炊飯器で煮豚/ゆで豚叉焼

叉焼(チャーシュー)はラーメンの具として欠かせないものとなっている他、単品で食べてもうまく、炒飯の具としてもおいしいが「焼豚/やきぶた」とも呼ばれる。だが実際に日本の多くの店が提供しているのは焼豚ではなく煮豚/ゆで豚。これは製法の違いによるもので、中国の叉焼は豚肉を吊るして叉焼のタレを塗り、炉で炙り焼きにしたもの。神戸のチャイナタウンでよく見た。
保存が効くのか、店頭で吊るして売っているのを見かけるが、食べてみると思いのほか甘く、赤く着色されているケースが多い。大型のコンベクションオーブンなどがあれば中国風の炙り焼き豚ができるかもしれないが、焼き豚などを炙り焼きにする炉がない日本では煮豚/ゆで豚が広まることになったと思われる。今回はできるだけ簡単に煮豚/ゆで豚を作ってみたい。
参考にさせてもらったのは「田舎そば川原さん」と大西哲也さん。川原さんの「豚の角煮」の動画を見ると、豚のばら肉ブロックを水からゆでて沸騰したらアクを取って弱火にし、1時間ほど煮込んだら醤油や砂糖などからなる煮汁でさらに煮詰めて作っていた。大西さんは豚肉の塊をやはり水からゆで、ごく弱火で1時間ほど煮たら取り出し、醤油と砂糖を混ぜたタレに漬けた叉焼だった。
お二人のやり方を勝手にまとめてみると、豚肉は初めに焼いて焼き色をつけなくてよい、特に何も香味野菜は入れずに水から煮るとよい、中火以上でぐつぐつ煮込むのではなく弱火で1時間ほどゆでればよい、特別な角煮用やチャーシュー用のタレは必要ない、などがわかる。そこで当方としても豚肉と水だけでゆで豚を、醬油とみりんで叉焼のタレとする。
豚肉ブロックにどの部位を選ぶかが、とても大事なポイント。理屈的には豚のバラ肉、肩ロース肉、もも肉のいずれでもできる。バラ肉の叉焼はうまいが、脂が多すぎるとたくさん食べられない傾向がある。もも肉叉焼は、逆に脂が少なすぎてパサついたりガシガシする恨みがある。適度に脂があって、肉も柔らかいのが豚肩ロース肉で、よく酢豚に使われている。今回は豚肩ロース肉を選んだ。
小さめの鍋に豚肉を入れ、全体がしっかり浸かるまで水を張る。点火して沸騰するまで強火。沸騰するとアクが出てくるのきっちりすくっておく。アクが取れたら弱火にして1時間煮込むが、私は炊飯器に移して保温モードにして放置。だいたい70度前後で温度を保ってくれるのでぐつぐつ煮込まずに済む。というかコトコト以下のじつに穏やかな温度で加熱してくれる。
1時間でよいと思うが、お手本より低い温度なので1時間半とした。取り出したらポリ袋に入れ、醤油大匙1、みりん大匙1を入れ、水を張ったボウルに浸けると水圧で空気が抜ける。出来るだけ空気を抜いた状態でポリ袋を閉じ、全体にタレが回るようにして放置する。肉は300gほどあり、こいくち醤油大匙1は2.6gの塩分があるので、完全に染み渡ったとしても塩分濃度1%にならない。
昼イチで作ってポリ袋に入れて放置し、夕方に食べる作戦にしたが、これだけ塩分が少なめだと一晩くらい漬け込んでも問題ないと思う。さて夕方、待ちきれなくなって叉焼を取り出し、厚めにスライスして半分だけ食べてみると……えっ、なにこれ、うんまっ! たいしたことは何もしていないのに、なんでこんなにうまいんだ? 脂身も少なめだったので、あっという間に食べてしまった。
醤油大匙1とみりん大匙1だけなのに、ちゃんと味が入っている。みりんを入れたのは液体のかさ増しと、甘みと深みを与えるため。中国の叉焼って、ご存知の方も多いと思うけど、甘いんです。酒池肉林という言葉があるが、池一杯にお酒が満たされていて、木にはこの焼豚がたくさんぶら下がっている状態を指す。現代の日本では違った意味でつかわれているようだが、それについて語ることはできない。
保存が効くのか、店頭で吊るして売っているのを見かけるが、食べてみると思いのほか甘く、赤く着色されているケースが多い。大型のコンベクションオーブンなどがあれば中国風の炙り焼き豚ができるかもしれないが、焼き豚などを炙り焼きにする炉がない日本では煮豚/ゆで豚が広まることになったと思われる。今回はできるだけ簡単に煮豚/ゆで豚を作ってみたい。
参考にさせてもらったのは「田舎そば川原さん」と大西哲也さん。川原さんの「豚の角煮」の動画を見ると、豚のばら肉ブロックを水からゆでて沸騰したらアクを取って弱火にし、1時間ほど煮込んだら醤油や砂糖などからなる煮汁でさらに煮詰めて作っていた。大西さんは豚肉の塊をやはり水からゆで、ごく弱火で1時間ほど煮たら取り出し、醤油と砂糖を混ぜたタレに漬けた叉焼だった。
