ピンク・フロイド 『パイパー・アット・ザ・ゲーツ・オブ・ドウン』 (1967)
Pink Floyd / The Piper At the Gates of Dawn (1967)

1. Astronomy Domine
2. Lucifer Sam
3. Matilda Mother
4. Flaming
5. Pow R. Toc H.
6. Take Up Thy Stethoscope and Walk
7. Interstellar Overdrive
8. Gnome
9. Chapter 24
10. Scarecrow
11. Bike
【付記】
● 本CDは「かなりかわった音楽」の部類に入ると思います。気力・体力とも充実しているときに聴くべきで、まちがってもこれをヒーリング的に用いることは止めたほうがよろしいかと。個人的には好きなのですが、乙山でもそんなにしょっちゅう聴くわけではありません。

1. Astronomy Domine
2. Lucifer Sam
3. Matilda Mother
4. Flaming
5. Pow R. Toc H.
6. Take Up Thy Stethoscope and Walk
7. Interstellar Overdrive
8. Gnome
9. Chapter 24
10. Scarecrow
11. Bike
近頃1960年代の音楽をよく取り上げているが、今回はピンク・フロイドの『パイパー・アット・ザ・ゲーツ・オブ・ドウン』(邦題は『夜明けの口笛吹き』)である。私にとってピンク・フロイドといえば、スタジオにおける凝りに凝った音作りをするグループというイメージがあり、彼らのサウンドは多重録音されたキーボードや効果音が長々と続いた後に、泣くようなギターが入るというスタイルが多いのだが、このデビューアルバムは少々事情が違う。
メンバーはシド・バレット(vo, g)/ロジャー・ウォーターズ(vo, b)/リック・ライト(kd, p)/ニック・メイソン(ds)の四人。中でもシド・バレットの個性が際立っており、彼のヴォーカルとギターが大活躍している。詞/曲も(6)がロジャー・ウォーターズによって書かれているほかはすべて、シド・バレットが書いている。
ピンク・フロイドはEMIと契約してこのアルバムを発表しているが、くしくもビートルズがEMIで『サージェント・ペッパーズ』の録音をしているときに、別のブースでピンク・フロイドも本作を録音していたというので両者を効き比べてみるといいかもしれない。どちらもサイケデリック・ロックとして認知されている(と思う)が、ピンク・フロイドと聞き比べてみるとやはりビートルズは「まとも」なのである。
当時流行していたサイケデリック・ロックの影響が色濃いサウンドで、LSDの服用による幻覚云々ということだ。たとえばビートルズ『サージェント・ペッパーズ』のオリジナルLPをお持ちの方は、中折ジャケットを開いたところに原色を多用したけばけばしい服を着たビートルズのメンバーが移っているのを見ることができると思う。彼らの目は瞳孔が開き気味なのかどろんとしているのに、ぎらぎらしている。これはもうLSDを服用してハイになっているのだろう。LSDの規制がゆるかった時代の話である(日本では1970年に麻薬指定されている)。
それにしてもシド・バレットのギターはすごい。じゃかじゃか弾いているだけに聞こえるんだけど、よく聞けばそれだけではなくて違ったフレーズを多重録音して重厚な感じを出しているし、(7)はかなり長い曲を飽きずに聞かせ、即興演奏が達者な面も披露している。ヴォーカルもジム・モリソンほどのカリスマ性はないかもしれないが、かなりいい線をいっている。
ピンク・フロイドは効果音を巧みに使うバンドだが、その傾向はこのファースト・アルバムから顕在だ。ほかのメンバーはシド・バレットの陰に隠れているようだけど、(6)ではロジャー・ウォーターズが作詞作曲し、印象的なベースのフレーズを聞かせてくれる。残念なのは、シド・バレットがLSDの過剰摂取により精神の変調をきたしてしまうことで、歌うことも演奏することもままならない状態になって、セカンドアルバムの一部に参加した後バンドを脱退してしまう。
