TVドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』(2018年、TBS)
とある夕方、白身魚のフライにかけるタルタルソースを作ろうと玉ねぎ1/8個を刻んで水にさらし、ターンオーバーの目玉焼きを作るため冷蔵庫の扉を開けたんだけど、卵がないのである。あれ、さっき買ったはずなのに、なんでないんだ? その日は仕方なくシマダヤの焼きそばだけを焼いてソースかけて食べた。その後、ジン&ソーダを飲みながら冷蔵庫にソーダの補充がないのを不思議に思った。
ソーダも買ったのである。いつも食べているでん六の素焼きピーナッツも。なのに「ない」。どうしてだろうと思いながら翌日仕事に出かけ、夜勤明けに近隣の商店で冷凍の白身魚フライ、ウィルキンソンのソーダ、でん六の素焼きピーナッツを買ってレジに行くと「お客様、お忘れ物はございませんか?」と。「お忘れ物」とは冷凍の白身魚フライ、ウィルキンソン・ソーダ、6個入り卵、そしてピーナッツ。
きょう自分が買った物とそれらがレジで並んでいる光景を見てゾッとした。なんでこんなことに……てかオレってヤバくね? と心底思ったのである。それだけではない、日常生活のちょっとしたこと、例えばある目的や理由があって部屋を移動したはずなのに、その部屋に来た瞬間「あれ、なんでここに来たんだっけ」と思う自分。ひょっとしてもう発症してるんじゃないか。
家の鍵と車のキー、どちらも失くすと探すのに苦労するのでそれらを合体して持ち歩いている。置き場所を一定にするため玄関の靴箱の上と決めている。何事もなく帰宅し、ポケットから家と車のキーを取り出すのはいいものの、鍵のかかった玄関ドアの前で車のオープンボタンを押している自分って、いったい……いやもうね、若年性アルツハイマーと診断されてもおかしくないぜ?
で、TVドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』を見たんですよ、レンタルで一気にね。主題歌のほうから入ったクチで、こんないい主題歌だったら本編もいいに違いないと思って。産婦人科医の女性、北澤尚(戸田恵梨香)が、元作家の間宮真司(ムロツヨシ)と出会って恋愛関係になるんだけど、そのとき尚は精神科医の井原侑市(松岡昌宏)と婚約していた。
いや、本当の気持ち(愛/恋/ラブ/心)は、約束され安定した現実をひっくり返してしまうんですね。このインパクトが前半を導く。だいたい恋愛ものっていざこざやドタバタがあって最後に一緒になるエンディングが多いけど、このドラマはいわゆるピークが第5話にあって、その後はヒロインがどう壊れていくかが描かれていくという相当重たいテーマになっている。
幸せのピークを迎えた後のスパイス(不幸な出来事)の効かせ方も絶妙で、再び不安定な状態へ導く。なにがどう、とはここでは言えないが、全編見て頂けたらおわかりになると思う。物語全てに関わってくるサブキャストの精神科医がいいですね。彼の着地点がまた、驚きなんですよ。こういうのもありなんだ、って思わせてくれる不思議なね。
ヒロイン(戸田恵梨香)はただもう「可愛い」って感じ。美人は美人なんだけど、っていうより「可愛い」気がする。往年のオードリーは「ファニー・フェイス」って言われてたけど、それに近いかな。主人公(ムロツヨシ)の勤勉ぶりも驚きもので、作家というイメージにしては働きすぎみたいな気が……あ、違うか。いつ、どこで、どう書くかは書き手によって違うしね。
いずれにしても他人事ではない問題である。特に最近物忘れが著しい私にとってはね。自分が何かを忘れたことさえ、忘れてしまうというものすごい重たいテーマの本作ですが、最後に一度、奇跡をプレゼントしてくれるのも嬉しい。現実にはそんなことないかもしんないけど。重たいテーマなのに、最後まで見ずにいられないようにできている良いドラマだと思う。
ソーダも買ったのである。いつも食べているでん六の素焼きピーナッツも。なのに「ない」。どうしてだろうと思いながら翌日仕事に出かけ、夜勤明けに近隣の商店で冷凍の白身魚フライ、ウィルキンソンのソーダ、でん六の素焼きピーナッツを買ってレジに行くと「お客様、お忘れ物はございませんか?」と。「お忘れ物」とは冷凍の白身魚フライ、ウィルキンソン・ソーダ、6個入り卵、そしてピーナッツ。
きょう自分が買った物とそれらがレジで並んでいる光景を見てゾッとした。なんでこんなことに……てかオレってヤバくね? と心底思ったのである。それだけではない、日常生活のちょっとしたこと、例えばある目的や理由があって部屋を移動したはずなのに、その部屋に来た瞬間「あれ、なんでここに来たんだっけ」と思う自分。ひょっとしてもう発症してるんじゃないか。
家の鍵と車のキー、どちらも失くすと探すのに苦労するのでそれらを合体して持ち歩いている。置き場所を一定にするため玄関の靴箱の上と決めている。何事もなく帰宅し、ポケットから家と車のキーを取り出すのはいいものの、鍵のかかった玄関ドアの前で車のオープンボタンを押している自分って、いったい……いやもうね、若年性アルツハイマーと診断されてもおかしくないぜ?
