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奥田民生『Better Songs of the Year』(2008)

「日本の歌を聴く」ということで、今まで聴いてこなかったのを少しずつ聴いていこうと思った。乗り遅れちゃったんだけど、こういう場合、コンピレーション盤(ベストアルバム?)をリッピングするのが今様のやり方ってもんだよね。それこそ「世紀の名盤」みたいなのはハイレゾ(高解像度)音源でダウンロードすればいいじゃんね。

今回は奥田民生の『Better Songs of the Year』(2008年)を聴いてみた。ウィキペディアによると、「ユニコーン時代の企画シングルを含む2007年までに発売されたシングルのカップリング曲の中からアルバム未収録分をすべて収録」という。でもCD2枚組だからすべてに言及は無理。なので印象に残ったものをピックアップしてみよう。

「ルパン三世主題歌」は、ご存知アニメ版初代『ルパン三世』のエンディング曲。バックの演奏もオリジナルの雰囲気にかなり近く、ヴォーカルもかなり似ている。ていうかここまで再現できるのが驚きで、本当に耳が良いのだろう。カラオケで昔のアニメソングを熱唱する人も多いと思うけど、それの本気の本気版ってことですね。

「スモーキン・ブギ」はダウンタウン・ブギウギ・バンドのカバー。禁煙の美化と正当化が蔓延する現代からすると歌詞の内容はどうかと思うけど、曲自体は本当によくできていると思う。しっかり韻を踏んだ歌詞と本格的なバックコーラスは全く色褪せておらず聴いていて楽しい。原曲の雰囲気に迫ろうとする奥田のヴォーカルも素晴らしい。

「ロボッチ」はライヴ音源のようで、これはもうブルーズ。でも日本の「ブルース」でブルーズになっているのは少なくて、憂歌団とか上田正樹でも「マイナー・キーの曲」であり、ブルーズ感が少ない。まして昔からある「**ブルース」がブルーズであった試しはない。でも「ロボッチ」はブルーズ以外の何物でもない感じがするのはなぜだろう。

たぶんブルーズ進行になっていて、ブルーノート音階を使っていることが要因と思うが、加えて「ロボッチ」では歌詞を詰め込まず、きっちり韻を踏むことで聴いた感じグッとそれっぽくなっている。エリック・クラプトンを思わせるヴォーカル、意識して狙ってますね。「洋楽と日本語」という問題のソリューションの一つとしても優れている。

「唇をかみしめて」は吉田拓郎のカバー。「ええ加減な奴じゃけえ/ほっといてくれんさい/アンタと一緒に泣きとうはありません」と始まるこのトラックは原作者に対するリスペクトが感じられる。声帯模写というのかな、奥田は本当に器用で上手な人で、吉田拓郎的な感じがよく出ているように感じた。

「最後のニュース」は故筑紫哲也が井上陽水に依頼してできた曲で、テレビのニュース『NEWS23』で用いられたという。現代の様々な諸問題をできる限り詰め込んだ歌詞に続く、「今あなたにGood night/ただあなたにGood bye」は視聴者/筑紫哲也に対するものだったようだ。だが、そういう予備知識を抜きで聴いたのでイメージは違った。

井上陽水の歌唱はYouTubeからすぐに見ることができ、囁くように歌う感じだけど、奥田アレンジでは破壊的かつ近未来的な雰囲気に満ちていて、後半でシャウトする部分などは明らかにジョン・レノンのようだ。お別れする「あなた」は視聴者/筑紫哲也というより、他の何かであるように感じる。ダブル・ミーニングになるよう意図的に持って行っているのかもしれない。

ほんの少ししか取り上げられなかったけど、奥田民生という人は洋の東西を問わず先人の音楽を愛し取り入れつつも、自身の表現に自由闊達な人だというのを感じた。こういう人に今まで気付かなかったのは迂闊すぎないか? とにかく、奥田民生の隠れファンとして、いくつかの音源はプレイリストに加わっている。

【付記】
⚫︎ いまさら感ありまくりの記事ですが、お許しください。ほとんどの人はスルーという想定です。拙ウェブログの読者層からすると、私同様、見逃していたという人もいるのではないかと。

