ディーンストン12年 シングルモルト(ハイランド)

Deanston_12y_01.jpg
今回はハイランドのシングルモルト〈ディーンストン(Deanston)12年〉を飲んでみた。ウェブ地図で見ると、タンノイのスピーカーの名前になっているスターリングの北部、A84道路沿いのディーンストンという町の名前がそのまま蒸留所の名前になっているようだ。物の本*によると、1970年代に操業停止したけれど、バーン・スチュワート社が買収して1991年から再開、現在の所有者はアンゴスチュラ社だという。だから比較的新しいシングルモルトだと言える。蓋つきの小さなグラスに注ぐと、ライト・アンバー(浅い琥珀色)。

蓋を取ると、アルコールの揮発に混じって蜂蜜、ヘザー、ナッツ、そしてフルーティーな香りが漂ってくる。スモーキーさはほとんど感知できない。口に含むと、モルトの甘みの他にオイリーかつナッティで濃厚な味わい。ふわっとアロマティック・キャンドルのような味わいも感じる。次にビターとスパイスがやって来るが、ビターと甘みとスパイスのバランスは見事としか言いようがない。微弱な塩(潮)気を感じるがスモーキーさは感知できない。

フィニッシュの余韻は比較的長め。スパイシーさがぴりりと舌の上でかなり長く感じられ、それが引いた後にモルトの甘みが舌に残り、ナッツやアロマティック・キャンドル、キャラメルのような甘い香りが鼻腔に抜け、飲み終わった後も鼻や舌に味わいの余韻が残る。若干の加水でも味わいのバランスは崩れないが、フローラル系やチョコレート、カカオ系に香りが開く。スパイスはいささか後退するが、わりとしっかり残っている。

飲み終わった後のグラスからチョコレート、アロマティック・キャンドル、木質香が漂ってくる。トゥワイス・アップ(ここでは20ml:20ml)までもっていくと、スパイスは消失するも甘みはしっかり残っている。さすがにストレートで味わえるオイリーかつナッティな濃厚さはなくなってしまうし、香りもいささか要素が欠落するが、そのエッセンスは残っていて楽しめる。比較的よく伸びるタイプのモルトではないかと思う。

Deanston_12y_02.jpgオーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、さすがに香りの広がりは抑えられてしまうけれど、持ち味の濃厚さは楽しめる。スパイスが少し後退するだけ甘みが凝縮されて感じ、オイリーさやアロマティック・キャンドルのような味わいも前面に出てきて存分に味わえる。ディーンストンの味わいを十全に楽しむにはストレートが最良だが、最夏期には氷に注いで飲むのも悪くない。本当にこれ、氷に注いでじっくり飲むのに合っているモルトではないかと思う。

1:1水割りを氷に注いで飲む「ハーフロック」スタイルも試しておこう。少し心配したけれど、意外に味わいがしっかり残っている。オイリーかつナッティ、アロマティック(キャンドルのよう)で濃厚な味わいが前面に出て、ビターやスパイスは後退というか消失していることによって、甘みも引き立っているようだ。思ったより良く伸びるモルトみたいで、最夏期などは水を少なめでしっかりステアして冷やして飲みたいものだ。

それでは、ということで日本の定番、1:2水割りをやってみよう。たぶん、きっちり量って作っている人は少数派で、多くは飲んでみて、水やウィスキーを足して調節しているのではないかと思う。自分もメジャーカップを使わずに長らくそうやっていたものだ。ここでは8オンス・タンブラーを用いてだいたい1:2に仕上げている。おう、まだ伸びていますね。さすがに甘さは薄まったけどまだ残っていて、アロマティックな味わいもしっかり残っている。「ちょっと変わったウィスキーの水割りを」という所望に対応できる一本ではないかと思う。

最後にソーダ・ハイボールに仕立ててみる。アロマティック・キャンドルのような味わいとソーダが響き合うかどうか、それは実際にやってみるまでわからないもの。ここでも、1:2になるように仕上げているが、一般の「ハイボール」はもっと薄くなっていると思う。飲んでみると、ソーダに負けずにアロマティックな味わいが残っている。つまらぬウィスキーのソーダ割りに堕することなく、「ディーンストン・ソーダ」として胸を張っていい仕上がりになっていると思う。総括すると、かなり個性的であるけれど、いろんな飲み方が楽しめる面白いモルトでしょうね。

*土屋守『シングルモルトウィスキー大全』(小学館、2009年)

【付記】
● 土屋氏の同書によると、ほとんどが〈スコティッシュ・リーダー〉などのブレンド用として流通しているようで、まだまだシングルモルトとしては知られていないディーンストンですが、飲んでみると面白いモルトでした。ストレートで飲むと、本当に良いんです。だけどそのほかの飲み方をしても対応できる、オールラウンドなモルトでもあるようです。


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