1956)

1. All of Me
2. Prisoner of Love
3. Louise
4. Love Me or Leave Me
5. Taking a Chance on Love
6. Love Is Here to Stay
7. Pres Returns
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1. All of Me
2. Prisoner of Love
3. Louise
4. Love Me or Leave Me
5. Taking a Chance on Love
6. Love Is Here to Stay
7. Pres Returns
いつ、どんなふうにしてレスター・ヤングを聞き始めたのかもう思い出すことはできないが、私(乙山)はいつの間にかレスターの魅力にとりつかれ、少しずつCDを買い集めていった。ネットで買い物ができるようになってからはさらに加速度が増して、いつの間にかレスター・ヤングだけで18枚のCDを所有するようになってしまった(2010年5月現在)。これはデューク・エリントンの10枚を抜いて、ちっぽけな乙山コレクションの中ではダントツの枚数である。
どうしてそういうことになったのか、それは自分でもよくわからないのだが、とにかくレスター・ヤングの演奏はすうっと入ってきて、ぐっと心をつかむようなところがあるのではないかと思う。それほどジャズに詳しくない私でもそう感じたのだから、やはりレスターのプレイには何らかの魅力があるのではないだろうか。
何かの本で読んだと思うが、レスターは歌詞のわからない曲を演奏したがらなかった、という。テナー・サキソフォンを演奏するとき常に歌詞を思い浮かべながら吹いているということなのだろう。だから、かどうかは一概に言えないかもしれないが、レスターのフレーズには「歌心」があるのだと思う。原曲のコード進行だけを基にして後は自由に演奏を繰り広げるジャズもひとつの行き方だと思うけど、そういうジャズはどこかとっつきにくく、難しい。
そんなレスター・ヤングのよさが凝縮されているのが『プレズ・アンド・テディ』(1956)ではないだろうか。レスターの絶頂期は1930年代で、戦後のレスターは駄目だという意見の人もいるかもしれないが、もともと肩の力が抜けたようなレスターが、よりリラックスして演奏している本CDには、レスターらしさがよく出ているように思う。
レスター・ヤング(ts)/テディ・ウィルソン(p)/ジーン・ラミー(b)/"パパ" ジョー・ジョーンズ(ds)/のメンバーでプロデュースはノーマン・グランツ。いわゆる「ワン・ホーン・カルテット」のスタイルでレスターが吹き、テディ・ウィルソンがそっと寄り添うように奏でるピアノはどこまでもエレガントである。
レスター・ヤングはカウント・ベイシー楽団の花形ソロ・プレイヤーだったこともあり、バンドの各メンバーのソロについてはじつに寛容で、「やりたいやつがやりたいだけやりゃあいいんだよ」みたいなところがある。じつはその間を利用してレスターは休んでいるだけなのかもしれないけれど、共演者のソロが多いのも楽しみどころ。
昔のスイング・ジャズ仲間が集まってプライヴェート演奏をした、というような趣きのある本作だが、聞いていると「スイングなんだろうけど、じゅうぶん(というかもうすでに)モダン・ジャズじゃないか」と思えてくる。ちなみに『プレズ・アンド・テディ』が出た1956年にはあの、ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』も出ている。どちらが云々、といおうとしているのではありません。後者も大好きなんだけど、それとは別の魅力が『プレズ・アンド・テディ』にはあるのではないかと思っている。
どうしてそういうことになったのか、それは自分でもよくわからないのだが、とにかくレスター・ヤングの演奏はすうっと入ってきて、ぐっと心をつかむようなところがあるのではないかと思う。それほどジャズに詳しくない私でもそう感じたのだから、やはりレスターのプレイには何らかの魅力があるのではないだろうか。
何かの本で読んだと思うが、レスターは歌詞のわからない曲を演奏したがらなかった、という。テナー・サキソフォンを演奏するとき常に歌詞を思い浮かべながら吹いているということなのだろう。だから、かどうかは一概に言えないかもしれないが、レスターのフレーズには「歌心」があるのだと思う。原曲のコード進行だけを基にして後は自由に演奏を繰り広げるジャズもひとつの行き方だと思うけど、そういうジャズはどこかとっつきにくく、難しい。
そんなレスター・ヤングのよさが凝縮されているのが『プレズ・アンド・テディ』(1956)ではないだろうか。レスターの絶頂期は1930年代で、戦後のレスターは駄目だという意見の人もいるかもしれないが、もともと肩の力が抜けたようなレスターが、よりリラックスして演奏している本CDには、レスターらしさがよく出ているように思う。
レスター・ヤング(ts)/テディ・ウィルソン(p)/ジーン・ラミー(b)/"パパ" ジョー・ジョーンズ(ds)/のメンバーでプロデュースはノーマン・グランツ。いわゆる「ワン・ホーン・カルテット」のスタイルでレスターが吹き、テディ・ウィルソンがそっと寄り添うように奏でるピアノはどこまでもエレガントである。