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非公開コメント

No title

ご無沙汰しております。

奥田民生は結構好きで、何枚かCD持ってるんですが、ロボッチ大好きな曲です。でも「それは何かとたずねたら」が一番好きかも。

洋楽の美味しいとこを上手く料理して、と言うのは結局、オリジナリティとは完全に新しい物というのではなく、新しい組み合わせだからなのかも。

そういう意味で、奥田民生とは雰囲気は全然違うんですけど、私が好きなのはゆらゆら帝国及び坂本慎太郎です。昔々「日本語だとロックに乗らなくてカッコが悪い」なんて思ってたのがウソみたいに、日本語の歌詞がカッコ良く聴こえます。バッグの音と、ヴォーカルのリズムが違ってる為に、スウィングするのだと気が付いたのは、実際に自分でギターで弾き語りに挑戦したからなんですが、、、。

ヴェルヴェッツ風、テレヴィジョン風からファンキーなやつとか、今更ながらハマっております。まだ未聴でしたら是非~!

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
うわぉ、お久しぶりですねえ!
今更ながら、日本の歌を聴いております。

「ロボッチ」は上手いこと処理したなあ、と感心しますね。
絶対クラプトン狙ってやってると思うんですね。
奥田民生は本当に耳が良いというか、声帯模写が上手ですよね。

> 私が好きなのはゆらゆら帝国及び坂本慎太郎です。

な、なんですと!
ゆらゆら帝国、坂本慎太郎ですと?
そんなん、知らんかったとですよ。
また良い情報頂きましたね、ありがとうございます。

日本の歌シリーズは続けていくつもりです。

No title

再びお邪魔します。未聴でしたか。
どちらもYouTubeで色々と聴けると思います。坂本慎太郎のソロ3作は全てフルアルバムの動画があって、私もお気に入りに入れておりますが、一番好きなのはファーストの『幻とのつきあい方』です。ゆら帝は『ミーのカー』がお気に入り。
洋楽を長く聴いてきた人には、どれも音楽のバックグランドが分かって、ニヤリとなるかもしれません。そう言った素材の料理の仕方が、どれも絶妙だと思います。また、歌詞に甘ったるさや説教臭さが無いのも好きなポイントでしょうか。

とか、あんま熱弁するのもいかんですね(^_^;)スミマセンm(__)m
結局好きな音楽って、相性ですもんね。

時代遅れ

こんばんは。
奥田民生はちゃんと聴いた事がありませんでした。「ロボッチ」は、私の大好物のブルーズとか。しかもエリック・クラプトン風なら、ぜひ聴かなければと思いました。
私の聴く邦楽は、加藤登紀子あたりで止まったままです。これから、頭を柔らかくして新しい曲を聴きたいですね。

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、情報ありがとうございます。
早速「幻とのつきあい方」(曲)をYouTubeで聴いてみました。
ドラムのリズムパターンが一風変わっていますね。
それにベースラインもいい。
全体はとてもシンプルですが、それも気に入りました。

「ゆるゆる帝国」は坂本慎太郎の参加ユニットなんですね。
ゆる帝と坂本は別、と思っていたので意外でした。
CDを借りてリッピングした方がいいと思いますが、
秋田のレンタルメディア店にあるのかな?

ない場合はYouTubeで、と思いますが、
バックグラウンド再生やオフライン再生ができないのが残念です。
いい曲はクルマで聴きたいですよね。

Re: オッカイポさん

オッカイポさん、コメントありがとうございます。
私も奥田民生をちゃんと聴いていませんでした。
その旨は記事にきちんと書いてあると思います。

> 私の聴く邦楽は、加藤登紀子あたりで止まったままです。

加藤登紀子を、ちゃんと聴いたことがありません。
アニメ映画『紅の豚』のエンディングで知ったのです。
昔は本当に歌の上手い人たちがいた、と認識しています。

今の曲も、昔の曲も、多すぎてとても追いきれません。
昔の曲を不用意にリッピングすると音の悪さに閉口します。
リマスタリングしていない昔の曲は、やはりLP再生がベストでしょうね。

ユニコーンは妹がファンでライブに行ったりしてましたが、私はXTCが好きなので、聴くまでもない、と思っておりました。「似てる日本のアーティスト」を若干馬鹿にしてたんでしょう。私も若かったですね(笑)

今、聴いたら違うんだろうなぁ。

No title

おおっ、早速聴いて頂けましたか。そうそうリズムが凄く心地よいんですよね。坂本慎太郎はパーカッション叩きながら歌う動画もあったりして、相当リズム感が良い方だと思います。歌詞の乗せ方も、同じコーラスを繰り返さずに、外してくるのが、私はかなりツボってます。

