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福山雅治『福の音』(2015)

またしても乗り遅れの記事になるが、福山雅治『福の音』(2015年)を聴いてみた。デビュー25周年の記念コンピレーション・アルバムということでCD3枚組のヴォリューム。これを一旦foobar2000でFLACにリッピングしたものをネットワーク・プレイヤー&真空管アンプで再生して聴いた。

恥ずかしながら、福山雅治を俳優だと思っていた。テレビで時々見かける福山雅治はかなりの男前で、女性にたいへん人気がある。昔、ジャパン(Japan)のデヴィッド・シルヴィアンに「とりあえずパス」という大人気ない態度を取ってしまった(後に隠れファンになった)が、それと同じになってしまったんである(成長しろよ)。

ネットで調べてみると、元々ミュージシャン志望で作詞作曲を手がけ、楽器演奏もするという「アイドル歌手」とは別物のアーティストだった。そんなことも知らぬ私は、てっきり俳優のほうで売れたから歌でも出してみるか、というパターンの人だと勘違いしていた。全部は無理なので、印象に残ったものをピックアップしてみる。

「何度でも花が咲くように私を生きよう」はビートルズの「ストロベリー・フィールズ」を思わせるイントロで始まる。福山のヴォーカルは高めバリトンだろうか。デビュー当初、自分の声より高いキーで歌い続けたためにポリープが出来て発売延期になった逸話があるように、歌一本で勝負するには少し低めの声だと言える。

でも聴いているとその声が実に心地いいのである。またこの低さはカラオケで歌いやすいという利点がある。山崎まさよしやスガシカオ、徳永英明、みんなハイキーですね。一般男性の多くはバリトン声域になるわけで、カラオケで歌おうとするとかなりキツい。松田聖子がカラオケで人気があるように、福山雅治は狙い目かも。

歌詞はもう、自分の思いをそのままさらけ出した感じで、よくありがちな屈折したところが全くない。「憧れたものには/もうなれないとしても/この道を歩いてみよう/旅を続けよう」とかね。わりと引いて批判的に聴き始めたんだけど、心に真っ直ぐ入り込んでくる声に乗った歌詞が、実にヤバいのである。

それは「Beautiful Life」などでも顕著で、「美しいあなたといると/生まれ変われる気がするんだよ/傷ついても信じることを/選ぼうとする心のそばで」とか、クリティカルに聞いても聞き流しにしても間違えることなどあり得ないわかりやすさ。聞きながら「本当にいいのかこれで」とか思ってしまい、ちょっと照れくさくなるほどである。

例えば米津玄師の「Lemon」と比べてみるといい。米津のそれは全てを語らぬやり方なので、解釈の余地がかなりある。福山の場合、そうした意味のブレは皆無と言える。多くのアーティストが避けがちなやり方をどーんとやって、またそれがヒットしてしまうという極めて稀な存在、それが福山雅治なのだろうか。

もうね、「誕生日に真白な百合を」とか「家族になろうよ」にしても、あまりにストレートすぎて、降参です。とにかく聴けばわかる、説明とか解釈不要の真っ当な歌たち。福山雅治に対する認識を改めることにした、というか今まで知らなさすぎたことを反省。プレイング・リストに加えると同時に隠れファンになりました。


【付記】
⚫︎ この人は女性ファンだけでなく、男性のファンも多いのではないかと思いました。

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No title

福山ですか~!

男性ファン多いって、聞いたことあります。ラジオ(オールナイトニッポン)が面白いそうですよ。
音楽も芝居も喋りも、小細工無しの直球勝負なんでしょうね。

私は歌とは関係ないですが、昔彼が自分の物まねしてる芸人(大山英雄&みっちー)をライヴに呼んでたのを見て、とても好感を持ちました。同時期に同じ歌も歌う俳優のOYは、モノマネ芸人にクレームしてたらしい、、、。

カラオケで歌いやすい音域かどうかは、結構重要ですよね~。
カラオケじゃないですけど、自分がニールヤング好きなのは歌いやすさもありますです(^_^;)

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
どうせ俳優さんの歌だからたいしたことないだろ、
とタカをくくっていた私は愚か者でした。

それにしてもここまでストレートとはね。
うわ、そう来るか……っていったん引いちゃうんですけど、
いつの間にか引き込まれてる感じですよ。

人間の、魂の、器が大きいんでしょうね。
ラジオではたぶん「野郎の世界」なのかなと想像します。
男が好きになる男、それが福山雅治なんでしょうか。

サウンドと歌詞にひねりがなさすぎる気がしますが、
それでも惹き込まれていくのが不思議でなりません。
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