レスター・ヤングはカウント・ベイシー楽団の花形ソロ・プレイヤーだったこともあり、バンドの各メンバーのソロについてはじつに寛容で、「やりたいやつがやりたいだけやりゃあいいんだよ」みたいなところがある。じつはその間を利用してレスターは休んでいるだけなのかもしれないけれど、共演者のソロが多いのも楽しみどころ。
昔のスイング・ジャズ仲間が集まってプライヴェート演奏をした、というような趣きのある本作だが、聞いていると「スイングなんだろうけど、じゅうぶん(というかもうすでに)モダン・ジャズじゃないか」と思えてくる。ちなみに『プレズ・アンド・テディ』が出た1956年にはあの、ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』も出ている。どちらが云々、といおうとしているのではありません。後者も大好きなんだけど、それとは別の魅力が『プレズ・アンド・テディ』にはあるのではないかと思っている。
【付記】
● レスター・ヤングはあだ名を付けるのが大好きで、ビリー・ホリデイを「レディ・デイ」と呼んだところ、彼女から「プレズ」(プレジデントの略)と返されたそうで、レスターを"Pres"または"Prez"と呼ぶこともあります。どういうわけか日本のファンは「プレス」と慣習的に呼んでいるようですが、乙山は古くからのジャズファンではないので、どうしてもそのようには呼べません。なんだか報道機関とかジャーナリスト、あるいは圧延工やハムのようなものをどうしても連想してしまいます。
● レスター・ヤングはあだ名を付けるのが大好きで、ビリー・ホリデイを「レディ・デイ」と呼んだところ、彼女から「プレズ」(プレジデントの略)と返されたそうで、レスターを"Pres"または"Prez"と呼ぶこともあります。どういうわけか日本のファンは「プレス」と慣習的に呼んでいるようですが、乙山は古くからのジャズファンではないので、どうしてもそのようには呼べません。なんだか報道機関とかジャーナリスト、あるいは圧延工やハムのようなものをどうしても連想してしまいます。
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No title
レスターヤングはテナーサックスはもちろん良いのですが
クラリネットの演奏もいいですね。
もっと聞きたいのですが、残念なことに音源が少ないですからね。
クラリネットの演奏もいいですね。
もっと聞きたいのですが、残念なことに音源が少ないですからね。
Re: バランス屋さん
バランス屋さん、こんばんは! コメントありがとうございます。
そうでしたね、レスターはテナーサックスが有名ですが、
クラリネットも演奏していましたね。あまり意識して聴いていませんでしたが、
『カンザス・シティ・セッションズ』にクラリネット音源がありますね。
ご存知かとは思いますが、オスカー・ピーターソンとのセッションでは、
レスターがヴォーカルをとっているものもありますね。
レスター・ヤングの記事にコメントいただき、本当にうれしく思っております。
コメントを頂いてばかりでお返しできないのですが、
そちらはあまりに専門的すぎて、コメントをはさむ余地が……
どうかご理解ください。
そうでしたね、レスターはテナーサックスが有名ですが、
クラリネットも演奏していましたね。あまり意識して聴いていませんでしたが、
『カンザス・シティ・セッションズ』にクラリネット音源がありますね。
ご存知かとは思いますが、オスカー・ピーターソンとのセッションでは、
レスターがヴォーカルをとっているものもありますね。
レスター・ヤングの記事にコメントいただき、本当にうれしく思っております。
コメントを頂いてばかりでお返しできないのですが、
そちらはあまりに専門的すぎて、コメントをはさむ余地が……
どうかご理解ください。
No title
レスターヤングの演奏とは、ちょっと話がずれますが
レスターヤングは、帽子を被っているジャケット写真が多いですね。
なんかすごく似合っていてかっこいいですね。
検索してみたら、ポークパイハットという名前だそうです。
日本人が被ってもあまり様にならないような気がします。
日本は長い間着物文化のせいかどうかは知りませんが。
レスターヤングは、帽子を被っているジャケット写真が多いですね。
なんかすごく似合っていてかっこいいですね。
検索してみたら、ポークパイハットという名前だそうです。
日本人が被ってもあまり様にならないような気がします。
日本は長い間着物文化のせいかどうかは知りませんが。
Re: バランス屋さん
バランス屋さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
仰るようにレスターが帽子をかぶっている姿がありますね。
デューク・エリントンが被っていたのは中折れのソフト帽でしたが、
レスターの帽子がポークパイ・ハットというのは知りませんでした。
なんだか、平たくつぶしたような形で、ボーター・ハットを思い出しました。
それがまた、レスターに似合っているような感じがします。
中折れのソフト帽もいいでしょうが、レスターにはやはりあの帽子が、
よく似合っているように思いますね!
仰るようにレスターが帽子をかぶっている姿がありますね。
デューク・エリントンが被っていたのは中折れのソフト帽でしたが、
レスターの帽子がポークパイ・ハットというのは知りませんでした。
なんだか、平たくつぶしたような形で、ボーター・ハットを思い出しました。
それがまた、レスターに似合っているような感じがします。
中折れのソフト帽もいいでしょうが、レスターにはやはりあの帽子が、
よく似合っているように思いますね!