オーヘントッシャン12年 シングルモルト(ローランド)

Auchentoshan12y_01.jpg
今回は希少なローランドのシングルモルト〈オーヘントッシャン(Auchentoshan)12年〉を飲んでみた。ウェブ地図で確認すると、オーヘントッシャン蒸留所はグラスゴーの北西部にあるようで、位置的にはローランドとハイランドの境界付近で、物の本*によると仕込み水はハイランドの水を使っているという。ラベルに "THE TRIPLE DISTILLED" とあるように、三回の蒸留を経て熟成される。かつてモリソン・ボウモア社の所有だったが現在の所有者はサントリー。

蓋つきの小さなグラスに注ぐと、何とも魅惑的な琥珀色。アルコールの揮発に混じってプルーンやドライフルーツを思わせるフルーティーな香り。少し時間が経てばカカオやチョコレートなどの香りも混じっているように思える。口に含むと、モルトの甘みと同時にビターさを感じる。どこかチョコレートのような感じもするビターさの後に、極めて微弱なスパイスが感じられ、それが引いた後にはアーモンドのようなナッツ類を思わせる味わいによってフィニッシュ。

フィニッシュの余韻は長めで、モルトの甘みが舌に、ナッツ類を思わせる香りが鼻腔にかなり残って後を引く。スモーキーさやピート香は全く感じられないといってもいいほどで、塩(潮)気もなく、味わいはたいへん軽いが、重層的な香りと味わいが飲んでいて楽しい。少し加水をしても味わいのバランスは崩れないが、軽いビターさは残っていて、これがこのモルトの「核」であるように思える。飲み切った後のグラスからアーモンドとチョコレート、レーズンが混じった香りが漂ってくる。

トゥワイス・アップ(ここでは20ml:20ml)までもっていっても、グラスからはフルーティーさやカカオの香りがしっかり漂ってくる。ビターさは後退するが甘みが前に出てくるわけではなく、味わっているとやはりビターが支配的であり、味わいの相似形が保たれているので、よく伸びるモルトなのだろう。水割りやソーダ割りで飲むのがちょっと楽しみなモルトなのかもしれない。

Auchentoshan12y_02.jpgオーバー・アイスで(氷に注いで)飲む。冷却のために香りが抑えられているが、それでも漂ってくる。ビターが後退して、チョコレートやナッツ類の味わいが前に出てくる。香りや味わいの広がりが狭くなる半面、いくつかに絞って凝縮しているような感じがする。これはこれで旨いものだと思うけれど、旨みや香りを十全に味わうとするなら、冷やさないほうがいいのかもしれない。ここが好みの分かれ目だろうか。

1:1水割りを氷に注いだ、いわゆる「ハーフ・ロック」スタイルでやってみる。ここではオーヘントッシャン12年30mlと水30mlを氷を入れたオールドファッションド・グラスに注いで飲んでいる。やはり香りの広がりは抑え気味になるけれど、飲み口は何だかアメリカのウィスキーを飲んでいるような気がする。それだけ香りの立っているモルトだということなんだろう。鼻に入ってくる香りと、鼻腔から抜ける香りが相まってリッチな味わいに感じる。

とてもよく伸びるモルトなので、1:2水割りも試しておこう。オーヘントッシャン12年30mlと水60mlを氷を入れた8オンス・タンブラーに注ぎ、軽くステアして飲んでみる。ああ、なるほど、よく伸びてますねえ! かなり薄まっているはずなんだけど、元の味わいがそれとなく残っている。ビターさの片鱗が感じられるし、リッチな香りもなんとなく残っているではないか。銘柄指定なしの「ウィスキーの水割りを」というオーダーに、さりげなく出しても大丈夫(?)な感じだ。

最後にソーダ・ハイボールに仕立てておこう。ここではオーヘントッシャン12年30mlを氷に入れた8オンス・タンブラーに注ぎ、ステアしたものをソーダで満たし、だいたい1:2になるように仕上げている。ハイボールといえば、だいたい1:3くらい(店によっては1:4かそれ以上)だと思うが、自分の標準は1:2である。だからと言って、それ以上薄めるのを悪いと言いたいわけではない。飲み物としてうまくできていれば、どれだけ薄めてもいいのではないかと思う。

飲むと、うむ、なかなかいいではないか。これはハイボールに合っていると思う。多少酸味が加わってくるけれど、元の味わいは失われておらず、軽微なビターさとモルトの甘みのバランスが良く、ふわっと漂ってくる甘い香りも残っている。エントリークラスの山崎や竹鶴のハイボールと飲み比べてみても面白いほどの味わいがあるのではないかと思う。ちょっと勿体ないかもしれないが、こういう飲み方も「あり」ではないかと思った。

*土屋守『シングルモルトウィスキー大全』(小学館、2009年)

【付記】
● オーヘントッシャンはとにかく「香りが命」といった印象のモルトでした。たいへんスィートな飲み口だけどビターも感じられ、そのバランスが絶妙なのです。だから甘くなり過ぎず、飽きることなく何杯か飲めてしまうのでしょう。今まで味わった中で、最もバーボンに近い味わいを持つモルトではないか、そしてもしあのビターさがなければ、フルボトル飲み切ることは難しかったのではないか、そんなことをふと感じました。

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