その後、ギタリストのデイヴ・ギルモアが参加してから、一般的によく知られるピンク・フロイドの音楽が展開しているわけであるが、最初期に見られた一瞬のきらめきのほうが、後のピンク・フロイド的なサウンドよりいいのではないか、と私などは思ってしまうときがある。
メンバーはシド・バレット(vo, g)/ロジャー・ウォーターズ(vo, b)/リック・ライト(kd, p)/ニック・メイソン(ds)の四人。中でもシド・バレットの個性が際立っており、彼のヴォーカルとギターが大活躍している。詞/曲も(6)がロジャー・ウォーターズによって書かれているほかはすべて、シド・バレットが書いている。
ピンク・フロイドはEMIと契約してこのアルバムを発表しているが、くしくもビートルズがEMIで『サージェント・ペッパーズ』の録音をしているときに、別のブースでピンク・フロイドも本作を録音していたというので両者を効き比べてみるといいかもしれない。どちらもサイケデリック・ロックとして認知されている(と思う)が、ピンク・フロイドと聞き比べてみるとやはりビートルズは「まとも」なのである。
当時流行していたサイケデリック・ロックの影響が色濃いサウンドで、LSDの服用による幻覚云々ということだ。たとえばビートルズ『サージェント・ペッパーズ』のオリジナルLPをお持ちの方は、中折ジャケットを開いたところに原色を多用したけばけばしい服を着たビートルズのメンバーが移っているのを見ることができると思う。彼らの目は瞳孔が開き気味なのかどろんとしているのに、ぎらぎらしている。これはもうLSDを服用してハイになっているのだろう。LSDの規制がゆるかった時代の話である(日本では1970年に麻薬指定されている)。
それにしてもシド・バレットのギターはすごい。じゃかじゃか弾いているだけに聞こえるんだけど、よく聞けばそれだけではなくて違ったフレーズを多重録音して重厚な感じを出しているし、(7)はかなり長い曲を飽きずに聞かせ、即興演奏が達者な面も披露している。ヴォーカルもジム・モリソンほどのカリスマ性はないかもしれないが、かなりいい線をいっている。
ピンク・フロイドは効果音を巧みに使うバンドだが、その傾向はこのファースト・アルバムから顕在だ。ほかのメンバーはシド・バレットの陰に隠れているようだけど、(6)ではロジャー・ウォーターズが作詞作曲し、印象的なベースのフレーズを聞かせてくれる。残念なのは、シド・バレットがLSDの過剰摂取により精神の変調をきたしてしまうことで、歌うことも演奏することもままならない状態になって、セカンドアルバムの一部に参加した後バンドを脱退してしまう。
その後、ギタリストのデイヴ・ギルモアが参加してから、一般的によく知られるピンク・フロイドの音楽が展開しているわけであるが、最初期に見られた一瞬のきらめきのほうが、後のピンク・フロイド的なサウンドよりいいのではないか、と私などは思ってしまうときがある。
【付記】
● 本CDは「かなりかわった音楽」の部類に入ると思います。気力・体力とも充実しているときに聴くべきで、まちがってもこれをヒーリング的に用いることは止めたほうがよろしいかと。個人的には好きなのですが、乙山でもそんなにしょっちゅう聴くわけではありません。


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tag : ピンク・フロイド
コメントの投稿
ドラッグの影響だけでない個性
こんにちは。近々サイケデリックカルチャーも含め、私は60年代の話とかを書きたいなと思っているところなのですが、シド・バレットにはちょっとした思い入れがあります。アスペルガー症候群で共感覚があったのではないか、という話があります(添付URLの記事で書きましたので、良かったらご覧ください)。単に当時の流行りだったドラッグの影響だけでなく、彼独自の個性があったんではないか、と私は思っています。
ちなみにLSDは開発初期に自閉症の治療薬として使われていたそうです。
ちなみにLSDは開発初期に自閉症の治療薬として使われていたそうです。
Re: yuccalinaさん
yuccalinaさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
おお、プログレ系の記事にコメントが入るとは!
重ねて御礼申し上げます。
それでは、これから伺いますぞ。
おお、プログレ系の記事にコメントが入るとは!
重ねて御礼申し上げます。
それでは、これから伺いますぞ。