正12面体SP・BOXを聴く

Fostex10cm.jpg
4月26日(2016年)にウェブログでお付き合い頂いているトニーさんがご来店なさった時、同行者として「自作の友」さんもいらっしゃった。すでにトニーさん のウェブログ「トニーの回覧板」を拝見して自作の友さんのことは存じ上げていた。アンプ本体ケース(シャシー)作りの名人で、トニーさんの自作真空管アンプの多くに、自作の友さん製作のシャシーが使用されている。

その夜はオーディオ談義、真空管談議で大いに盛り上がったのだが、もうひとつ、自作の友さん御自作の「正12面体SP・BOX」の話も聞かせてい ただいた。これもトニーさんのウェブログで拝見していたのだが、ご本人がいらっしゃるとは思わなかった。トニーさんによると「かなり低い音まで再生されている」そうで、正五角形を組み合わせた正12面体のエンクロージャーにフルレンジ・スピーカーがマウントされている。

一度乙山さんにも聴いてもらいたいですね、と自作の友さんは仰っていたのだが、その後メールで連絡があり、実際に正12面体SP・BOXを視聴する機会を得ることができた。自作の友さんのご自宅近所のコミュニティ・プラザの一室を借りて、セッティングして下さっていた。ふだんお聴きになる CDをご持参ください、とのことで、ロック/ポップス音源としてイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』からタイトル曲を用意した。皆さんご存知だと思うが、あのイントロに重低音が入っていますね。

クラシック音源としてシュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィル/バックハウスによるベートーヴェン『ピアノ協奏曲第一番』第一楽章を選んだ。ピアノの繊細な音と、シンフォニーのスケール感が再現できるかどうかの確認用。1958年の録音だが、気に入っている音源である。ジャズ音源としてマーティ・ペイチ編曲による『アイ・ゲット・ア・ブート・アウト・オブ・ユー』(通称『お風呂』)の「モーニン」を選んだ。

FlatSp.jpg アート・ブレーキ―による演奏のほうが有名だろう。知っている人は多いと思うが、マーティ・ペイチはTOTOの鍵盤奏者デヴィッド・ペイチの父親である。絵に描いたような音楽一家というわけ。編曲者としてギル・エヴァンスが有名だが、マイルス・デイヴィスと組んだギルのような雰囲気ではなく、リッチでゴージャス、洗練されたサウンドといえる。

試聴はCDプレーヤーを自作の友さん自作の真空管アンプにダイレクト接続して行った。まずは、オーディオ誌『ステレオ』付録のフォステクス製 10cmフルレンジから。音量は可変抵抗器を12時付近にセットした、かなり大きめの音(おそらく85dB以上)である。なんという迫力、これが 付録の10cmフルレンジの音とは信じられない。「ホテル・カリフォルニア」のイントロの重低音がしっかりと出ているではないか。

10cmフルレンジでシンフォニーはどうなのかと思ったが、これも十分な迫力である。薄いカーテン一枚隔てて聴いたら、だれも雑誌付録の10cmフルレンジとは思わないのではないか。定格入力は10Wとあるけれど、たぶんアンプの出力は3Wも出ていないんじゃなかろうか。とにかく元気な音が前に出てくるが、定位は少し後ろの方に感じた。音は大きいけれど、うるさくないのだ。これは非常に重要なことで、強調してし過ぎることはないと思う。

次に聴いたのが小さな平面スピーカーで、SONYのロゴが入っている。音の発生源が小さいのでどうなのだろうと思ったが、低音はしっかり出ている。音に元気さがないのはフォステクスの後に聴いたからだと思う。元気さはない代わり非常にクリアで素直な音で再生している。バックハウスのピアノが美しく、つい聴きこんでしまう。シンフォニーの再生は少し苦しそうだけど、アコースティックのギター、例えばバーデン・パウエルなんかを聴けば最高じゃなかろうか。

P610.jpg最後に三菱ダイヤトーンのフルレンジ、P-610を聴いた。「ホテル・カリフォルニア」のイントロの低音を聴いたとき、鳥肌が立ってしまったほどだ。ヴォーカルやサクソフォンの生々しさは特筆もので、オーケストラの再生におけるスケール感も申し分ない。思いの外、高音が綺麗に鳴っており、P-610の潜在能力の高さに感心したが、じつは正12面体エンクロージャーを得て初めて、こういう鳴り方になったのかもしれない。

