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真希波・マリ・イラストリアス

『エヴァンゲリオン新劇場版』で新たに登場した真希波・マリ・イラストリアスは、NERVユーロ支部所属であること以外ほとんど不明の謎めいた少女である。だが漫画版最終巻の番外編「夏色のエデン」にイラストリアスにそっくりの「真希波マリ」が登場しており、彼女たちが同一人物だという見解が主流になっているようである。でも、これはかなり無理があると思う。

「夏色…」は1998年における京都大学が舞台になっていて、16歳で飛級進学した「真希波マリ」が碇シンジの母、碇ユイに出会うのだが、その時点でパイロットには不適合(パイロットは14歳でなければいけない*)である。しかも『エヴァ』は2015年の話。1998年に16歳だった人が2015年まで歳をとらずにいる**なんて……

* 正確にはエヴァ・パイロット適合者の条件は「母親がいない14歳の男女」だった。
** 『Q』でアスカのいう「エヴァの呪詛」(見た目が変わらない)を思い出す人がいるかもしれないが、イラストリアスが初めてエヴァに乗ったのは『破』オープニングでのベタニア基地である。


だが説明や脈絡、整合性のないのが『エヴァ』の魅力になっているのも事実。なので「夏色…」の真希波マリと、新劇場版のイラストリアスに関係があると仮定して、できるだけ無理のない推論をしてみたい。もちろんこれが「正解」であるはずはなく、どこまでも「遊び」である。こんなふうに解釈で遊べるのが『エヴァ』の楽しみの一つだよね。

2015年に14歳としてフル活動できる人は2001年1月あるいは2000年12月生まれ前後の人*だろう。その人の母親は2000年の3月〜4月頃に懐妊したと思われる。「夏色…」の真希波マリはイギリス留学した後、NERVユーロ支部に引き抜かれ、エヴァ2号機の建造に関わった。そこにはアスカの母親もいて、彼女たちは仕事を通じて親交を深めた。

* 全てが計画的とはいえ、これでは使徒襲来の時期さえも計画的だったことになる。逆に言うと「使徒が2015年に襲来する」と知っていないと、パイロットを準備できない。『序』でミサトも「よりによってこんな時に」と、シンジをNERVに呼んだのに合わせたかのように使徒が現れるのを訝しがっていた。

そんな生活の中で、真希波マリは18歳(2000年)の時、何らかの形で妊娠した。「夏色…」でユイに好意を持っていたことから同性愛者であるとされるが、先輩ユイに対する16歳の少女の一時的な憧れだったかもしれず、男性と出会って恋に落ちた可能性もある。あるいは望まぬ形だったかもしれないし、人工授精の可能性もある*。

* 「パイロットのスペア確保プロジェクト」の一環としてなら、むしろ人工授精のほうがすんなり事が運ぶ。作中ではパイロット問題の対策として「ダミープラグ」が実施されたが、おそらくゲンドウに任せては埒があかないと業を煮やしたゼーレ主導だったと思われる。

そして2000年の終わり頃から2001年の初め頃にかけていずれかの時期に女の子を出産し、「イラストリアス」と名付けた。ミドルネームは自分と同じ「マリ」にした。出産後も仕事は多忙を極め、育児に専念できなかったと思われるが、エヴァ建造は国家プロジェクトであるため、NERVユーロ支部は真希波マリ母子をできるかぎりサポートした。

後にイラストリアスが真希波を名乗っていることから、父親の影は薄く、ほぼ父親不在の環境に育った* と思われる。あるいは養護施設のような所に預けられたのかもしれないが、やはり住居を与えられ、ハウスキーパー兼養育係も手配されたのではないか。なので真希波母子は多くの時間を共有できたのではないかと考えられる。

* パイロットたちが「仕組まれた子どもたち」だとすると、上述の計画の一環として「人工授精」または「望まぬ受精」が行われた可能性はかなり大きくなる。ユイが初号機でどうなったか知った真希波マリが、パイロット確保のために人工授精を受け入れたとすると、父親の不在は極めて自然な結果となる。

イラストリアスは、いちパイロットとしてはあまりにも多くのことを知りすぎている*が、だれか(母マリや加持?)からエヴァやNERV、そしてゼーレのことを聞いたと考える他ない。通常なら国家機密扱いの情報で子どもに話す内容ではないのだが、持ち前の「知りたい、乗りたい」欲求から少しずつ大人たちから情報を引き出していった**のではないか。

* 2号機に乗っていきなり裏コードを発令し、リツコ以外の全員が驚いていることなどから、おそらくミサト以上に「知っている」ことは多そうである。
** ハッキングの名手でもない限り、極秘情報を入手するのは不可能である。子どもにできるのはやはり「知っている人に教えてもらう」ことしかないし、それに応える「だれか」がいたということだろう。


母親が精神不安定状態になってほとんど会話できず、ひたすらパイロットしての教育や訓練を受けたアスカとの違いはそこにある。例の「ゲンドウくん」は、母子の会話の中では共通の呼び名になっていたのだろう。ただ『Q』でアスカが「コネメガネ」と呼んでいることから、アスカとの交流は全くなかった。

しかし母マリからアスカのことは聞いていた。『Q』でアスカを「姫」と呼び、パイロットの後輩としてアスカを立てているのも事情を知っているから(?)こそであろう。アスカに好意を寄せているという見方もあるが、穿ち過ぎかと。例の三角関係でもうお腹いっぱいなので、立ち位置としては中立もしくは異色のぶっ飛びキャラ*にするしかないよね。

* 『破』で初めて2号機に乗った時も司令室と回線を断つという破天荒のぶっ飛びぶりを見せていた。美少女なのに中身はオッサン、みたいな設定だろうか。作戦行動中に昔の歌を歌うのは彼女の定番行動になっているようだが、これをもってゲンドウやユイと同世代とするのは苦しい。彼らの世代にとっても歌が古すぎる。

最後に真希波マリはどうなったか? 「エヴァ・パイロットの条件」に準じているとするなら、やはりすでに亡くなっている* と考えられる。2号機建造の後、NERVアメリカ支部の要請で4号機の建造に加わり、そしてあの事故に巻き込まれたというような展開がドラマティックではあるが、時期的に苦しい設定でいささか無理があるだろう。

* イラストリアスが初めてエヴァに乗る際、加持は「お前は問題児だからな」と言っていた。父親の不在と母の死を抱えた少女は、アスカやシンジとは違ったやり方で自分のアイデンティティを確立していくのだが、それが「問題児」として周囲に映ったということだろう。


【付記】
⚫︎ この記事を書くにあたって『新劇場版』を再視聴しましたが、やはり『Q』はキツいですね。正直、なんのことかサッパリわかりませんでした。次の『ファイナル』でも説明はないでしょうし、幸福なエンディングもないと覚悟したほうがいいでしょう……そもそも公開延期するかもしれませんし。

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