で、TVドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』を見たんですよ、レンタルで一気にね。主題歌のほうから入ったクチで、こんないい主題歌だったら本編もいいに違いないと思って。産婦人科医の女性、北澤尚(戸田恵梨香)が、元作家の間宮真司(ムロツヨシ)と出会って恋愛関係になるんだけど、そのとき尚は精神科医の井原侑市(松岡昌宏)と婚約していた。
いや、本当の気持ち(愛/恋/ラブ/心)は、約束され安定した現実をひっくり返してしまうんですね。このインパクトが前半を導く。だいたい恋愛ものっていざこざやドタバタがあって最後に一緒になるエンディングが多いけど、このドラマはいわゆるピークが第5話にあって、その後はヒロインがどう壊れていくかが描かれていくという相当重たいテーマになっている。
幸せのピークを迎えた後のスパイス(不幸な出来事)の効かせ方も絶妙で、再び不安定な状態へ導く。なにがどう、とはここでは言えないが、全編見て頂けたらおわかりになると思う。物語全てに関わってくるサブキャストの精神科医がいいですね。彼の着地点がまた、驚きなんですよ。こういうのもありなんだ、って思わせてくれる不思議なね。
ヒロイン(戸田恵梨香)はただもう「可愛い」って感じ。美人は美人なんだけど、っていうより「可愛い」気がする。往年のオードリーは「ファニー・フェイス」って言われてたけど、それに近いかな。主人公(ムロツヨシ)の勤勉ぶりも驚きもので、作家というイメージにしては働きすぎみたいな気が……あ、違うか。いつ、どこで、どう書くかは書き手によって違うしね。
いずれにしても他人事ではない問題である。特に最近物忘れが著しい私にとってはね。自分が何かを忘れたことさえ、忘れてしまうというものすごい重たいテーマの本作ですが、最後に一度、奇跡をプレゼントしてくれるのも嬉しい。現実にはそんなことないかもしんないけど。重たいテーマなのに、最後まで見ずにいられないようにできている良いドラマだと思う。
【付記】
本作のキャスティングが良いのでしょうね。松岡昌宏や草刈民代もいいのですが、脇役の居酒屋の店長でさえ、いいのです。
本作のキャスティングが良いのでしょうね。松岡昌宏や草刈民代もいいのですが、脇役の居酒屋の店長でさえ、いいのです。
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こんにちは。
まだまだですよ。
私などは物忘れの一日です。
買い物をするとレジに財布を忘れてくる。
何度もね。
人の名前、物の名前、なかなか出てこないし、
言いたい言葉も、なんだっけ?となります。
それより怖いのは何をするにも億劫になったことです。
例えば映画を見るのが億劫、音楽を聴くのが億劫。
朝ごはん食べるのも、新聞読むのも。
こうして「わからん爺さん」になってゆくんだろうなー
とか思うこの頃です。
乙山さんはまだまだ大丈夫!
ブログの文章、何時拝見してもさすが作家さん。
私などは物忘れの一日です。
買い物をするとレジに財布を忘れてくる。
何度もね。
人の名前、物の名前、なかなか出てこないし、
言いたい言葉も、なんだっけ?となります。
それより怖いのは何をするにも億劫になったことです。
例えば映画を見るのが億劫、音楽を聴くのが億劫。
朝ごはん食べるのも、新聞読むのも。
こうして「わからん爺さん」になってゆくんだろうなー
とか思うこの頃です。
乙山さんはまだまだ大丈夫!
ブログの文章、何時拝見してもさすが作家さん。
Re: こんにちは。;南亭さん
南亭さん、コメントありがとうございます。
いやはや、物忘れがひどくなって参りましてね。
仰るように固有名詞が出てきにくくなりました。
しばらく頭を捻っても出てこず、
ネットで調べて「そうだったんだ」です。
南亭さんはお身体のこともあって、
だいぶんお疲れになっているのだと思います。
良い方向に向かってらっしゃると信じてます。
少しずつ、いろんなことが良くなっていきますように。
自分のためにも、祈りたいです。
いやはや、物忘れがひどくなって参りましてね。
仰るように固有名詞が出てきにくくなりました。
しばらく頭を捻っても出てこず、
ネットで調べて「そうだったんだ」です。
南亭さんはお身体のこともあって、
だいぶんお疲れになっているのだと思います。
良い方向に向かってらっしゃると信じてます。
少しずつ、いろんなことが良くなっていきますように。
自分のためにも、祈りたいです。