正12面体SP・BOXはバスレフ型で、ポートが開いている。ユニットによって最低共振周波数が違ってくるから、厳密にはポートを変更しないといけないと思うが、そのままのポートで全てのユニットを鳴らして違和感がなかったのはなんだか不思議な感じがした。どういう理屈であの低音が出るのか、わからないけれど、とにかくいずれのユニットでも素晴らしい低音が出ているのは間違いない。特定のユニット専用ポートにして追い込めば、もっと低音が出るような気がする。

そして、ほぼ球面に近いエンクロージャーによるのか、スィート・スポットがかなり広めなのではないかと思う。音の回折が起きているので、壁から少し離してセッティングするのが良いようだ。このエンクロージャーに、例えばPARCオーディオとか、MarkAudioあたりのユニットを使い、バスレフポートをユニットに合わせてチューニングしたら、どんな音を鳴らしてくれるだろう。ものすごい可能性を秘めたエンクロージャーだと思った。


【付記】
● 自作の友さんと相談して、〈フラヌール〉を会場にして正12面体SP・BOXの試聴会をしたらどうだろう、ということになりました。といっても、カウンター席9席ですから、小さなオフ会(?)になると思います。「日曜日の午後から」になる予定で、関西在住(そうでなくても)で興味をお持ちの方は、拙ウェブログのコメント欄またはメールフォームからご連絡下さいね。「自作の友」さんのウェブログから申し込んで下さってもけっこうです。4~5名集まれば、正12面体SP・BOXの試聴会を開催できると思います。

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オペアンプたった1個の電池式プリアンプ 中断

BatteryPre_01.jpg
進まざること蝸牛の如し、といった有様の電池式プリアンプだが、目的に能力が追い付かないのだから仕方がない。あとはただ配線するだけなんだけど、実際にやってみるとかなり煩雑で、作業は遅々として進行しなかった。ただ一か所はんだ付けするだけでいい、というつもりで少しずつ作業を進め、やっと全部の配線を終了することができた。

写真一枚目はプリアンプの内部で、見ると決して綺麗にできているわけではないのがわかると思う。しかもロータリースイッチは部品を削るという野蛮な行為の結果、破損してしまい使うことができなくなった。だから前面パネルにある調整ノブはダミーである。恥さらしもいいところだけど、正直に書いておこうと思う。

さて、組み上がったからと言って早速音出しをするのではなく、回路計の導通でチェックしていく。一通りチェックが済んだら電池からDC電源を入れ、0.4W電池式アンプにつなぎ、音出しテストをしてみる。ところが、音が出ないのである! ううむ、これはどこかで誤配線をしているに違いない。トーン回路に軽く触れるとノイズがスピーカーに出るので、アンプ部分は稼働しているようだ。

たぶん、入力セレクターやモードセレクターに使ったプッシュスイッチ周辺の誤配線である可能性が高いのだが、当てずっぽうではいけない。トラブル処理は消去法で丹念に行う必要がある。やはり、製作していく段階で、バラックで試験しながら組み立てればよかった、と後悔している。すべて組み上げてしまった後では、どこに原因があるのか特定するのが極めて困難である。

BatteryPre_02.jpgあちゃあ、しまったなあ、と嘆かずにはいられない。かなり時間をかけて、というかそうせざるを得なかったのは自分の手が遅いせいなんだけど、ここまでやって失敗では格好がつかないなあ。なんとかトラブルを解決して完成編までもっていきたいところだが、気力が失せてしまったんである。今は少し、電池式プリアンプから離れていたい気分である。

やはり、あれもこれもと詰め込み過ぎたのがいけなかったんだな、と今になって思う。もっとシンプルに、たとえば使い慣れぬプッシュスイッチをロータリースイッチにして作ったら良かったのだろう。次に作るなら、できるだけシンプルなものにして、本当にさくっとできるものにしたらいいのではないだろうか。しばらく作る気にならないだろうけど……

とにかく、電池式プリアンプはいったん中断しようと思う。しばらく時間をおいて、やる気が出たらもう一度、点検しなおして完成までこぎつけるようにしたい。本当にもうちょっとの所まで来ているのだから、全部破棄してしまうのはもったいない。だけど今は、どうも気力を振り絞って最後までやるような気分ではない。一発で決まらないのは、やはりつらいものです。


