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火の鳥NIPPON 2020 石川真祐

YouTubeで格闘技とか柔道を見ていると、スポーツ関連動画が自然とお勧めに入ってくる。女性(が活躍する姿)を見るのが好きなせいか、女子バレーの日本代表の試合のようだった。見ると「シンデレラ・エース」だの「ニュー・ヒロイン」だの「新しいエースの誕生」などという言葉が頻出するではないか。

バレーボール・ワールドカップ2019、19歳で日本代表に急遽初選出された石川真祐という選手が、いきなりロシア戦で投入され、20得点を挙げるという快挙を成し遂げたのだ。普通なら新人選手は日本より格下の相手に様子を見ながら使うパターンが多いのだが、中田久美監督は敢えて強豪相手に投入したようにも思える。

やはり普通なら緊張して萎縮し、力を発揮できない選手も多いのに、石川は全く物怖じせず次々とスパイクを決めた。しかも彼女、身長は171cmと決して大型スパイカーではなく、いやむしろ世界最小スパイカーかもしれないほどなのだ。全くノーマークだった石川の活躍を見た敵監督は「マユは日本の宝だ」と言ったそうである。

いや、本当に見ていてこっちがびっくりしてしまった。東レ・アローズのチームメイトの言によると「そのボールをスパイク決める?」と驚き、「絶対止めてやろうとブロックしても抜けていく。なぜかわからない」とも。つまり上がってきたボールに対する適応力が並外れており、ブロックに合わせて打ち分ける能力がずば抜けて高いのだ。

確かに、ライトからのアタックで体の向きからクロスに決める感じに見え、相手もそれに合わせてブロックした瞬間、空いたストレートに切り替えて打ち込む。レフトからのアタックではクロス方向に強打して相手にタッチした後、アタックライン内に弾んだ。解説者も「このコースを決められるのは木村沙織くらいでしょう」と言っていた。

しかもどの方向に打つときでもフォームは一定しているように見え、本人によると打つ瞬間に「どこにするか」を判断しているという。どこに飛んでくるか予想が付けにくいのでブロックも完全とはならず、その開いた隙間を石川は狙って打つことができるのだろう。石川のお兄さんが男子バレー史上最高の逸材と言われる人と聞いた。

石川選手は女子バレー選手にありがちな「すらっとした長身」ではなく、ムチッと肉付きがよく、見ていて実に頼もしい。骨太で頑丈(おいおい)な雰囲気があって、ダンベル85kgを胸まで上げることができるという。後衛に回った時のバックアタックも強烈で、あの迫田”リオ”さおりほどの高さはないが、その日のチーム最速を叩き出した。

すっかり感心してダイジェスト版で残りの試合も見てしまった。宮下遥選手もまだ頑張っているみたいで嬉しくなった。まるで永久欠番みたいに背番号1が見当たらなかったけど、あれは長岡選手のためなんだろうな。新型ウイルスで延期した東京五輪日本女子バレーに、長岡が復活する可能性が出てきたのは嬉しいことだ。


【付記】
• バレーワールドカップ2019の結果からすると、最終セットまで行かずに完敗している国が2つあり、メダルを取るにはかなり厳しい戦いになると想像します。

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柔道女子52kg級 阿部詩

スポーツにはまるで無縁に見える私だが、YouTubeでブルース・リーの短い映像を見る関係からか、格闘技チャンネルもおすすめとして入り込んでくる。女子空手の型の美しさに惚れぼれし、次いで井上尚弥がいかに凄いかも知った。いつの間にか柔道チャンネルも入ってきたがしばらく無視して飛ばしていた。

だってね、スポーツとしての近代柔道を見ていてもつまんないのである。どうもレスリングに近づいているように思えるし、ポイント稼ぎを重ねた挙句の判定勝ちとか、なんか違う気がする。別に見なくてもいいか、みたいな感じで開催予定だった東京五輪の柔道日本代表選手を誰一人として知らなかったひどさである。

ところがサムネイル画像の『TOP 20 IPPONS』に惹かれて、つい見てしまった。女子52kg級の阿部詩(あべ うた)という選手だったが、その戦いぶりにびっくりしてしまったんである。袖釣り込み腰という投げ技を最も得意とするようで、なんとも綺麗な胸のすく勝ち方なのだ。観客も阿部の投げ技を期待していて「よいしょ!」と声を送る。

袖釣り込み腰を警戒して懐に入らせないようにする相手に対しては、一瞬の隙をついた大外刈りでねじ伏せるし、内股の切れ味が抜群で本当に綺麗に投げ切っている。やはり袖を取られるのを避けて、リーチを生かして阿部の背中をすぐつかみに来る相手には、粘り強く寝技に持ち込み、最後は横四方固めで仕留める。

いや本当に戦い方が綺麗で「これぞ柔道」と言いたくなる。うた選手にはお兄さんがいて、その戦い方も見事としか言いようがない。彼らの戦いぶりには卑怯な感じが微塵もなく、美しさを感じる。全く見ていなかった柔道だけど、うた選手の他の動画や、他の日本人選手の動画もまとめて見て、柔道のにわかファンになってしまった。

