秋田美人考

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秋田美人という言葉をいつ、どこで知ったのか定かでないが、秋田に住むことになった、と報告すると、「美人……いいなあ」という声が聞こえてきた。九州在住の人なので、やはり「秋田美人」はかなり広範囲に行き渡っていると推測される。JR秋田駅にも「美人に会える? んだ。んだ。秋田。」なる宣伝文句があったほどである。

ネットで「秋田美人」を検索してみると、やはりかなりの数がヒットする。なぜ秋田に美人が多いのか、という説もまあ色々あるんだけど、それらをここに引用するのは差し控えておく。だけどねえ、秋田に住んで半年以上になるけれど、衝撃を受けるほどの美人に会ったことはないんですよね。

これには事情があって、現在(2017年)私は男鹿温泉郷に在住しており、そこは周囲にコンビニ店もない辺境の地。そもそも、人の存在する数そのものが少ないのだ。もし仮に、私がJR秋田駅の改札で切符を切る係をしていたら、衝撃を受けるほどの美人に遭遇する可能性はずっと高くなったに違いない。

秋田は日本三大美人の産地の一つである、とかいうらしいけど、実際は他の地域とそんなに変わるわけではないと思う。また面白いことに「三大不美人の産地」もあるという。ネットで調べて初めて知ったが、それも他の地域とそんなに変わるわけではなかろう。だけどまあ、秋田県のイメージ戦略にたいへん役立っているのは確かだろう。

秋田に来てまず感じたのは、瞳(虹彩)の色が淡い人がわりと存在することである。全ての秋田人がそうだというわけではないが、性別を問わず、おやっと思うほど瞳の色が薄くて、ちょっと独特の印象がある。原因は不明だが、もしかすると日照時間の少なさかもしれない。なんでも秋田は「日本一日照時間が少ない県」だとか。

もう一つは、これも日照時間に関係があるのかもしれないが、比較的色白の女性が多いような気がする。もちろん職業や年齢によって一概にそうと言い切れない部分もあるけれど、ご両親のいずれかが白人なのかな、と思うほど肌の白い女性を見たことがあり、その瞳が淡い色だったのでとても印象に残った。

とまあ、そんなわけで私にとって秋田美人とは、「肌がとても白く」て「淡い瞳」の女性のような気がする。だけど、それだけだと「美人」にはならないんですね。決定的要素は顔の造作というか、各パーツの形状と大きさ、および配置であろう。程良い形状と大きさというものがあって、それらがしかるべき配置にあれば、じつは肌や瞳の色はあまり関係ないのではないか。

絵に喩えると、例えどれだけ美しい色だとしても、それだけでは「美」にならない。ある色や色彩群を見て「いいなあ」というのは「快」に近いもので「美」から少し離れた所にある。ところが、色がない鉛筆や木炭、ペンによるドローイングだけで、美的満足を得ることができるのはご存知かと思う。だから「かたち」が美的要素の大部分を占め、「色」は副次的なものだと言える。白黒写真とか銀幕映画でも、じゅうぶん満足できるでしょ?

これに少し補足しておくと、トイレにマーブル模様の床(意図しないランダムな模様であれば何でもいい)があったとしましょう。ぼんやり眺めていると、どうしてもある一部が人の顔に見えて仕方がない、という経験はありませんか? 模様が「ある配置」になっていると、それを無意識のうちに人の顔として認識してしまう「認識パターン」が脳内にあるのではないか。

美人にもこれが当てはまり、美女美男に見える「認識パターン」がたぶん存在するはずで、そうでなかったら美人と不美人の差は生じないだろう。人は、誰かに教えられて美人を知るのではなくて、たいへん幼い頃からすでに美人を「知っている」のである。幼稚園とか保育所にいる頃から、美人の先生を見分け、憧れてきたではないか。ゆえに、美人の認識パターンは、遺伝子によって脳のどこかに生まれながらに備わっていると考えざるを得ない。

でもね、いわゆる「三大美人の産地」における、顔を構成する各パーツの形状と大きさおよび配置が「美的に見える最良バランス」である確率が、他の地域より高いかどうかなんて、わかるはずないでしょ? こういう事柄は測量して数値化できないものである。顔の造作が美的配置になっている人は、たぶん、全国的にうまいこと散らばっていると思う。根拠ないけど。

だから秋田に美人が多い、というのは個人としては懐疑的である。だけど「あなたの住む地域には美人が多い」と言われて悪い気はしないので、他都道府県の人がそういうのはいいと思う。けど秋田県がそれを使うのはどうかと……初めはね、へぇって思うだけだったんだけど、今ではちょっと恥ずかしい気持ちになるって、ちょっとだけ秋田人的になったってことなんだろうか。


【付記】
⚫︎ 大阪の池田に住んでいた頃、衝撃を受けるほどの美人を見たことがあります。2011年〜2012年頃、池田の駅前にダイエーがあって、その中のパン屋さんの店員さんが驚くほどの美人だったのです。そのころ、朝にレタスのサンドイッチを食べてまして、パンは絶対ここで買おうと決め、8枚切りのスライスをお願いしていました。

元々は、サンドイッチを食べるためにパンを買いに行ったはずなのですが、いつしか彼女の顔を見るためにサンドイッチを食べているかのようになってしまったのです。こんなことは、滅多にあるものではありません。だけど、衝撃を受けるほどの美人を見てしまった以上、面食いには抗いがたいことだったのです。


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