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RCサクセション『GOLDEN BEST -UNIVERSAL EDITION-』(2004)

忌野清志郎(とRCサクセション)を知ったのは1982年頃、YMOの坂本龍一との共作「い・け・な・いルージュマジック」が出た時ではないかと思う。忌野の絞り出すような独特のヴォーカル、彼らのケバケバしいメイクに度肝を抜かれた。今はマエストロのような坂本だが、その頃は若きデヴィット・ボウイと渡り合えるほどのイケメンだった。

ウィキペディアによると、忌野自身は1960年代中頃から音楽活動をしており、RCサクセション誕生は1968年とあるが、楽曲をラジオで聞いた記憶はなく、ましてテレビで見たこともなかった。1970年代後半ではライヴでのパフォーマンスが有名だったそうだが、やはり坂本との共演がきっかけで広く知られるようになったのではないかと思う。

その後、RCの楽曲はラジオでも流れるようになり、追いかけなくても向こうから聞こえてくるようになったけれど、政治的メッセージや大手レコード会社との対立などを見ていると、立ち位置としては今でいうインディーズとかアングラが似合ってるのではないかと思う。音源は『GOLDEN BEST -UNIVERSAL EDITION-』(2004)とした。

「ロックンロール・ショー」は仲井戸 ”CHABO” 麗市のリフが印象的で、作詞作曲はRCサクセションとある。こういう時、仲井戸のリフがまずできて、そこに忌野が歌詞を乗せていく感じで出来上がっていくんじゃないかと想像する。「ほら もういっちょう/これはロックンロール・ショー」なんて、いかにもその場で作った感じがする。

画像や映像を見る限り、仲井戸のギターはフェンダーのストラトだと思うが、リフはどこか重さと粘りがあってギブソンのファイアバードのようだ。イフェクターの使い方によると思うがソロに入るとストラト全開になるのが面白く、フレージングも独特だ。スタジオ音源では短めソロが多いけど、ライヴで演奏が聴けなかったのが残念だ。

「サマータイム・ブルース」はエディ・コクランのカバーで、日本語の歌詞をつけている。モロ反原発ソングなんだけど、こういう政治的メッセージをたくさん盛り込んだアルバム『COVERS』は発売中止になったという。当時所属していたレコード会社は東芝EMIで、親会社の東芝が原子炉の供給をしていたため圧力がかかったという。

「サン・トワ・マミー*」はサルヴァトール・アダモの曲で、日本では越路吹雪のカバーがヒットした。題名は英訳すると「Without you my honey (sweetheart)」ほどの意。越路版では女性の立場での歌詞をRC版では男性に書き換えている。原曲や越路版はミディアム・テンポだがRC版はアップ・テンポのアレンジでホーンを入れてファンキーに仕上げている。

RCといえばこれ、ともいえる「雨あがりの夜空に」はライヴ終盤で使われた定番ソング。忌野の愛車のことを歌った曲だが、あまりにもわかりやすい喩えに笑ってしまう。仲井戸のリフに忌野が歌詞を乗せたRC黄金ソングとも言えるだろう。後にカバーしたアーティストの多さにも驚かされるRCの代表曲だ。

最後の「スローバラード」は忌野のヴォーカルがしみじみと切なく、「雨あがりの夜空に」とは対照的。さすがに曲は外部委託しているが、こういう静かな曲を聞かせる忌野の声の力に改めて感心するし、曲に合わせてソロをサクソフォンに任せるセンスにも脱帽。プレイリストに入れるなら「雨あがり…」ではなくてこっちだね。

* 原題はフランス語で「Sans toi m’amie」。「toi」から親しい関係が示され、「m’amie」とは「女の友達」を指す。男友達なら「mon ami」(モナミ)で、この名を冠した喫茶店が以前いくつか存在した。越路吹雪が歌うなら、本当は「サン・トワ・モナミ」にすべきで、そのままでは「女が別れた女を想っている」ことになる。

【付記】
⚫︎ いえね、「雨あがり…」は良いんだけどわかりやす過ぎるんですね。一人ならいいんだけど、誰か人が横にいればちょっと困るのです。

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No title

「スローバラード」。
いいですね。僕も大好きな曲です。
「僕の好きな先生」あたりから、彼らを聞く機会があった世代なのですが、この曲を知ったのはかなり後になってからのこと。
それから聞く機会が増えました。

