太平山生酛純米〈神月〉

KimotoJunmai_Shingetu_01
私がその酒を初めて見たのは近隣の「伊藤酒店」で、新聞紙に包まれた四合瓶の酒は太平山の生酛純米〈神月〉とある。何だか妙に高価そうな雰囲気があり、小母さんに「これ、いくらですか」と訊いたほどだ。予想に反して安かった(でも観光地価格)ので、じゃ、もらうね、と買って帰ったことを覚えている。

〈太平山〉は秋田県潟上市にある小玉醸造株式会社が出している酒で、日本酒のコンペティションで受賞した蔵元だから、知名度はわりと高いのではないかと思う。関西に住んでいたときでも秋田の酒として名前だけは知っていて、いつか飲んでみたいものだと思っていた。酒屋にもよるが、関西では意外と秋田の酒は出回っていないのだ。

だから秋田に来てから〈太平山〉を飲むまで早かったのではないか。普通酒や本醸造クラスの太平山なら、秋田の酒屋とかスーパー市場ならどこでも売っていると言っていい。記事にしていないけど、秋田の酒はわりと飲んでいるほうだと思う。で、肝心の味はというと、あまり印象に残らなかった、というのが正直なところ。

全部を飲んだわけではないので、これが太平山だ、などと語るわけにはいかないが、香り、旨味、酸味のいずれをとっても控えめで「つかみ所がない」ように感じた。本醸造クラスでしか味わったことのない太平山、はたして生酛純米ならどうなのだろうか。ちょっと期待しながら味わってみようと思う。

冷蔵庫で冷やして飲む。開栓直後の瓶からの香りは微弱。口に含むと、甘さは控えめ、香りも控えめだが、旨味がほどよい感じ。酸味は後から感じられるがかなり控えめになっている。推定日本酒度は+2前後だろうか。全てにおいて中庸、バランスが良い反面、これといった特徴がつかみにくいのが奥ゆかしさ、深みに通ずる(のか?)。

良くいえば透明=中庸、悪く言えばつかみ所なし、なれど酒全体としては上手くできている。なので、アテなしでいつの間にか杯を重ねることもできる(重ねてしまう?)。余韻は長く続くことなく、どちらかと言えばキレが良い。嫌な味わいが残らぬのも良いところといえる。食中酒としてもかなりいけそうと予想できる。

それでは、乙山ちの「サラダ菜のしゃぶしゃぶ」に合わせてみた。何じゃそりゃ、という声が盛んに聞こえて来そうだが、文字通りである。要するにいつものテキトー鍋なんだけど、何か青い葉物野菜を一つだけ選ぼうとしていたら、サラダ菜一個=38円というのが目にとまってしまい、つい掴んでしまったというわけ。

KimotoJunmai_Shingetu_02電気鍋に水を張り、味どうらくの里を入れ、ほんだしと昆布ダシの素を混合したものをさらに加える。もやしは一番火が通りにくいから先に入れて煮る。ある程度火が通ったところで豚ばら肉の切り落としを加え、さらに木綿豆腐を入れて煮る。灰汁をすくったら、最後にサラダ菜を食べたい分だけ入れる。すぐ火が通るからまさに「しゃぶしゃぶ」だ。

小鉢にとってミツカン味ぽんをかけて食べる。サラダ菜って、火を通してもうまいねえ。まったく癖やアクがなく、鍋にぴったりじゃありませんか。満足したところで〈神月〉を飲む。うむ、うまい。そのまま飲んでいる時より多少味は立つけれど、主張が強くて料理を損なうようなことはない。これぞ太平山、なのかもしれない。

というか、吟醸クラスの太平山はまた違った味わいなのかもしれない。普通酒、本醸造、純米クラスの太平山は、食中酒としてぴったりの味わいだと言える。まさに中庸、ど真ん中の味わいで、少しだけ甘みよりに振れているのかな、という印象。でも日本酒度はプラス側で、酸味があるぶん、すっきりに仕上がっているのだと思う。


【付記】
⚫︎ 吟醸クラスの太平山を味わっていないので、どんな風なのかとても楽しみです。純米大吟醸〈天巧〉はANAの国際線ファーストクラスに採用されているとか。秋田というか東北、いや日本酒自体が面白く、奥が深いのだなあと思います。

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