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ザ・ブルーハーツ『30th Anniversary....Selected Songs』(2015)

1980年代の終わり頃、飲食店の有線放送(だったと思う)で「ドブネズミみたいに美しくなりたい」とか「気が狂いそう…優しい歌が好きで」などを聞いた時、本当にびっくりしてしまった。何年も逆戻りしてしまったようなシンプルかつストレートなサウンドに乗せた日本語の歌詞に、半ば呆れながらも度肝を抜かれてしまったんである。

何しろテクノ・ポップというかエレクトロ・ポップが定着し、音楽産業のヴィジュアル化が進んだ時代だったわけで、いわゆる「1980年代サウンド」が主流だったように思う。そんな中、デジタル音源を装備した鍵盤楽器を排し、時代を逆行するかのようなアナログ的表現(?)を敢えてやる彼らを「ザ・ブルーハーツ」であると知った。

メンバーは甲本ヒロト(vo, g)、真島昌利(g, vo)、河口純之助(b, vo)、梶原徹也(ds)。ウィキペディアによるとバンドとしての活動は1987〜1995年と短いが、後の世代に与えた影響は大きい、とある。久しぶり聴きたくなってCDをレンタルした。音源は『THE BLUE HEARTS 30th ANNIVERSARY ALL TIME MEMORIALS~SUPER SELECTED SONGS~』(2015)。

ドブネズミがキーワードの「リンダリンダ」。はたしてドブネズミが美しい(優しい/あたたかい)のか、よくわからないが、そもそも「もしも僕がいつか君と/出会い話し合うなら/そんな時はどうか愛の意味を知ってください」とあり、言葉通りだとしたら未だ見ぬひとへ向けたメッセージ、ということなのだろうか。

何と巨視的かつ未来的なのだろう。だが言いたいのは「目立たず生きるのは美しい」そして「優しい、あたたかい人でありたい」だと思う。「決して負けない強い力を/僕は一つだけ持つ」も、何の力かわからないけど、そんな力がありそうな気になる。というか甲本の声やバンドの音楽自体ににそのような力があるのではないか。

「人にやさしく」もシンプルなリズムとメロディーに乗せた歌詞がしっかり届く。「気が狂いそう」という出だしだけで聴く者を引き込んでしまう力があるのは驚くほかない。何かを非難攻撃するのではなく、心の奥底に向けられた魂の叫びに近いものだと言える。「叫ばなければやり切れない思いを/ああ 大切に捨てないで」とかね。

世代的にはポスト・パンクなんだけど、何かパンク以上にパンク的というか、魂の純度の高さと精神性の高さを保ち続けているのが驚異である。日本語ロックの面から見ると、丁寧語(ですます調)を使いながら英語の混入を少なめにしているにもかかわらず、しっかりロックになっているのもすごいことだと思う。

残された画像や映像を見る限り、ファッション的には「カジュアルなパンク」だろうか。一部レザー・アイテムを使いながらもメイクや髪型まで凝ることはなく、デーモン小暮や忌野清志郎のようにならず、どこまでも自由人なのが甲本ヒロトなのだろう。こういう、存在自体がロック/パンクな人は、スタイルとして継承するのは不可能である。


【付記】
• 後にアニメ『NARUTO 疾風伝』のオープニング曲で「永遠です/突撃ロック」と歌う声を聞いたとき、すぐに甲本ヒロトだとわかったのも彼の声が持つ威力というかインパクトがあるからだと思います。

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社畜

こんばんは。
ブルーハーツがデビューした頃、私はそれなりに企業戦士でした。その頃は多忙もあり、音楽から遠ざかっていて、リアルタイムでブルーハーツを聴いていません。
その後、上司の期待に背いて、労働組合活動にのめり込み、窓際に追いやられた時、聴こえてきたのが「青空」でした。この曲はしみましたね。
乙山さんは「青空」について、あまりにもベタすぎて、言及されなかったのではないかと思います。
さて、どこかにブルーハーツのCDがあったと思うので、探して聴いてみたいと思いました。

Re: 社畜;オッカイポさん

オッカイポさん、コメントありがとうございます。
飲食店のBGMでしたがブルーハーツが聞けてラッキーでした。
それがなかったら、私も聞き逃していたでしょうね。

あまりにもベタすぎなのは「青空」だけではないと思います。
おそらくそのほとんどがベタなのです。
ですがそれが心地よいというか、受け入れてしまうのです。

そんな不思議な魅力が、ブルーハーツにはあるんでしょうね。
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