【付記】
● 今年はできるだけたくさん真空管アンプを作るぞ、とか年頭に思っていたのですが、プリアンプ製作で思わぬ遅滞にはまり込んでしまいました。抜けられない泥沼に足を突っ込んでしまったようで、体がはまってしまう前にとりあえず撤退したほうが良い、と判断しました。非常に悔しいのですが、むしろこれから解放されてほっとしている気持も正直あるくらいです。


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オペアンプたった1個の電池式プリアンプ 製作編(2) 塗装と印字

PreScreenPrinting_01.jpg
フロントパネルを塗装する段になったが、拙機はフロントパネルが不必要に厚いので、塗装する前にできるだけ削っておくことにした。本来こういう作業は必要ないものだが、塗装すると厚みが出て可変抵抗器などが取り付けられない事態を前もって回避する心算である。必殺のニコルソンのヤスリをもってしても、1mmも削ることはできないだろう。汗が出るほど作業に没頭したが、たぶんそんなに削れていないと思う。かなり傷がついたので、#100→#320と進めて傷が見えぬようにした。

すべての加工が終わったら、一度ぬるま湯にケース本体をつけて中性洗剤で洗っておく。これは穴あけに切削油を使った関係上、必ず行わねばならぬ大事な工程である。金属製の箱を水につけるなんて、という声が聞こえてきそうだが、しっかり拭いて乾かせば心配はない。乾燥後、アルコールで拭いた後、マスキングをしてプラサフ(プライマーとサーフェーサーを合わせたもの)を吹き付ける。吹き付けたらそのまま放置してしばらく触ってはいけない。

この時期、気温が低めなのでスプレー缶をぬるま湯で湯煎しておくことをお勧めする。気温が20℃を越えている場合はそのままでも良いが、厳冬期は必ず湯煎してからスプレー塗装するべきだ。できればケース本体もファンヒーターの吹き出し口前に置くなど、何らかの方法で温めておくのがベスト。プラサフの乾燥を確認したら#1000くらいの紙ヤスリで軽く表面を研磨しておこう。これは、あっというまに削れてしまうのでオーバーサンディングに注意する必要がある。

PreScreenPrinting_02.jpg本番の塗料はハンマートーン調を出してくれる「ハンマーフィニッシュ」を長年愛用してきたが、製造中止になったそうで、代替品として「サビたまんまで塗れるカラー」という変な名前のスプレー缶を使用した。塗装したら二日間ほど放置しておくのが最大のポイント。缶に記載の説明では「48時間で乾燥」とあるので、昼間に塗装したら夜には次の工程に移りたくなるのだが、ここで決して急いではならない。とくに冬場はただでさえ乾きにくいので要注意。

塗装の作業と並行してスクリーンの製版を行う。原稿はInkscapeで仕上げ、それをPDF変換して〈キンコーズ〉へ持ち込み、一度印刷したものをOHPフィルムにコピーして完成。同じプリンターなのに、なぜ直接OHPフィルムに印刷できぬのか謎であるが、心配した劣化もさほどなく、これなら原稿に使えるレベルだと思う。写真二枚目は見えにくいかもしれないが、白い紙の上に透明のOHPフィルムを乗せて撮影している。

もちろん、こうしてできた第1稿を現物合わせして、微妙に修正をかけてやり直す必要があるのは言うまでもない。穴あけが理想的に行われるわけではなく、多少のずれが生じるからで、結局は現物に原稿を合わせていくより他はない。出来上がった原稿を現物に合わせて修正をかけながら、第3稿までかかってしまった。ちなみに、一回の印刷と一回のコピー、OHPフィルム一枚の合計で130円くらいである。

いよいよ露光に入る。ブラックライトを底に備えた箱を作り、天板にアクリル板を張った露光機を作れぬでもないが面倒である。ここは原始的な太陽露光を行う。直射日光を避け、晴天なら4分30秒~5分、曇天なら9分30秒~10分で間接の自然光にさらす。今回はアイセロ感光フィルムなるものを使った。スクリーン枠に感光フィルムを貼り付けた製品で、袋から出したらすぐ感光できる便利なもの。本来は木枠を組んでメッシュ布を張り、感光乳液を塗布して作るものだが、できるだけ簡便に行きたい。