Re: gatayanさん

gatayanさん、コメントありがとうございます。
RCはかなり前から活動していたようですが、
広く知られるようになったのはやはり坂本との共演以後でしょうね。
私など、全く知りませんでしたが、
かなり長い間、不遇の運命にあったようですね。
「スローバラード」と「サン・トワ・マミー」を、
プレイリストに入れて、車で再生しています。

スローバラード

酔った時なんかに、この曲を聴くと泣けてくる時があります。駆け落ちした若い男女の、切ない情景を歌った名曲だと私は思っています。
え?お前さんはそんな体験をしたのかい?・・・・いえいえ、想像の中の自分をスローバラードに投影しているんです・・・・・すみません、ちょっと酔いすぎました。

Re: スローバラード;オッカイポさん

オッカイポさん、コメントありがとうございます。
この曲は本当にいいですよね。
清志郎のヴォーカルの魅力が十全に出ていて、
カラオケで真似することなど、とてもできません。

聞いていて涙が出てくる曲も、そうあるものではありませんが、
「スローバラード」はそんな力を持った曲だと思います。

歌詞と性別のモンダイ

こんにちは(^O^)/

本題でなく、最後のサントワマミーの注についてなんですが、歌詞における性別と、歌い手のそれとのズレに関しては、かつて論議があった気がするんですよね。昔ビートルズのカバーした女性歌手は、例えば、And I Love HerをAnd I Love Himにして歌っていたものですが、それが徐々に、元々の歌詞を変えない方向性の方が強くなってきた気がします。それは、オリジナルに忠実なのが良いというだけでなく、歌を自分の思い入れを込めるよりも、客観的に捉えるようになってきたからでは?と思います。また、音楽界において、LGBTがオープンになってきてますから、エルトン・ジョンが男性の恋人を思いつつ書いた曲に、疑問を挟む人も少ないのだと思います。

どちらかと言えば古臭いと思われがちな、演歌の世界では男性歌手が女心を歌う、というのが昔から一般的だったのは、結構面白いなと感じる今日この頃です。

Re: 歌詞と性別のモンダイ;yuccalinaさん

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
そうそう、エスター・フィリップスが「And I love him」を歌っていましたね。
『Atlantic Rhythm and Blues vol.5』に収録されたのを聞きました。
1965年のことですので、彼女の意思よりレコード会社の意向だったと想像します。

ご存知のように仏語(独語・伊語も)には女性名詞、男性名詞がありますよね。
なので、それがない言語圏の人には思いもつかないことがある、と思うんです。
日本語が非論理的であるように、私は、言葉の問題として書き加えました。

想像の域を出ませんが、「サン・トワ・マミー」のカバーを出す際、
歌詞と性別の問題はまったく意識されていなかったのでは、と。

男が女の立場で歌う「なりきりソング」は昔からありましたよね。
「神田川」や「大阪で生まれた女」の他、数えきれません。
性別のことを意識したことすらありませんでした。

No title

只野乙山さん、お久しぶりです。

「僕の好きな先生」や「カレーライス」の頃しか、リアルタイムで聴いていないので、
1974年以降の御活躍の時代は知りませんが。
当時青春真っ只中の私は、あの詩のセンスに本当に目が点になりました。

その後偶然に見た坂本龍一とのテレビの共演で、キスをされていたので驚きました。
もちろんパフォーマンスの中ですけど、日本も変わったと感じました。

年号も変わって、本当に昭和が遠くなっていくのですね。

Re: まん丸クミさん

まん丸クミさん、お久しぶりです、コメントありがとうございます。
忌野清志郎って、ずっと昔から活動していたんですね。
私は坂本龍一との共演から知りました。

何か存在自体にインパクトのある人で、
影響を受けた人もかなり多いと聞いています。

昭和から平成に変わった時に、
何かが終わったような気持ちになりました。
でも今回はそんな気持ちは少しもなく、
地続きであるような感じがするのが不思議です。
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