シンジケート58/6(ブレンデッド)

Syndicate58-6.jpg
今回は〈フラヌール〉に置いてあるブレンデッド〈シンジケート58/6〉(Syndicate58/6)を飲んでみた。売り物なので本来は手を付けるべきではないが、「シンジケートってどんな味ですか?」という質問に答えるにはやはり飲んでおく必要がある。以前のようにフルボトル飲み切りレポートにはならないけれど、その点はどうかご理解いただきたい。

物の本*によると、元々この酒は「1958年の六人の仲間(シンジケート)だけが飲める」完全なプライベート・ブランドであったようだ。長らくその状態が続いていたが、1991年から日本のみで販売されているという。ラベルにあるように、すべての原酒は17年以上熟成されており、モルトとグレーンの比率は65:35に仕上げられているという。20mlを小さなグラスに注いでみる。

色は薄めの琥珀色。蓋を取ると、アルコールの揮発があるが実に穏やかで、熟成した原酒を使っていることが伺える。フルーティーな香りにカカオ、チョコレートが混じっており、そこに甘いアロマティックさも感じられる。スモーキーさやピート香はほとんど感知できない。口に含むと、まずモルトの甘さが来るが、この糖度はかなり高く感じる。

モルトは微弱なハーブ香を含んでいるが表に出てくる感じではなく、それとなくわかる程度。おそらくシェリー樽で熟成した原酒を使っていると思われるフルーティーな甘さ、そしてチョコレート系の甘さが前に出ているようだ。次いで極めて微弱なスパイスが来るけれど、これはほとんど刺激のないもので驚くほどスムースである。

フィニッシュの余韻はわりと長めで、極めて微弱なスパイスが引いた後、モルトの甘味が舌に残り、チョコレートやカカオ系とフルーティーな香りが鼻腔に抜ける。スパイスのぶり返しはほとんどないと言ってよく、舌と鼻に甘い香りと味わいがかなり後を引いて残っている。時間の経過とともに、ヴァニラやキャラメル系の香りが開いてくるようだ。

飲み終わったグラスからはヴァニラやキャラメル系の甘い香りに混じって木質香が漂ってくる。わずかに加水してもさほど味わいのバランスは崩れない。だが幾つかの要素がなりを潜めてしまうように感じた。ストレートで感じた重層的で複雑な味わいが、いささか平坦な感じになってしまうのだ。なのでストレートで飲むのが最良で、加水はできるだけ少なくするのがいいのではないか。

ううむ、トゥワイス・アップ(1:1水割り、氷なし)、どうしようかなあ。何かもったいない気がするんですよね。だけど実際にやってみて初めて云々できるわけで、知らないことは語ることも、勧めることもできないのではないか。というわけで、ここではシンジケート10mlに対して水10mlのトゥワイス・アップにしてみた。えっ、セコいぞって? でも、これお値段が……売り物だし。

おっ、だけどよく伸びてますね。意外と香りも味わいもしっかり残っていて、シンジケートの良さがトゥワイス・アップでぶち壊しになってしまうようなことはないと思う。調子に乗って飲んでいると、あっという間になくなってしまう量なのでしっかり味わうようにしないと。いや本当「トゥワイス・アップで」というオーダーも「あり」だと思った。上に書いたことと違うなあ。

それではオーバー・アイスで(氷に注いで)やってみる。お客さんにお出しするのと同じオールドファッションド・グラスに、店の氷を使うが、分量は20mlである。うむ、うまいなあ。確かにストレートで味わうほうが十全にシンジケートの良さを楽しむことができると思うけど、オーバー・アイスでも損なわれる部分が少ないのではないかと思える。

ものすごくためらわれるけど、1:2水割りも試しておこう。ここでは、オーバー・アイスを飲み終わった後のグラスにシンジケート10ml、水20mlでやってみる。なるほど、確かに伸びてはいるかもしれない、だけど「何で水割り?」という感じがする。ちょっともったいない感じがする。だけど、なかなか美味しい水割りであることは本当である。

さて、例によって最後にソーダ割りも試しておこうと思う(←やるのかよ!)。いわゆる「ラグジャリー・バー」では「バランタイン17年のハイボール」がお勧めだそうではないか。「シンジケートのハイボールってどんな味なんでしょうね?」という質問がもしもあったとしたら、飲んでいない以上答えようがないではないか。

氷が残っているオールドファッションド・グラスにシンジケート20mlを注ぎ、ソーダを注いでだいたい1:2のソーダ割りに仕上げた。飲んでみると、うむ、悪くない。だけど、ソーダで割ることによってシンジケートの良さが引き出される感じではないように思う。話の種として飲んでみるのはいいかもしれないが、積極的にお勧めできるものではない。

*土屋守『ブレンデッドウィスキー大全』(改訂版、小学館、2014年)

【付記】
● シンジケート58/6、さすがにモルトの含有率が高いためか、ほとんどグレーンを感じることがなく、あたかもシングルモルトを飲んでいるかのような味わいでした。〈フラヌール〉に置いてある他の酒からすると「ラグジャリーな一杯」ということになるのだと思いますが、もうご注文なさった方がいらっしゃいます。


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