PreScreenPrinting_03.jpg発泡スチロールでスクリーン枠内に入る台をこしらえ、その上に同じ大きさの黒の色画用紙を乗せる。これは下からの反射による二次露光を防止するためと、原稿をスクリーンに密着させるためでもある。感光スクリーンと原稿も乗せ、最後にアクリル板を上からかぶせるが、これは原稿をスクリーンに密着させると同時に、風などで原稿が吹き飛ばされるのを防止するためでもある。なお、原稿と版は絶対に動かないように各種テープやスプレーのりで固定しておかないといけない。ずれたら目も当てられないことになるのでご注意を。

規定の時間で自然光にさらしたら現像に入る。速やかに水につけてしばらく置き、勢いのある水をかけ必要ならスポンジやブラシなどで軽くこすって感光剤を落とす。初めは薄ぼんやりして見えなかった字や線が、浮き上がってきてうまく抜けていれば成功。抜けきれない場合は露光オーバーで、一緒に流れてしまった場合は露光アンダー。きれいに洗ったら乾燥させ、もう一度自然光を当てて追露光しておくようにしよう。写真三枚目は出来上がった版を撮影したもの。

最後に刷りを行う。作業台にケース本体をしっかり固定し版を上から乗せるが、ずれていないかしっかり確認しよう。これは時間がかかっても構わない。刷りはあっという間にできるが、ずれていたらおしまいである。Cクランプで枠を固定するのを忘れないように。今回はでこぼこの表面なので、多少濃い目のインクを練り、スクゥイージーを斜め45度に固定して刷る。ここでもずれないように慎重に版を外すと……うむ、うまくいったようである(写真四枚目)。所々、多少つぶれているところもあるけれど、これでいいことにしようじゃないか。

PreScreenPrinting_04.jpgいやあ、最大の難関をようやく乗り越えましたよ。ここまで来るのに相当の時間がかかってしまったが、ど素人なんだから仕方がない。何を使えばいいか、どうすれば最も効率良くできるか、それらを模索するのにいちばん時間がかかるわけで、実際の作業は研磨や削りを除けばあっという間に済んでしまうものだ。だが本当にできるんだろうか、と何度も躊躇せざるを得ないときが多々あったことも正直に書いておこう。


【付記】
● さて、後は機構部品を取り付けて配線する段になりました。完成まであと一歩のところまで来ましたが、なんだか妙に多忙な時期に入ってしまい、完成編はたぶん4月になるような気がします。

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オペアンプたった1個の電池式プリアンプ 製作編(1) 穴あけと仮組

Pre_Shassis_01.jpg
電池式プリアンプの製作に入る。本体ケースとしてリード社のP-1を選んだ。W=200、D=150、H=60で大きさはちょうど良い。そこにそのまま部品を取り付けて完成としても構わないのだが、少し見栄えのことを考えてフロントパネルを貼り付けることにした。厚さ4mmのアルミ板を新潟の業者に発注し、寸法指定して切断まで行ってもらった。

ホームセンターなどでもアルミ板は手に入るけど、さすがにt=4mmは切断も手強く、切り端が出ても使いようがない。なので素直に業者に発注したほうがいいと判断した。幅205mm、縦65mmの注文で、送料を入れても1000円以内。また何かあれば利用させてもらおうと思っている。だが、寸法指定の切断だけお願いしたわけなので、仕上げはこちらで行わないといけない。

金属用ヤスリで少しずつ修正し、できるだけ綺麗な角度と表面に仕上げていく。本体ケースの穴あけ作業と同様に、純然たる肉体労働であるがこういう作業は嫌いではない。ある程度仕上がったら、最後にコーナーに少しRを付けておく。これは、とがったままだと危ないので面取りを兼ねてRを付けるわけだが、最近の製品はどうも丸くなりすぎているものが多いような気がしてならない。

Pre_Shassis_02.jpg修正作業ができたら、#320くらいの紙ヤスリをかけて表面に少し傷をつけておく。これは本体ケースと接合するため。本体ケースはすでに塗装済みなので、接合部分の塗装は剥がしておく必要がある。#100くらいの紙ヤスリで短時間にてさくっと仕上げたい。今回は100円均一店などで販売している「メッシュヤスリ」を使った。塗装をすべて剥がせたら#320の紙ヤスリで研磨しておく。