お二人のやり方を勝手にまとめてみると、豚肉は初めに焼いて焼き色をつけなくてよい、特に何も香味野菜は入れずに水から煮るとよい、中火以上でぐつぐつ煮込むのではなく弱火で1時間ほどゆでればよい、特別な角煮用やチャーシュー用のタレは必要ない、などがわかる。そこで当方としても豚肉と水だけでゆで豚を、醬油とみりんで叉焼のタレとする。
豚肉ブロックにどの部位を選ぶかが、とても大事なポイント。理屈的には豚のバラ肉、肩ロース肉、もも肉のいずれでもできる。バラ肉の叉焼はうまいが、脂が多すぎるとたくさん食べられない傾向がある。もも肉叉焼は、逆に脂が少なすぎてパサついたりガシガシする恨みがある。適度に脂があって、肉も柔らかいのが豚肩ロース肉で、よく酢豚に使われている。今回は豚肩ロース肉を選んだ。
小さめの鍋に豚肉を入れ、全体がしっかり浸かるまで水を張る。点火して沸騰するまで強火。沸騰するとアクが出てくるのきっちりすくっておく。アクが取れたら弱火にして1時間煮込むが、私は炊飯器に移して保温モードにして放置。だいたい70度前後で温度を保ってくれるのでぐつぐつ煮込まずに済む。というかコトコト以下のじつに穏やかな温度で加熱してくれる。
1時間でよいと思うが、お手本より低い温度なので1時間半とした。取り出したらポリ袋に入れ、醤油大匙1、みりん大匙1を入れ、水を張ったボウルに浸けると水圧で空気が抜ける。出来るだけ空気を抜いた状態でポリ袋を閉じ、全体にタレが回るようにして放置する。肉は300gほどあり、こいくち醤油大匙1は2.6gの塩分があるので、完全に染み渡ったとしても塩分濃度1%にならない。
昼イチで作ってポリ袋に入れて放置し、夕方に食べる作戦にしたが、これだけ塩分が少なめだと一晩くらい漬け込んでも問題ないと思う。さて夕方、待ちきれなくなって叉焼を取り出し、厚めにスライスして半分だけ食べてみると……えっ、なにこれ、うんまっ! たいしたことは何もしていないのに、なんでこんなにうまいんだ? 脂身も少なめだったので、あっという間に食べてしまった。
醤油大匙1とみりん大匙1だけなのに、ちゃんと味が入っている。みりんを入れたのは液体のかさ増しと、甘みと深みを与えるため。中国の叉焼って、ご存知の方も多いと思うけど、甘いんです。酒池肉林という言葉があるが、池一杯にお酒が満たされていて、木にはこの焼豚がたくさんぶら下がっている状態を指す。現代の日本では違った意味でつかわれているようだが、それについて語ることはできない。
【付記】
煮豚/ゆで豚を作った後に残った煮汁、これがまたとてもいいスープになっていました。これを捨てるのはあまりにももったいない。なのでちゃんと使いましたよ。豚をよくご覧になると、意外と脂身が多いのがわかると思います。乙山が「うまい」と申し上げたのはこれの前回に作った、もう少し脂身の少ない物でした。豚肉ブロックの中身は外から見えませんから思いのほか外してしまうこともあるのです。
煮豚/ゆで豚を作った後に残った煮汁、これがまたとてもいいスープになっていました。これを捨てるのはあまりにももったいない。なのでちゃんと使いましたよ。豚をよくご覧になると、意外と脂身が多いのがわかると思います。乙山が「うまい」と申し上げたのはこれの前回に作った、もう少し脂身の少ない物でした。豚肉ブロックの中身は外から見えませんから思いのほか外してしまうこともあるのです。
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コメントの投稿
こんにちは。
煮豚は大好物です。
ナンテイは圧力鍋で作ってます。
10分足らずで出来るので便利です。
煮豚は適当に斬ってネギ微塵を乗せ、
酢醤油とラー油少々でつまみにすると、
底抜けに酒が進むんです。
これは昔、錦糸町駅前にあった博多ラーメン店の、
人気おつまみでした。
ナンテイは圧力鍋で作ってます。
10分足らずで出来るので便利です。
煮豚は適当に斬ってネギ微塵を乗せ、
酢醤油とラー油少々でつまみにすると、
底抜けに酒が進むんです。
これは昔、錦糸町駅前にあった博多ラーメン店の、
人気おつまみでした。
Re: こんにちは。;南亭さん
南亭さん、コメントありがとうございます。
10分で作られるのなら、圧力鍋ほしくなりますね。
手羽先と手羽元を何回か煮込んで鶏白湯スープを作るとか、
あったらやるんじゃないかと思います。
博多の、あの水炊きみたいなのがやりたいです。
煮豚/ゆで豚は、できるだけ手軽にやりたいです。
南亭さんの仰る煮豚、おいしそうです。
10分で作られるのなら、圧力鍋ほしくなりますね。
手羽先と手羽元を何回か煮込んで鶏白湯スープを作るとか、
あったらやるんじゃないかと思います。
博多の、あの水炊きみたいなのがやりたいです。
煮豚/ゆで豚は、できるだけ手軽にやりたいです。
南亭さんの仰る煮豚、おいしそうです。