投げが綺麗に決まることが多いうた選手だが、投げが決まらず「技あり」になった後の詰めが抜かりないのだ。すかさず横四方固に持っていき合わせて1本取るパターンもわりと多いけど、関節技も得意なんですね。どの選手も得意技や必勝パターンがあると思うが、うた選手は多岐に渡るというか相手(状況)に応じる柔軟さも兼ね備えている。

うた選手の決して下を向かない入退場とか、口をへの字にきっと結んだ所なんかもう男子の仕草で、お兄さんの影響が相当大きいと見える。でも外国人記者のインタビューに「服を買いに行くのが好き」とか「バナナの絵の靴下を履いている」とか答えるあたりはやはり女の子なんだ。アヒルみたいな口や平べったい顔も(おいおい)なんか可愛い。

他日、東京五輪の代表選手としてうた選手が選ばれているのを知った。いまさら、という感じがしまくりなんだけど、オリンピックで活躍する姿が楽しみだ。もう確実に相手はうた選手のことを研究し尽くすだろうし、あの袖釣り込み腰を食らわないように警戒してくるはず。それでも、うた選手だったらやってくれそうな気がする。


【付記】
• 柔道グランドスラムとか世界選手権大会の映像を見る限り、つまんない柔道ではなかったように思いました。でもオリンピックだとまた違ってくるのではないかと。背負っているものが違いますから、判定による勝敗が増えると予想しています。

2020年 カーリング日本選手権(女子)

ピョンチャン五輪以来、北海道北見市常呂町のクラブチーム、ロコ・ソラーレの隠れファンになってしまった。YouTubeでも勝手に(?)「あなたへのおすすめ」としてカーリングのチャンネルを入れてくるんだからつい見てしまう。16日が休みだったこともあり、今回は2020年日本カーリング選手権の準決勝と決勝をどっぷり観戦した。

準決勝(プレーオフ)は中部電力、ロコ・ソラーレ、北海道銀行、富士急の4チームが残った。中でも中部電力は予選負けなしの全勝で1位通過。元々日本選手権4連覇を達成した強豪(清水、松村、市川、藤沢)だったが、市川が抜け、絶対的エース藤沢が抜けた。後は松村がスキップを務めたが、重圧は相当なものだったろう。

その様子はピョンチャン五輪代表をロコと争ったときにもよく伺えて、4戦中2回コンシードでロコに五輪代表を決められている。それでも粘り強くチーム編成をして現在のラインナップ(石郷岡、中嶋、松村、北澤)に至った。普通のチームは最終投者=スキップ(司令塔)が多いのだが、セカンドの中嶋がスキップであるのが面白いところ。

普通なら経験豊富でリーダー的人物がスキップを務めるのだが、中嶋はチーム最年少でピョンチャン五輪の頃はリザーヴだった。中嶋の才能を見抜いて抜擢し、同時にテイクアウト・ショットが得意な北澤にラストを任せた。そして清水と松村が引いてゲームの主導を若い選手たちに任せたことで、若手3人が土台となってチームの結束力を強めていった。

準決勝第5エンド、北澤のラストショットは厳しかった。前はガードストーンが残り、ハウス内はロコのNo.1、2、3があり、並のチームなら3点スチールというケース。ほんわか楽しんでやっているように見えるけど、いつの間にか相手に最も厳しいショットを打たせるように持っていくのがロコ・ソラーレの本当に怖い所なのだ。

だが北澤の一投は右サイドの自分の石に当たってロールし、No.1を取るスーパーショット。ロコのメンバーたちも内心「3点もらった」と思っていたかもしれない。中嶋と北澤の判断はほぼ迷いがなく、決断が早い。ここぞというショットのキレだけでいうと、藤沢に匹敵するというか、むしろ藤沢より冴えていたようにすら思える。

第6エンド、後攻ロコのラストショットは「1点取らされるがあわよくば2点取れる」ような石の配置。解説者も「藤沢は2点取りにいきますね」と言っていたが、藤沢は速い石で全て弾き出し、シューターもハウスの外に出てブランクエンド。リスクを冒して2点狙いよりはブランクでよし、と割り切ったさすがの戦略である。

決勝も緊迫した展開で両者全く譲らず、エクストラ・エンドまでもつれ込んだが、僅差でロコ・ソラーレが中部電力を制した。もうどちらが勝ってもおかしくない内容で、見ている方も緊張するほどだった。予選最終戦、準決勝、決勝と同じようなテンションの高さが続いたので選手たちも相当厳しかったろうと思う。

解説者も中部電力の成長ぶりに驚いていた様子で、ピョンチャン五輪の代表戦とはまるで違うチームのようである。今回は僅差でロコが制したが、来年の日本選手権はどうなるかわからなくなってきた。心情的には北京五輪はロコに行ってもらいたい気もするが、その次は中部電力の時代が来るんじゃないかという予感がした。


【付記】
• 中部電力は、本当にいいプレイをしていました。ロコ・ソラーレだけではなく、中部電力の隠れファンになってしまいそうです。

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只野乙山

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