ベンリアック10年 クリオシタス(スペイサイド)

Benriach_10yo.jpg
今回はスペイサイドのシングルモルト〈ベンリアック(Benriach)10年 クリオシタス〉を飲んでみた。ウェブ地図で確認すると、ベンリアック蒸留所はスペイサイド地区のエルギンという町をA941道路沿いに南下したところにあり、近所にはロングモーン蒸留所がある。スペイサイドのモルトではあるが、ラベルには "Peated Malt" とあり、スペイサイドによくある軽めピートやノンピートのものとは違う味わいになっているようだ。小さなグラス注いでみると、色は薄目のブロンドである。

グラスからまずスモーキーさとピート香、木質香が漂ってくる。次いでアルコールの揮発に混じって蜂蜜の香りと香草。口に含むと、なるほど、ピート香とスモーキーさをまず感じ、スパイシーさが次に来て、最後にモルトの甘みに移行する。このモルトの甘みは控えめで、ハーブ香も混じっているように思う。スパイシーさが長く残るのでフィニッシュの余韻は長めに感じる。モルトの甘みが舌に残り、鼻腔にはピート香が抜けて終了。

若干の加水でスパイシーさはいくぶん後退し、モルトの甘みが前に出てくるが、味わいのバランスは崩れることなく、相似形を保っている。微弱だが塩(潮)気も感じられ、ピート香・スパイシーさ・モルトの甘みのバランスが程よい感じになる。比較的若い熟成だがアルコールの揮発も抑えられているので、若干の加水が味わうのちょうど良いかもしれない。本当に、スペイサイドのモルトとは思えぬピート香が効いているではないか。

ライトボディと言えるが、ピート香がわりと効いているので「普通のスペイサイドだと物足りない」という向きにはお勧めできる。モルトの甘み、ピート香、そしてスパイシーさの三本柱で組み立てられているようで、カラメルやヴァニラ系の華やかな甘みはないけれど、どこかオイリーでナッツを思わせる豊潤さがあり、飲み終わった後のグラスにピート香とともにほんのり残っている。

トゥワイス・アップ(ここでは20ml:20ml)までもっていくと、スパイシーさはほとんど感知できぬほど後退する。モルトの甘さが前に出て、ピート香がいくぶん後退するので飲みやすい。と思っていたら、スパイシーさはまだ健在で、少し舌をくすぐってくれる。わりと良く伸びるタイプではないかと思う。グラスに残るのはピート香で、ナッツのような味わいは脱落している。

オーバー・アイス(氷に注いで)飲むと、ピート香とモルトの甘みがまず来て、ブラインドで出されたらこれがスペイサイドのモルトだとわからないのではないかと想像する。ストレートではモルトの甘みが控えめに感じたが、氷でやると甘みが凝縮されているように感じる。スパイシーさはかなり後退しているようだが、微弱な塩(潮)気とオイリーさ、ナッツのような味わいがある。飲み方としてはこれがベスト、なのかなあ?

トゥワイス・アップを氷に注いで飲む、いわゆる「ハーフ・ロック」スタイルではどうだろうか。ここでは30ml:30mlを、オールドファッションド・グラスで氷に注いで飲んでみる。モルトの甘みが主体で、そこにピート香が脇役で花を添えている感じ、だろうか。スパイシーさは感知できないが、ピート香はしっかり効いていて、甘ったるい感じのウィスキーがあまり好みでない人にはばっちりの味わいだと思う。ただし、うっとりするようなエステリーさはない。

よく伸びるようだから、水割りの定番(?)としての1:2水割りをやってみた。ここでは30ml:60mlを8オンス・タンブラーで飲んでいる。なるほど、飲みやすいですね。スモーキー・フレーバーはしっかり残っておりながら、甘さが前に出てきて、フルーティーさも感じる。それらのバランスがうまく取れているのでつまらぬ感じはしない。だけどもうこれは「カクテル」なので真摯なウィスキー愛好家にはお叱りを受けるかもしれない。

悪ノリはどこまでも続くわけで、これをソーダ・ハイボールに仕立ててみよう。ベンリアック10年45mlを氷を入れた10オンス・タンブラーに注ぎ、ステアしてソーダで満たしたものを飲んでいる。スモーキー・フレーバーは健在で、甘みも後退していない、なかなかいけるベンリアック・ソーダ・ハイボールではないかと思う。スペイサイド・モルトはソーダで割るとぶち壊しになってしまうものもあるけれど、これは悪くない、いや、かなりいけてる飲み物だと思う。


【付記】
● ラテン語の curiositasを「クリオシタス」と表記していますが、より正確には「クーリオーシタース」のようです。すぐ類推できるように英語のcuriosity(好奇心、珍奇さ)とほぼ同義です。スペイサイドには珍しく、ピートのきいた一本で、モルトの甘さとスパイシーさ、そしてピート香のバランスが良く、どこかオイリーでナッツを思わせる要素もあって、じつに面白いモルトではないかと思います。軽めピートやノンピートのスペイサイドが物足りない向きにお勧めの一本です。

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