純米酒〈香り爛漫〉

Kaori_Ranman
記憶違いかもしれないが、おそらく秋田の酒で最も知られているのは〈爛漫〉ではないかと思う。たしか1975年から1980年前半頃だろうか、午後9時から映画のテレビ放映がさかんに行われていて、テレビ宣伝で〈爛漫〉を何度か見たような気がする。締めは男性の低い声で「美酒 爛漫」とくるのが、とても印象に残った。

お酒を飲み始めた頃、これもテレビ宣伝の影響と思うがウィスキーに手を出し、サントリー・レッドのコーラ割りとかオールドをホットカルピスに垂らして飲むことから始め、氷に注いだり、ソーダ割りで飲むのが美味しくなったのは少し後のことだと思う。日本酒に関して言えば論外で、とてもうまいとは思えなかった。

当時、純米酒とか吟醸酒が流行し出したばかりで、料理店では普通酒とか本醸造クラスを置いているのがほとんどだったのではないか。やれ忘年会だの新年会だので出された日本酒がまた酷いものだったような気がする。だから〈爛漫〉は「名前だけ知っているけど飲んだことのない酒」だった。そもそも関西で売っていたかどうかさえ、記憶にないのだ。

だから正直に書くけど、秋田に来て初めて〈爛漫〉を飲んだのである。しかも紙パックで。何だかよくわかんない、印象に残らない感じだった。ていうか「紙パックで語るな」
という声が聞こえて来そうだが、世の中は広いもので、普通酒クラスで美味しい酒もあるんですね。大阪は池田の酒〈呉春〉なんて、普通酒がいちばん好きだったな。

〈呉春〉の本醸造で〈本丸〉てのがあるんだけど、冷やして飲むと甘さが立つんですよね。でもって、そいつを燗酒にすると、甘さがすうっと抜けて「燗上がり」するわけ。私は面倒くさいからあまり燗酒をしない(おいおい)ので、つい普通酒の呉春を愛飲することになる。実はこれ、日本酒度が±0で、爛漫もそうなんですね。

今回は純米酒〈香り爛漫〉を冷蔵庫で冷やして飲む。開栓後に注いだ酒杯からさほど強くはないが、果実を思わせる香りがふっと漂ってくる。口に含むと控えめの甘みと旨み、適度な酸味が心地良く、フルーティな香りが鼻腔に抜ける。推定日本酒度は+3前後だろうか。甘さはあるがくどくなく、むしろ軽やかな甘さで、程よい酸味と相まってすっきりしている。

余韻はさほど強くないけれど、ふっと果実を思わせる香りが漂う。嫌な雑味は残らず、キレが良い。爛漫の普通酒、本醸造クラスだと再購入する気にはあまりならないが、これはまた買ってもいいかな、と思う。名前の通り、香りを重視しているのだろうけど控えめなので、料理と合わせてもかなりいけるのではないかと想像する。

叩きキュウリの塩昆布和えに合わせてみると、単独で飲んでいる時より甘みがいささか後退し、酸味が前面に出てくるような気がする。だから単独(スタンド・アローン)で飲んでもいいし、食中酒としてもいける。というか、立っている(独立している)のだが、料理と共に行く、と言えばいいのだろうか。

しかもこれ、純米酒としてはかなり安い(関西ではあり得ない)値段。4合瓶で1000円切ってます。秋田スタンダードなのか、というとちょっと違うんだけど、安くて旨い酒、というのなら大阪以上だと断言できる。甘口よりの秋田でも「爛漫は甘口」となっているようだけど、甘ったるくなく、軽やかなので、私はリピート買いしている。


【付記】
⚫︎ 〈美酒 爛漫〉の宣伝に美女を合わせていることを見ても、美酒=美女、つまり女酒(?)ということなんでしょうね。秋田の酒は概ね日本酒度+3前後ですので、どちらかと言えば甘口寄りなのですが、酸味もきいていますので軽やかなのです。甘ったるくないので、つい杯を重ねてしまいますよ。好きになりました。

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No title

爛漫も安いですねえ。そしてうまいし、私は本醸造と純米しか飲んだことがありませんが、確か私の飲んだ純米は一升1800円台だったかと記憶します。最近ならでは見かけなくなりましたが、以前は奈良でもよく見かけました。

Re: gatayanさん

gatayanさん、コメントありがとうございます。
秋田に来て初めて爛漫を飲みました。
甘口ですが酸味と甘みがあってじつに軽やかです。
甘口だけどくどくない、だから飽きずに飲めるのでしょうね。
全国ネット系のテレビ宣伝をしていたのは、たぶん爛漫だけかと。

爛漫の純米は、学生時代によくリピートしていた酒です。
嫌みがなく呑み飽きしないのがよい。

Re: つっちさん

つっちさん、コメントありがとうございます。
私は爛漫の隠れファンです。ただし、やはり純米酒以上になりますが。
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