パスポート・スコッチ(ブレンデッド)

PassportScotch_01.jpg
「日本のウィスキーを飲む」という企画を続けている関係で、いささかスコッチから遠ざかっているような気がしないでもないが、それでも日本のウィスキーで甘みが妙に強調されたものを飲んでいると、どうしても若いスコッチが飲みたくなってしまう。それで近所の酒の量販店に赴いて1000円台のスコッチを手にするわけである。

今回は〈パスポート・スコッチ〉を久しぶりに飲んでみた。これを初めて見たのは1980年代、とある飲食店でアルバイトしていた頃だと記憶している。キリン麦酒社の系列(特約?)店で、ちょうどそのころ同社はシーグラム社やシーバス・ブラザーズ社と合弁していて「キリン・シーグラム」と名乗っていたのではないかと思う。

ニッカもサントリーも一切置いていない不思議な店ではあったけれど、そのおかげでシーバス・リーガルやシーグラム傘下のパスポート・スコッチ、そしてロバート・ブラウンやエンブレムといった珍しいウィスキーに親しむことができた。さすがに12年物のシーバス・リーガルほどの熟成感はなかったものの、なかなかいけるスコッチだという印象を持っていた。

パスポート・スコッチは四角の瓶に入っていて、古代ローマ時代の通行証をかたどったラベルの下に何やら士族を表すらしい紋章が5つ縦に並んでいる独特の外見をもつ。ネットで調べてみるとウィリアム・ロングモア社が1968年に発売した、とあるからスコッチの中では比較的新しいものだと思う。ブレンドに使われている原酒も色々書いてあるが、それら一つ一つの味の違いがわからぬのは言うまでもない。

パスポート・スコッチの日本における知名度は非常に低いのではないかと思う。シーバス・リーガルなどとは違いテレビ宣伝をまったく行わなかったことも関係があるんじゃないだろうか。実際、キリン系列店で働く機会を得なかったなら、その存在すら知らなかったのではないかと思う。まことに縁というのは異なもの、味なもの、というわけだ。

TadanoTansansui.jpgさていつものようにウィスキー:水=1:1で飲んでみる。比較的若いアルコールをまず感じるが、ガツンとくるほどではない。ピート香はわりと抑えられており「煙臭い」感じはせず、ほのかな甘みとわずかながらの苦みがある。スコッチとしてはライトタイプであり、アメリカで人気があるというのがなんとなくわかる気がする。

ピート香が抑え気味なので、薫煙香が好きな人からするとちょっと物足りない感じがするかもしれないが、甘みはそれほど強調されていないし、苦みとのバランスもなかなかのものではないかと思う。ピート香のきいた「いかにもスコッチ」という感じではないので、そういう傾向が好きな方にはやはり物足りぬのではないかと想像する。

私(乙山)はこの味が嫌いではなく、久しぶりに飲んでみてそんなに悪くないな、という感じを持った。値段は1300円くらい(酒の量販店価格)だから費用対効果はそれほど高い感じはしないと思う。見かけたらすぐ買え、などということは言えないもので、お勧め度はそれほど高くない一本だろう。

けれどもどういうわけかたまにパスポート・スコッチを見かけたら手にしてしまうことがある。今まで生きてきた中で最も無茶な生き方をしていたあの頃、ある理由からほとんど休みなしで働かざるを得なかったあの頃の、あれやこれやの記憶の断片が、パスポート・スコッチを飲んでいると想起されるからかもしれない。


【付記】
● パスポート・スコッチは炭酸割りにしてもいけるように思います。写真二枚目は近所のミニコープ(生協)でふと見かけた炭酸水ですが、なぜか不思議な親近感を覚えて手に取ってしまいました。


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