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余は如何にして高知に憧れを抱きしか

Suigei_Junmai.jpg
日本全国いろいろあるけれど、私(乙山)はなぜか高知に憧れを抱き、ついに徳島→室戸岬→高知→中村→足摺岬、帰りは四国山地という経路をたどって旅行したこともある。いったい、どういうわけで少年は高知に憧れるようになったのだろうか。

高知といえば、坂本龍馬であろう。だれもが知る歴史上の人物である。だが、坂本龍馬にずっと以前から憧れていたわけではなくて、小学校の歴史の時間に触れたか触れないかくらいのことだったように思う。高知への憧れは、子どものころから漫画やテレビを通じて次第に形成されていったのではないか。

できるだけ古い順にと思うのだが、何が一番古いのかもう曖昧になってしまった。ご存じない方もいるかも知れず恐縮だが、漫画とテレビの話をします。それらに詳しい方には噴飯ものかもしれませんが、なにぶん古い話なので間違ったことを書いてしまうかもしれません。どうかご容赦ください。

昔放映していたテレビ漫画に『侍ジャイアンツ』という(川上哲治監督に長嶋茂雄や王貞治が選手として活躍している!)のがあって、主人公の番場蛮(ばんばばん)が高知県出身なのだ。番場蛮が読売ジャイアンツに入団、魔球を駆使して活躍するという内容だが、番組のラストシーンあたりで主人公が銛一本を手に、巨大な鯨と一騎打ちする勇壮なイメージがよく流れていた。かつて土佐にはそういう鯨漁師が何人もいて、たしか番場蛮の父親はそれで命を落としていたような設定だったのではないだろうか。

また、水島新司による野球漫画『ドカベン』にも高知代表の高校が登場し、子どもだった私の度肝を抜いた。土佐なんとか高校の野球部員は、甲子園球場のベンチで(!)ヤスリを使ってスパイクを研ぎ、鋭利にしたものでスライディングをして、たとえば二塁手の殿馬なんかを狙うわけです。土佐犬というものが存在しているのを知ったのも『ドカベン』によるのではないか。たしか甲子園出場選手の宿泊施設に土佐犬を連れて来ていたような気がする。荒くれ者、蛮勇といったイメージで高知(土佐)人が描かれていたと思う。

もうひとつは、あの伝説的野球漫画『アストロ球団』の作者が描いたものと思われる『朝太郎伝』という漫画である。主人公の朝太郎は高知出身で、「おまん」「おんしゃ」「まっこと」「きに」「しちゅう」「ぜよ」といった土佐弁を使う朝太郎の豪快な生き方を見て、こんなふうになれたらいいな、という憧れを少年の心に抱かせたのではないだろうか。朝太郎が最後にどうなったかは覚えていないが、『アストロ球団』にも通じる昔ながらの男の美学を描いていた漫画だったように思う。

これらの漫画やテレビを見て、少年の私は高知(土佐)というものになにか漠然とした憧れのようなものを感じていたのだと思う。どの世代のすべての少年にも、などというつもりは毛頭ないが、すくなくとも私が少年だったころには豪快、勇壮、勇猛果敢、といったものに憧れを持つ少年が多かったのではないだろうか。

ブルース・リー主演の映画『燃えよドラゴン』における、リーの怪鳥のような叫び声をまね、アントニオ猪木のコブラツイストや卍固め、ザ・デストロイヤーの4の字固め、ジャイアント馬場の「あぽぅ」という声付き空手チョップ、ミル・マスカラスのフライングクロスチョップなどを仲間たちと実行し、同時に好きな球団の帽子をかぶって三角ベースなんかに夢中になった少年たちが、かつて日本にはたくさん存在したに違いないのだ。

そんな少年の中の一人に憧れを抱かせた高知=土佐(人)には、なにか独特の人を惹きつけてやまない気風というか気質のようなものがあり、それが連綿と受け継がれて今でも残っているのではないかと信じている。


【付記】
● 写真に見えるは「酔鯨特別純米酒」で、高知の酒。軽やかさと香り高さ、そして辛さのバランスが取れているいい酒だなあと飲むほどに感心しています。鯨も酔って舞い上がるようなイメージ、「鯨飲」という言葉から来るイメージ、そういうものを感じながら「酔鯨」の杯を重ねています。
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おはようございます。

野球漫画、テレビ、三角ベース、プロレスの真似・・・・、
少年の日の乙山さんの姿が想像されて、微笑みながら読みました。

少女の頃の私にとっての高知県のイメージは、やはり坂本龍馬と、
あと、天気予報です(笑)。
坂本龍馬に関しては、何をしたかということより、土佐弁の響きですね。
なにか男らしい言葉だなあ、と。(笑)

天気予報のほうは、気象通報、といったほうがいいかな。
NHKアナウンサーの落ち着いた、淡々とした声で、「室戸岬の南南東…に強い勢力の台風・・号が」とか、「…の北緯…、東経…では南南東…風力…、天気不明、」などというあれ。当時はヘクトパスカルではなく…ミリバール、という言葉も懐かしく。
最後に、『以上、この時間の気象通報をお伝えしました。時刻は間もなく○時○分になるところです。NHK(『エヌ・エイチ・ケイ』」と言う、あのアナウンスがもう、よくてよくて!(笑)

遠い暗い海に想いを馳せ、ロマンチックな気分になっていましたねえ。
室戸岬、足摺岬。灯台。暗い海。気象通報。・・・・・いいなあ。

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、コメントありがとうございます。
そうそう、旅行先に足摺岬を書き忘れていました!
中村市の後で、足摺岬に行ったのです。

田宮虎彦が「足摺岬」という小説を書いています。
それを読んで、というわけではないのですが、
足摺岬に行く前から田宮虎彦の「足摺岬」を読んでおりました。

室戸は本当に、豪快でした。
パイ状の岩が縦になっていて(?)、広い海があるばかり。
おそらく、積層岩が地殻変動で起こされたものと思いますが。

早速ウェブログの記事に足摺岬を書き加えることにいたします。
ありがとうございました。

田宮虎彦

私は、田宮虎彦の『足摺岬』が大好きで、それでこの記事に
反応したくらいです(笑)。
私のブログ、11月16日付けの記事『次姉の贈り物①』という記事でも
ほんのちょっと、田宮虎彦全集の『足摺岬』のページの写真を載せています。

本の中身についてはそこでは触れていませんから、わざわざご覧いただくことも
ありません(笑)。
いつか、季節が来たら、彼の『朝鮮ダリア』という話について記事を書きたいです。
私にとっての幻の花なんです。 

Re:彼岸花さん

彼岸花さん、再コメントありがとうございます。
乙山が所有している田宮虎彦は、新潮文庫のものが三冊。
『落城・足摺岬』『銀心中』『霧の中』がそれです。

かなり古い本たちで、管理が悪かったせいかかなり茶色に変色しています。
『霧の中』に「朝鮮ダリヤ」も収録されているようなので、
また読んでみようと思っています。

いま新潮文庫に田宮虎彦のものはなく、
ちくま文芸文庫にかろうじて抄録が残っている程度です。
好きな作家だけに残念です。辻邦生なんかもすごくいいのに。
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