ラガヴーリン16年 シングルモルト(アイラ)

Lagavulin_16y_01.jpg
今回はアイラのシングルモルト〈ラガヴーリン(Lagavulin)16年〉を飲んでみた。よくある12年物を見かけない*のはホワイトホースを初めとしたブレンデッドに回されているのだと想像する。ウェブ地図で見ると、ラガヴーリン蒸留所はアイラ島の南岸でA846道路沿いにあり、アードベック蒸留所とラフロイグ蒸留所の中間ほどにあるようだ。現在の所有者はモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下のディアジオ社。早速蓋つきの小さなグラスに注いでみると、見事なまでの琥珀色。

蓋を取ると、まずヨード臭がして、スモーキーさとピート香が追ってくる。それらの香味成分が強いのでマスクされているようだがフルーティさも感じる。口に含むとモルトが甘く、わずかに塩(潮)気。モルトの甘みにはハーブも含まれているはずなのだがスモーキーさに隠れているようだ。そしてピートの味わいにともなって穏やかなスパイシーさが来る。フィニッシュの余韻はやや長めで、スパイスが引いた後はモルトの甘みとピートのスモーキーさが舌に残り、鼻腔にヨード臭が抜ける。

さすがスモーキーさの強いモルトだけあって、若干の加水でも味わいのバランスは崩れない。ほんの少しの加水でスモーキーさに混じって甘い香りが立ってくるのがわかる。スモーキーさの中にオーク樽由来と思われる木質香も混じっており、「クラシック・スタイルのウィスキー」という感じがする。グラスの残り香はピート、木質香、あえかなフルーティさとヨード臭からなっていて、どこか高貴な感じだ。

トゥワイス・アップ(ここでは20ml:20ml)までもっていくと、スパイシーさは後退するものの、スモーキーさとモルトの甘みのバランスは絶妙で、かなり楽しめる。かなり伸びるタイプのモルトかもしれない。スモーキーさの陰に隠れていたモルトに含まれるハーブの香りも微弱であるが感じられ、これはこれで面白い。ついつい、くいっと飲んでしまうおいしい割合だと思う。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、グラスから立ち上る香りは抑えられてしまうが、モルトの甘みは凝縮されたように感じる。穏やかなスパイシーさも健在で、スモーキーさやピート香はいささか後退気味になる。鼻腔にはヨード臭も抜けていき、それなりに楽しめるけれど、ラガヴーリンを十全に味わおうとするなら、ストレートかほんの加水のほうががベストなのかもしれない。

Lagavulin_16y_02.jpg1:1水割りを氷に注いだ、いわゆる「ハーフ・ロック」スタイルはどうだろう。全体的にかなり薄まった感じはするけれど、スモーキーさやヨード臭はしっかり残っている。逆にいうと、これらがこのモルトの核を形成しているということだろう。実情からすると、ラガヴーリン16年をストレートか氷に注いで飲む以外のやり方をしている人はいないだろうけど、「物は試し」なのである。

1:2水割りをやってみる。ここではラガヴーリン16年30mlを氷を入れた8オンス・タンブラーに注ぎ、60mlの水で割ったものを飲んでいる。スモーキーさとヨード臭はまだ残っていて、モルトの甘さも感じられる。スモーキーさと木質香(ウッディさ)は同じように感じるがまた違うもので、ラガヴーリンにはウッディさがしっかり感じられるように思う。さすがにストレートで感じた色んな属性はほぼ脱落しているが、水割りも悪くないと感じさせてくれる一杯。

さて最後にソーダ・ハイボールに仕立ててみよう。水割りと同じようにほぼ1:2に仕上がるように8オンス・タンブラーを使った。うむ、多少酸味が立ってきて、甘みは少し後退気味になる。どういうわけか、ヨード臭やスモーキーさも残ってはいるけれど抑え気味になるようで、味わいのフォーカスがぶれてしまう気がする。もちろん、カクテルとしてそんなに悪いわけではないけれど、ソーダ割りにするメリットはあまりないようにも思えた。

*土屋守『シングルモルトウィスキー大全』(小学館、2009年)にはラガヴーリン12年のテイスティング・ノートやボトル写真が掲載されており、まったく生産されていないわけではないことがわかる。

【付記】
● 土屋氏の同書によると、カリラとラガヴーリンは全く同じ麦芽(フェノール値35ppm)と同じイースト菌を使っているそうです。カリラの熟成は本土の集中熟成室で行われ、カリラやポートエレンの熟成庫にはラガヴーリンが眠っているとのこと。カリラもラガヴーリンも所有者が同じなんですね。


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No title

こんばんは~。

ラガヴーリン16年。
飲んでみたくなりました。^^
名前覚えておいて、何か自分にご褒美という特別な時に買ってみようかな。^^

昨日はこちらも雪。家の前と道路の雪かきして、さっそく腰を痛めちゃいました(笑)。
でも、こころ静かに雪見酒をラガヴ―リンで、なんて、いいですね!^^

Re: 彼岸花さん

彼岸花さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ラガヴーリンはあのラフロイグと同じアイラ島のモルトです。
飲んだ感じではラフロイグより煙臭さやヨード臭は少なめでしたね。

熟成はオーク樽で、昔ながらの製法によるものだそうです。
だから木質香というか、木の香りと煙臭さが混じった、とても好きな香りがします。
16年寝かせただけあって、甘い香りもばっちりです!
これは本当、お勧めのアイラモルトですよ。

東京で雪かきって……歴史的事件かも?
腰を痛めそうな作業ですので、お大事になさってくださいね。
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