グレンタレット10年 シングルモルト(ハイランド)

Glenturret10y_01.jpg
今回はハイランドのシングルモルト〈グレンタレット(Glenturret)10年〉を飲んでみた。ウェブ地図で見ると、パースからA85道路沿いに西に進んだところにあって、北部にアバフェルディ、南部にディーンストンとタリバーディンなどの蒸留所がある。物の本*によると、グレンタレットはフェイマス・グラウスの主要モルトになっており、同蒸留所には雷鳥の像がたくさん飾ってあるという。現在の所有者はエドリントン・グループ社。蓋付きの小さなグラスに注ぐと、琥珀色というよりはブロンド。

蓋を取ると、アルコールの揮発に混じって蜂蜜、麦芽香、そしてゴムのような臭いがする。これは開栓直後だからと思われるが、時間が経つとキャラメルの香りも出てくる。口に含むと、微弱なハーブを含んだモルトの甘み、わずかにビターを感じる。次いで強くないスパイスが来るが、これはペパーミントのようにさわやかな口当たり。フィニッシュの余韻はそう長くはなく、微弱なスパイスが引いた後の舌には麦芽の甘みが残るが、引き際がじつにあっさりしている。

若干の加水でも味わいのバランスは崩れない。スパイスがなりを潜め、じつに飲みやすくなるも何かが開くことはない。飲み終わった後のグラスからは麦芽香とキャラメル、そしてピート香の痕跡を感じるが、樽由来の木質香との区別がつきにくい。トゥワイス・アップ(ここでは20ml:20ml)までもっていくと、もう色は熟成の進んだ白ワインのようである。だが、まだしっかり伸びていて、全体に薄まった感じはしない。

意外によく伸びるタイプのモルトかもしれない。とはいえスパイスは完全に消失し、ビターもかなり後退する。ほのかな甘さが残っているので、すいすいと飲めてしまう飲みやすさ。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、甘さがより凝縮したように感じ、キャラメルのような甘い香りがより強調される。微弱なビターが残っているのが良いところで、甘さとビターのバランスがとても良いが、スパイスはほとんど感じられぬほどに後退する。

Glenturret10y_02.jpgライトタイプと感じるが若干のビターがあるぶん、ミディアムボディに近い味わいだと言える。複雑で重層的な香り高さで勝負するモルトではないので、氷に注いで飲むのはわりと合っているのではないかと思う。1:1水割りを、氷を入れたオールドファッションド・グラスに注いで飲んでみると、飲みやすい! 苦手な人にお勧めしたいが、ビターは消失に近いほど後退していて、意識して探してみないとわからないほど。これはピート香にかんしても同じだろう。

1:2水割りはどうだろう(←やるのかよ!)。自分でも気は進まないけれど、本当にお勧めできるかどうかは、実際に身をもって味わい初めてわかること。いつものように8オンス・タンブラーで水割りを作った。おお、伸びていますね。もちろん、ほとんどの属性が消失しているので、これをブラインドで出されたら「グレンタレットの水割りかな」と一発で当てることは不可能だろう。でもストレートで飲んだときの味わいの痕跡が残っていると思う。

それでは最後に、例によってソーダ・ハイボールにしてみる。8オンス・タンブラーを用いてだいたい1:2で仕上がるようにした。あっ、面白い! 酸味は多少あるものの前に出でぶち壊しにならず、甘みがしっかり残って口の中でふわっと広がる感じだ。これは水割りより、飲み物としては出来がいいんじゃないだろうか。じつは、予想ではだめなんじゃないかな、と思っていた。ライトタイプでも、意外と割り材にへこたれない芯があるモルトだった。

*土屋守『シングルモルトウィスキー大全』(小学館、2009年)

【付記】
● シェリー樽由来のフルーティーな香りにどうしても注目が集まるフェイマス・グラウスですが、その中核にはグレンタレットが使われていたんですね。ライトタイプにしてはよく伸びる面白いモルトで、ストレートでじっくり飲んでも良いし、いろんな飲み方にも対応できる一本だと感じました。


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