金属と金属の接合は初めての経験でよくわからぬので、ネットで調べてなんだか使えそうな「セメダイン スーパーXクリア」の一番小さなものをホームセンターで購入した。接合する前に接着面の油脂成分を取り除いておく必要がある。万全を期してトルエン(シンナー)でしっかり拭いた後、だめ押しのつもりでランプ用工業アルコールで拭き、よく乾燥させてから接合に臨む。

接着剤の説明書をよく読み、接合部分の両方に薄く塗った後5~10分放置し、接合する。瞬間接着剤ではないのである程度動かすことができるようだ。修正しながら、クランプの用意をする。写真一枚目はフロントパネルと本体ケースを接合し、クランプをかけているところ。そこまでするか、と自分でもちょっと笑ってしまうけど、クランプとハタガネなど総動員してがっちりおさえるようにしている。

Pre_Shassis_03.jpg接着剤の説明によると「約1~2時間で動かなくなり、約24~48時間で実用強度に達します(23℃湿度50%)」とあるので、2日間放置しておいた。パネルと本体は別口で作業したほうがいいのかもしれないが、穴の寸法(位置)がずれてないかとか、そんなつまらぬ心配をするくらいなら、一気に穴をあけてしまいたい、というのが本音である。2日後、クランプを外してみると、もう手では引き剥がすことのできぬくらいに接着されていた。

穴あけ位置はCADで作った図面をPDFにして印刷、これをケースに貼り付けてケガキを行う。何度やっても中心は微妙にずれるもので、あまり神経質になる必要はないと思う。その代わり、仕上げのラインをはっきり描いておきたい。キリで印をした(あるいはピンバイスで当たりを付けた)後、ハンドドリルに2mm程度のドリルビットを取り付け、穴をあける。後はステップドリルやテーパー・リーマーを併用して穴を広げ、部品を取り付けながらヤスリで仕上げていく。

それにしても、プッシュスイッチのために10φの穴を7個、正確な位置に、しかも綺麗に穴あけするのは至難の業である。どうせ中心はずれるものだからくよくよしない。ずれた穴を含めた最小の同心円を描き、手作業でヤスリを使って穴を広げる。真円に近いものができたら、改めてステップドリルで穴を広げていく。部品を傍らに用意して、当てはめながら穴を開けすぎないように気を付ける。写真二枚目は、穴あけ作業を終えたところ。

Pre_Shassis_04.jpg仮組をしておかないと、後で部品が収まらないと苦労することになりかねない。今回は多連プッシュスイッチを使用した事情もあって、ケースを天地逆に使用することになった。天板にすべてを取り付けた吊り下げ式にすると天地逆を回避できるが、その場合パネルのデザインを水平反転しなければならない。苦渋の決断だが、ケースを天地逆で使うのが手の打ちどころと判断した。もう少しケースを慎重に探すべきだったのかもしれない。

なお、これは重要なことで補足しておくが、拙機は0.8tのケース本体に4tのアルミ板を貼り付けたので、合計4.8tになり、可変抵抗器やロータリースイッチを取り付けるのが難しくなる。ねじ部は長さに限度があるからで、実はロータリースイッチの本体を少し削って(!)調整したことを正直に書いておきます。このような無謀かつ野蛮な行為は、本当はあってはならぬことであるのは言うまでもない。

フロントパネルの厚さは最大でも4mm未満、できれば3mm以内に収めるべきで、どうしても肉厚のパネルが欲しい場合は調節ノブの外径に合わせた穴をあけ、落とし込みにする必要があるでしょう。そして調節ノブを固定するレンチとの兼ね合いもあるのだから、肉厚パネルは完全に接着してしまうのではなく、着脱可能な方法で本体ケースに固定するのがベストでしょう。


【付記】
● ドリルで穴をあける際の切削油、使うと使わないではかなり作業効率に違いがあります。ホームセンターでそんなに高くない(というかあっけないほど安い)値段で売っていますので、ぜひ使ってみることをお勧めします。

