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プリンセス プリンセス「Diamonds/M」(1989)

プリンセス プリンセスを初めて聴いたのは、カラオケ酒場でのことだったか、当時交際のあった女性が聴いていたのをそばで聞いたのか、今となっては思い出せない。でも「Diamonds/M」のカップリングだったような気がするから後者の可能性が高い。プログレにのめり込みながらジャズとクラシックを好むひねくれ男がノックアウトされたんです。

メンバーは奥居香(v, g)、中山加奈子(g, v)、渡辺敦子(b, v)、今野登茂子(kd, v)、富田京子(ds, v)の5人。ほとんど全てを作詞作曲して自ら演奏、そして商業的に最も成功して長期にわたり活動した(おそらく世界的に見ても唯一無二の)ガールズ・バンドである。ということを私が知ったのは、もっと後になってからの話。

「Diamonds」は中山加奈子の作詞、奥居香の作曲。軽快なアップテンポの曲だが一つ一つの言葉がよく伝わってくる。「ブラウン管じゃわからない景色が見たい/針が降りる瞬間の 胸の鼓動 焼き付けろ」はさすがに今では古いけど、作詞者が音楽好きだったのはよくわかる。針とは、LPレコードのピックアップ(カートリッジ)ですね。

何層にも重なる溝が入った黒い円盤からどんな音楽が飛び出してくるのか、けっこう高いお金を払って買ったこともあってか本当に針を下ろす瞬間はドキドキしたものです。「ダイヤモンドだね/いくつかの場面/うまく言えないけれど宝物だよ/あの時感じた予感は本物/いま私を動かしてるのはそんな気持ち」だ、と。

自発的ではない芸能事務所主導のバンドだけに、アイドル的な活動が嫌だったり不本意なこともしなければならなかったろう。だが自分が大切にしているのはお金で買えないものだ、そして自分はそのダイヤモンドみたいな宝物のために動いているんだ、と歌う彼女たちに意気地と誇りを感じる。

「M」は富田京子の体験を歌詞にしたものに奥居香が曲を付けたという。今野のピアノに奥井のヴォーカルが乗って始まるが、途中で入ってくる渡辺のベースラインが美しく印象的。「あなたを忘れる勇気だけ 欲しいよ」でギターとドラムスが入ってきてイン・テンポとなるが、その後のコーラスとか本当に上手で感心してしまう。

「今でも覚えている/あなたの言葉/肩の向こうに見えた景色さえも」なんて、無防備で心に入ってくると涙腺が緩んで困るほど。そして「星が森に帰るように/自然に消えて 小さな仕草も/はしゃいだあの時の私も」で詩心の巨きさと深さを見せられる。叶わぬ恋も、あれやこれやの仕草も小さなものとして自然に消えて行く、だからこそ「いま」が限りなく愛しく、そして切ない。

女の子の心情を真っ直ぐに歌い上げた曲だけど、なにか普遍的なものに到達している、といえる。「M」も「 Diamonds」も、わりと多くのアーティストがカバーしているようで、時代をこえて歌い継がれる歌って性差とか年齢を超えて心に届くんだね。プレイリストに入っているんだけど、本当に聞きたいときに宝物のようにそっと取り出して聴きたい曲だ。


【付記】
⚫︎ 音源は2012年発売の『THE REBIRTH BEST 〜再会〜』をリッピングしたものです。上記2曲以外にもプリンセス プリンセスの楽曲はたくさんあるのですが、2曲のインパクトが強すぎて……

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No title

今テレビを見て居たらちょうどこの歌の成立についてふれていて・・・

>「M」は富田京子の体験を歌詞にしたものに奥居香が曲を付けたという。

富田さんが降られた直後、終電の時間も過ぎていて最もその場から近かった奥居さんの部屋に「タクシー」でいって、やけ酒を飲みながら奥居さんの勧めのままに書き上げたのがこの詩なのだとか・・・

Re: gatayanさん

gatayanさん、コメントありがとうございます。

> 今テレビを見て居たらちょうどこの歌の成立についてふれていて・・・

ウチは地上デジタル波の放送が映りませんのでわかりませんが、
そんな番組が流れているんですね。
ですが私の何かの機会に再結成のドキュメンタリー番組があって、
そこでも「M」のことに触れていたような気がします。

No title

こんにちは(^O^)/
まさかのプリプリ~!
残念ながら私は守備範囲外ですが、歌詞が色々と胸に刺さってくる感じは分かります。
昔聴いた時と、全然違う楽曲って沢山ありますね。

ちなみに私はガールズバンドと言うと、ゼルダが一番好きでしたね。バンドじゃないけど、戸川純も好きでした。宝島やビックリハウスを読んで、自称トンガリキッズでしたので(^_^;)

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
自分から聞かなかったかもしれませんが、
一緒にいたひとが聞いていたのを横で聞いたのです。
でも、ノックアウトされましたね。

ガールズ・バンドのことはよくわかりませんが、
知らぬ存ぜぬを決め込んでいても、耳に入ってきたのです。
これはもう、出会いといってもいいかもしれません。

戸川純、とんがってましたね。
ああいうトンガリ方は比類ないものでして、
彼女だからこそではないかと思います。
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