吟醸酒 刈穂 〈六舟〉

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寒くなると燗酒ばかり飲んでいる、と以前記事に書いたけど、それは当温泉旅館が営業している時の話で、冬季休館になれば話は別である。賄いを作る料理人がいないので、夕食を自分でなんとかしないといけない。あまりの寒さに暖かいものを=鍋になるわけで、電気鍋で燗酒をできなくなってしまう。

他に方法がないわけではない、のだが面倒くさいのである。鍋をつついていると暖まってくるから、燗酒でなくてもいいやって気分になる。そうなると基本横着人間の私である、常温の日本酒をやるか、となるわけです。ちなみにこの季節、ビール(というか発泡酒)も常温で飲んでいます。

今回は刈穂の〈六舟〉である。刈穂酒造は秋田県大仙市、雄物川沿いに位置する酒蔵で、販売は秋田清酒株式会社が行なっているようだ。六舟(ろくしゅう)という名は、販売店のHPによると「全量を六基の酒槽(さかふね)で搾ることからきています」とのことである。

常温で飲む。開栓直後に注いだ酒盃から漂う香りはややフルーティ。口に含むと、穏やかな甘みがまず感じられ、次いで果実を思わせる香り高さに引っ張られながら旨味へ移行し、あえかな酸味が追いかけてくる。口に含んで鼻腔に抜ける香りが良く、何度も味わっていたい気分になる。

推定日本酒度は+3前後だろうか。辛口/甘口の二択で分けろと言われれば、甘口になるのではないかと思う。軽い/重いの二択では、軽いほうだと感じた。香り控えめで旨み重視が多い秋田酒の中では珍しく、香り高さが際立つタイプの酒。特徴はあるけれど、言葉(喩え)を選んでいるうちにあっという間に二合飲んでしまった。

何というか、すっきりしているんだろうか。軽やかですっきり、そして甘さは控えめで香りが良い、と言うべきか。間違いを恐れず敢えて喩えてみると高知の酒〈酔鯨〉に似ているような気がする。私はこの酔鯨で日本酒に開眼したこともあって、大好きなんだけど、流石に秋田では入手しにくい。

値段は吟醸酒の4合瓶=1200円前後(ディスカウント店価格)で、普通酒/本醸造の4合瓶=1000円前後が標準の地域からすると、費用対効果はかなり高い。ただ、困るのは美味しくて酒が進みすぎる(止まらなくなる)ことだろうか。純米酒〈北秋田〉に次いで我が家の標準になりつつある酒だ。


【付記】
⚫︎ 刈穂酒造の側を流れる雄物川、地図を見ると秋田市内まで流れて日本海に注ぎます。とても大きな川なんです。私は大阪の淀川に歩いて行ける町に生まれ育ちましたので、川遊びをよくしたものです。今は無理ですが、気候の良い時、国道7号線を走って雄物川のほとりをのんびり歩いてみるつもりです。
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No title

僕は今、米と米麹だけで作った会津の酒を飲んでいます。
なあに、2L800編ぐらいの紙パックですけどね。
乙山先生や三友亭さんのように酒で一筆書ける方々がうらやましい。
三友亭さんから浦霞を教えてもらって、
「これ、うめえな」。
僕なんかこれで終わっちゃいますからね。うふふ。

Re: 根岸冬生さん

根岸さん、コメントありがとうございます。

> 乙山先生や三友亭さんのように酒で一筆書ける方々がうらやましい。

三友亭さんは別として、
私は「どうでもいいこと」から始まり、
かんじんの酒のことは「ちょろっと」で、
「どうでもいいこと」で終わっていますよ。

あ、バレた?
ていうか、みなさんおわかりですよね?

こんばんは。

乙山さんのお酒語りは、呑んだ気分になるからヤバイです。
もちろん食語りもですが・・・。
やはり表現の技が並ならぬお方。

秋田の酒、なかなかのようですね。
私は殆ど銘柄も知らないでいましたが。

酒蔵の数は全国で1700ほどあるそうです。
ひとつの酒蔵で数種類の銘柄を出したとしても、
10000近くなるわけで私が生涯に出会えるのは、
その100分の1にも満たないだろうと思うと、呆然とします。

雄物川、いい名前ですね。
河川大好き人間としては、是非歩いてゆけるところまで遡ってみたいものです。



Re: こんばんは。;南亭さん

南亭さん、コメントありがとうございます。
そんなそんな、酒を飲んでテキトーに書いているだけです。
本当にそうなので、ただ自分でも笑ってしまう他ありません。

秋田の酒は、どうも自産自消型のような気もします。
全国ネットで知られたものはおそらく〈爛漫〉だけでしょう。
こちらに来てから、北鹿や高清水がテレビやラジオで、
宣伝しているのを視聴して驚くような有様です。

なので、ほとんど秋田に来てから知った酒ばかりです。
南亭さんの弾き出した数からすると、
当分記事には困らないわけで、なんか嬉しいですよ。

私、大阪の淀川沿いの町に生まれ育ったわけでして、
ゆったり流れる下流の川が、なんか好きなんです。
人によっては、川瀬の音が聞こえないと、かもしれません。
雄物川の河川敷に公園があるようなので、ぜひ行ってみるつもりです。

No title

刈穂の六舟、大変飲みやすくて危険なお酒ですね。
酔鯨も好きですが、秋田県内ではまったく見かけませんね(まわりにも酔鯨ファンが多いですが、ネットか東京駅で買ってお店に持ち込んでみんなで楽しむ、というパターンが多いですね)。
刈穂は山廃純米超辛口もおススメですね。

毎日大雪で気が滅入りますね。
男鹿は強風で道路が凍って大変かと存じます。
通勤道中お気をつけください。

Re: かまくらさん

かまくらさん、コメントありがとうございます。
そうそう、刈穂はちょっと危険な酒ですよね。
これを酔鯨に喩えたのは間違っているかもしれません。

あくまで「傾向」が似ているといいたいのでして、
味が似ているのではありません。
でも秋田に酔鯨ファンがいるというのは嬉しいですね。

酔鯨を店頭で見かけることはありませんが、
北秋田市とか能代の酒店で扱っている、とかネットで見たような……
でも、いいんです。酔鯨がなくても。

刈穂があるんですものね。
日本酒度の高い辛口は、怖くて飲めません。
まずは四合瓶から、ですかね。

沿岸の男鹿市、秋田市の積雪はまだマシな方ですよね。
ラジオでしか聞いていないのですが、
横手とか阿仁合あたりは厳しそうです。
もう何台も事故車を目撃しました。
本当に怖いんですよね。
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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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