もう一つは手袋。ヤスリをかける時など、手袋をはめると作業効率が上がります。えっ、そんなバカな、と仰る方は一度実行なさることをお勧めします。ただの「軍手」でも構いませんが、滑り止めが付いた手袋だと、一層作業効率が捗ります。サイズはできるだけフィットしたものがいいのは言うまでもありません。

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オペアンプたった1個の電池式プリアンプ 配線パターン編

PreUniversal_01.jpg
遅れに遅れている電池式プリアンプだが、面倒なんだから仕方がない。で、今どこでもたもたしているかというと、ユニバーサル基板の配線である。けっこう部品があるので、以前作ったパワーICを使ったアンプのように、とにかく部品を乗せてしまってダイレクト配線だ、みたいなわけにはいかない。入念に行かないと、誤配線をしてしまったら目も当てられないことになってしまう。ここは慎重に、かつできるだけ簡単に行こうと思う。

紙に手で実態配線図を描くのがいちばん手っ取り早いかもしれないが、今はいろいろツールもそろっているので、今回はユニバーサル基板配線支援ソフト(?)のPasSを導入してみた。ほぼ原寸通りの部品配置をPC上で行うことができる便利なソフトで、上手に使えば配線パターンも自動で行ってくれる優れもの。今回はすべてパターンにするのではなく、所々例によってダイレクト配線も使うので、PasSの自動配線テクノロジーは使わない。

黄色の箱型フィルムキャパシターはPasSの部品ライブラリーにないので自作するほかない。といって大げさなものではなく、マニュアルに従ってWindowsのPaintを使って作るだけなのでわりとすぐにできる(?)と思う。後は、部品を適当に置いて、最も合理的な配置にするだけなんだけど、これが結構難しい。小さな基板に無理やり詰め込んだ感じがしないでもない。これは、家にある余った基板を使ったからこうなっただけで、こんな小型基板に無理やり詰め込む必要はないと思う。

PreUniversal_02.jpg配置ができたら、PrtScrでクリップボードに送り、Paintを開いたらペースト、必要な部分をトリミングし、ビットマップ形式(.bmp)で保存し、それをInkscapeにインポートして配線を考える。難しく考えず、とにかく結んでしまえ、という方式で進めていこう。ユニバーサル基板の基本は水平、垂直、斜め45度で配線することだが、被覆線を使えば自由に配線してかまわない。ユニバーサル基板だけ使って、あとはすべて被覆線で配線するという方式のほうが、ふだん基盤を使わない真空管アンプ製作者には向いているかもしれない。

とりあえず配線して、しばらく眺めているうちに、無駄な部分や冗長な部分が見えてくるので少しずつ修正していく。部品の配置転換をする必要が生じたなら、もう一度PasSに戻って配置転換し、Inkscapeに戻して作業を進める。焦る必要はないんだぞ、とか思いながら進めるが、やはりけっこう手間がかかって面倒くさいものである。ちなみに、配線をする時はレイヤーをかけることを忘れてはいけない。元画像と配線を別にしておける、これがInkscapeを使うメリットである。

RugPlatePattern.jpg画像一枚目が、一応配線を済ませたもので、こういうふうに上から見てこことここを結ぶんだ、とした方がわかりやすいんじゃないかと思う。これを、すべて選択して水平反転(鏡像化)し、元画像の不透明度を下げたものが画像二枚目。これ、要するに裏側から見たものに相当するわけで、裏から見たらこうなるから、ええと……とか一切考えずに済むわけです。こういった一連の作業がPCを使うとすぐできるので非常に便利である。

一方、トーン回路の平ラグ配線パターンなどは、PC上でやるより紙とペンでやったほうが早い。用途に合わせて臨機応変に望みたい。これも、「まずは結んでしまえ式」でパターンを描き、何度か繰り返しているうちに無駄が省けて合理的なパターンになってくる。トーン回路の入出力端子は10か所あるので、とりあえず5pの平ラグで始めたが、最終的には4pの平ラグ板でじゅうぶん間に合うことが確認できた(画像三枚目)。これを確認してから、日本橋で買い物をするわけです。


【付記】
● 画像は例によって最終形ではなく、途中のプロトタイプで、間違いがあるのがわかります。じつにのんびりとしか進めない電池式プリアンプですが、目的に能力が追い付かないのだから仕方ありません。絶対、2月中には完成までもっていくぞ、というつもりでやってはいるのですが……


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只野乙山

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⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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