ええと、ゆる帝じゃなくてゆら帝ですね(笑)
元はインディーズの出ですが、映画やTV番組のテーマ曲に使われたりして、メジャーでも成功してますので、レンタル屋にも結構ありそうな気がしますよ。彼自身は私と同年代ですが、夢中になって聴いてたのはもう少し下の世代かもしれません。
それではまた(^^)/

Re: 白プードルとお散歩さん

白プードルとお散歩さん、コメントありがとうございます。
XTCが好きって……どこまで渋いんですか!
アンディ・パートリッジって、なんかいい人ですよね。

プログレ系のバンドって、いちばん損しているような……
どんだけうまくできても「二番煎じ」とか「ただのコピー」とかね。
真似するだけでも難しい演奏もあるじゃないですか。

今回の記事に関して言えば、奥田民生は「好き」でやっていて、
聴いていてもそれがわかります。

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、ありがとうございます。
なんか、良いですねえ!
日本の産業音楽にはないタイプですね。
リトル・フィートとかテレヴィジョンなどを想起しました。

サウンド的にはひねっているけど、
精神的に屈折の少ないタイプ?
記事になると思いますが、もう少し後かも。
貴重な情報、ありがとうございました。

No title

再びお邪魔しますm(__)m

精神的屈折は、「かなりあったけどひねり過ぎたら結果真っすぐになってた」タイプではないかと勝手に想像しております。サウンド的にもよ~く聴くとかなり捻りがきいてると思うんですけど、結果的には結構聴きやすいと思うんです。

前述したゆら帝の『ミーのカー』の中に、『太陽のうそつき』っで曲があるんですけど、イントロのギターがマーキームーンで、歌詞がグループサウンズみたいな、カッコいい曲です。全盛期の沢田研二に歌わせたかった、とか思ってます。

あ、話ズレちゃったんですが、精神的屈折については、坂本慎太郎のどうにもブサイクなお顔からして、なかった筈はないと思います。でも取り繕う気が無いところがカッコ良過ぎます。あの顔でカッコ良く見えてしまうのが凄過ぎる。もしも彼がシュッとしたイケメンだったら、どの歌も嫌味に聴こえたかもしれないです。それとジャケット等アートワークのセンスの良さも魅力の一つですね。

いや~、こんなに夢中になったの久しぶりなんで、気に入って頂けて非常に嬉しいです。しつこくコメントしてすみません。私も多分近々ブログに書くと思います。

Re: yuccalinaさん

yuccalinaさん、何度もコメントありがとうございます。
奥田民生の話から派生したとは言え、
興味深い情報を頂いたことに感謝します。

まず、何を聴くか?
という問題は後追いをするものとして常にあります。
そんな時、yuccalinaさんのような先達がいらっしゃると心強いです。

今回の坂本慎太郎はとても興味深くて、
そのうち、記事になると思います。
重ねがさね、情報提供ありがとうございます。

また、教えてくださいね!

全然渋くないですよ。私の通勤用プレイリストにはWake Upとハッとして!Goodが並んでます…

Re: 白プードルとお散歩さん

白プードルとお散歩さん、ありがとうございます。
もしかして、「Wake Up」は財津和夫で、
「ハッとして Good」は田原俊彦なのでしょうか。

わかりにくいので**(アーティスト)の「**」(曲名)
などとしてくだされば助かります。
元気と透明感をもらえそうですね!

失礼しました(笑)
Wake UpはXTCで、もう1つは田原俊彦で正解です。最近、聴く機会があって「なんて素直な曲なんだ!」と感動してから朝のリストに入ってます。
スーパーカーというグループが好きで、その流れにあるサカナクションなどを聴きますが、これは透明感の部類です。

Re: 白プードルとお散歩さん

白プードルとお散歩さん、ありがとうございます。
なるほど、「Wake Up」はXTCでしたか。

スーパーカー?
それって、まさかフェラーリやランボルギーニ、ポルシェの話じゃないですよね?
サカナクション?
よもや「魚とくしゃみ」は関係ないですよね?

あーもう、宿題(?)が増えて困るじゃないですか!
でも、貴重な情報、ありがとうございます。
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